アクセンチュア、デロイド、マイクロソフトで23年間、日本人がいない外国人だらけの環境で習得した、非ネイティブのための「 絶対使っちゃいけないビジネス英語 」をマイクロソフト シンガポール勤務の岡田兵吾さんにお話しいただきます。
皆さん、こんにちは。マイクロソフト アジア太平洋地区ライセンスコンプライアンス本部長の岡田です。
「それなりに英語は話せます。日常会話レベルであれば問題ありません。日本にいたときは英語力が評価されて、海外赴任も経験しました」。なのに、グローバル企業に転職した途端、全く英語が通じないのはなぜでしょうか?
このような悩みを持つ日本人はたくさんいます。かくいう私もそのなかの一人でした。
マイクロソフトへ転職してからの地獄の日々
大学時代は交換留学を経験し、卒業後は外資系コンサルティング企業のアクセンチュアで、アメリカ駐在2回、外国人が部下に付いたこともあります。日本では「英語で仕事を回せる」と評価されてきた私が、マイクロソフト シンガポールへの転職後、地獄の日々が待っていたのです。
英語が全然話せない、皆の会話に入れない……。
英語での議論についていけず、会議で一言も発言できずにいたら、上司に「発言しないなら、会議に出るな!」と軽いクビ宣告を受けました。
デロイト コンサルティングへ転職後も、 同僚 の韓国人やタイ人、ドイツ人たちが 契約 を取って活躍していくなかで、1年2カ月もの間、ただ一人 売上 をあげることができず、自律神経失調症になりました。もはやこれで終わりか。そう思ったときに、ふと「ある疑問」がわいたのです。
「私は英語のハンディのせいで、こんな窮地に陥っている。 同僚 たちも非ネイティブなのに、どうして彼らはうまくやれるのか?」
そう疑問に感じてから、活躍している「非ネイティブ」を観察しました。
すると、彼らには心がけているルールやマナー、敬語、気遣いなどがあり、 「グローバル企業」で生き抜くための英語を、それぞれ独自に探って見つけ出し、実践 していることに気が付いたのです。
非ネイティブが身に付けるべき、ビジネス英語の「絶対ルール」とは
ビジネス英語には、非ネイティブが身に付けるべき「 絶対ルール 」がある。目からウロコでした。非ネイティブの語彙は、そう多くありません。 ただし 、 少ない 語彙をフル活用 しながらも、次の2つのルールを守っていたのです。
非ネイティブのビジネス英語・絶対ルール
- 使えるフレーズを多用する
- ポジティブで丁寧な言い回しをする
英語表現によってネイティブの印象は異なる
ここでちょっと問題です。AさんとBさんの言葉にどんな違いがあるのでしょうか。
A : I have a big problem.
B : I’m facing a big challenge .Aさんは、「大きな問題を抱えている」と言いたかったのでしょう。Bさんもまた、「大きな課題に直面している」と言いたかったのでしょう。では、これを聞いたネイティブの印象はどうでしょうか。
悩んでいると伝えている点はどちらも共通しています。 ネガティブな印象を与えたのが「A」、ポジティブな印象を与えたのが「B」 です。
それでは、もう一問。どうやら、相手の言っていることを聞き逃したみたいです。
A : Once more, please.
B : Sorry?これを聞いたネイティブの印象を見てみましょう。
丁寧に言っていると思われるAさんに対し、ネイティブはいい印象を抱いていないようです。
一見、Aさんのほうが丁寧にお願いしているように見えますが、実はこれNGなんです。「please」を付けているのでよいと思われがちですが、命令っぽく聞こえているのです。
日常生活では問題のない英語でも、ビジネスシーンで使うには、「完全にアウト!」であることが分かっていただけたのではないでしょうか。
このように、ビジネス英語では、「話せない」こととは別に、 日常会話レベルの英語をそのまま使うことで、ビジネスで損をしている 場合があります。
グローバル企業で生き抜くためのビジネス英語のマナー
多くの「非ネイティブ」の先人たちは、グローバル社会に飛び込み、トライ&エラーで生き抜く術を見つけてきました。 グローバル企業で、「非ネイティブ」が生き続けるために探り当てた、「英語のマナー」 があるのです。
それはネイティブが使えば、時にあざとい「英語」だったりします。
しかし、ネイティブにはやり過ぎな表現でも「非ネイティブ」が生き抜くためにはちょうどいい「英語」も存在するのです。
私が経験してきた「クビの危機」は数えきれません。ここで書ききれないほど何度もありました。そのたびに 「非ネイティブ」から得たフレーズを参考 に、会議で一言も発言できなかったのがまるで嘘だったかのように、活路を見出すことができたのです。
いま私は、アジア統括ハブが多く集まるシンガポールで、マイクロソフト(2度目の転職)の本部長として働いています。駐在の立場ではなく、グローバルの実力主義の世界で、 外国人だらけの部署のただ一人の日本人 として働くほどに、成長できました。
いつまでも初心者英語でいてはいけません。一人でも多くの日本人が「グローバルで活躍デキる非ネイティブ」になれるように願って、『 絶対使っちゃいけないビジネス英語 』と題し 計6回 にわたり 至極のフレーズ を紹介します。
ネイティブは非ネイティブに対し、英語ができないからと排除するようなことはしません。しかし残念な英語で外国人たちをガッカリさせたり、損をしないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
STAY GOLD!
岡田兵吾さんの新刊はこちら!
岡田兵吾(おかだ ひょうご) @phoenix_hugo
マイクロソフト シンガポール アジア太平洋地区ライセンスコンプライアンス本部長。日本・韓国・オーストラリア・ニュージーランドの4か国のライセンス監査業務の責任者だけでなく、アジア全域のコンプライアンス対策およびデジタル変革を 推進 。また同社にて、アジア全域の働き方改革や国内外の大学・非営利団体でのリーダーシップ活動を評価され、数々の社内アワードを受賞。世界トップレベルの IEビジネススクール・エグゼクティブMBA 取得 。米国PMP(プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル)認定資格保持。著書に『ビジネス現場で即効で使える 非ネイティブエリート最強英語フレーズ550』(ダイヤモンド社)、『すべての仕事を3分で終わらせる外資系リーゼントマネジャーの仕事圧縮術』(ダイヤモンド社)がある。ダイヤモンド・オンラインにて「STAY GOLD! リーゼントマネジャー岡田兵吾の『シンガポール浪花節日記』」( https://diamond.jp/category/staygold )を連載中。人生目標は「ソーシャル・チェンジ」(社会変革)、座右の銘は「STAY GOLD!」
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発
- スマホ相手に恥ずかしさゼロの英会話
- 制限時間は6秒!瞬間発話力が鍛えられる!
- 英会話教室の【20倍】の発話量で学べる!
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。