エマ・ワトソンの造語「セルフパートナー」って?「ポリアモリー」「アセクシュアル」の意味は?(非)恋愛の英語表現

恋愛、セクシュアリティの英語表現

先月、イギリスの俳優、エマ・ワトソンが、自身がシングル(独身)であることについて“self-partnered”と表現し、SNSなどで話題になりました。この言葉が出てきた背景に何があるのでしょうか?また、恋愛(や恋愛しないこと)やセクシュアリティに関する用語の「ポリアモリー」「アセクシュアル」「ノンセクシュアル」「パンセクシュアル」についても紹介します。

エマ・ワトソンの“self-partnered”発言

先月、イギリスの俳優エマ・ワトソン(Emma Watson )が、30歳を目前にして、自身にパートナーがいないこと、つまりシングルであることを“self-partnered”と表現して話題になりました。

シングルであることに“happy”(満足)であるという意味合いで言った“self-coined phrase”(自身の造語*1)のようです。確かに、self-employed (自営の)に似ているこのフレーズからは、主体的な、充足している印象を受けます。

edition.cnn.com

上記のCNNの記事では、芸能人が使うこうした表現は社会の潮流を反映しているとし、“coupledom”(カップルでいること)について“on the road toward not being obsessed”(強迫観念が薄れてきている)という声を紹介しています。

In the United States, 51% of young people aren't in a relationship, a 2019 study found. Other research has found that millennials and Gen Z-ers have more positive views of single life, and are actively choosing it far more often.

2019年の調査によると、アメリカの若者の51パーセントには恋人がいない。他の調査では、ミレニアル世代(1980~1990年代半ばごろ生まれの人々)やZ世代(1990年代後半以降ごろ生まれの人々)は(前の世代よりも)、シングルとして生きることにポジティブなイメージを持っていて、積極的にその道を選んでいるとされた。

シングル(独身)でいることの「スティグマ」とは?

ただ、“lingering stigma”(まとわり付く、消えないスティグマ)はあるようです。「スティグマ」とは、「特定の属性を持っている人に対してネガティブなレッテルを貼り付けること」*2。英語ですが、日本でもこの意味でこのまま使われています。

CNNの記事は、40歳どころか25歳であっても、結婚していない人は、結婚している人と比べて、厳しい、非難の目で見られるというコメントを紹介しています。そのコメントはこう続きます。

But whether they marry or not, they realize at some point that they don't really want marriage ― they just thought they were supposed to marry and supposed to want to marry.

しかし、結婚しようとしまいと、ある時点で、結婚したいわけではないと気付きます。結婚することになっていると思っていただけ、結婚したいはずだと思っていただけだと。

シングルのタイプを表す英語表現

『The Guardian』の記事は、エマ・ワトソンの“self-partnered”以外に、シングルでいることを表す表現を5つ挙げています。皮肉っぽいこの記事から、一部を紹介します。

www.theguardian.com

  • unconsciously unpartnered:相手を見つけようと頑張っているが、なぜか見つからないタイプ
  • apposexual:マッチングアプリで相手を見つけることを繰り返すタイプ
  • dopiosexual:交際する相手がみんな愚か者と判明するタイプ(知性に魅力を感じるsapiosexualsの逆。異性愛者の女性は全てこのタイプだとする人もいる)
  • self-centered:自己中心的、自己愛タイプ

self-centeredは一般によく言われることで、この辛辣(しんらつ)な記事には「self-partneredって要するにself-centeredでは?」と あります。

「ポリアモリー」とは?

先に紹介した『The Guardian』の記事は、シングルでいる人を、そうなっている理由からタイプ別に分けていること自体が、「カップルでいるのがデフォルト(標準)で、シングルでいるには何か理由があるはずだ」という考え方に基づいているように思えます。もちろん、カップルの関係や親子関係などをタイプ別にネーミングすることもあるとは思いますが。

でも、人とどういう関係を結ぶか、または結ばないかは人ぞれぞれ。その「カタチ」はいろいろです。その中から用語を幾つか紹介します。

polyamory/ポリアモリー:

the practice of, or desire for, intimate relationships with more than one partner, with the consent of all partners involved*3

関与する全てのパートナーの同意を得て、複数のパートナーとの間で親密な関係を持つことまたは持ちたいと願うこと*4

これは、先の『The Guardian』の記事で最後に挙げられている“Being unethically monogamous with yourself”に関連があります。monogamy(モノガミー)は1対1の恋愛・婚姻関係を結ぶことで、polyamoryは関わる全員の同意の下で複数の人と関係を結ぶことです。

ポリアモリーとして発信している人もいて、日本では「きのコ」さんが有名です。テレビ出演や本の出版もしています。

誤解や偏見を持つ人もいるようですが、きのコさんのワークショップに一度参加したところ、ポリアモリーで重視される、意志の確かめ合い方、同意の取り方などの方法を、1対1のパートナーシップや、友人関係、親子関係、職場の人間関係などにも適用して、良い関係を築くヒントにすることもできるという点に学ぶところがありました。

cakes.mu

「アセクシュアル(無性愛)」「ノンセクシュアル(非性愛)」とは?

次の3つは、LGBTに加えて、セクシュアルマイノリティとして紹介されることが多い用語です。

まずは、「アセクシュアル(無性愛、無性愛者)」と「ノンセクシュアル(非性愛、非性愛者)」。 ウィキペディアでは、「asexuality(無性愛)」は下記のように説明されていて、「nonsexuality(非性愛)」の項目はないようですが、ここでは下記の日本語サイトから、日本で使われている意味を紹介します。

  • Asexuality is the lack of sexual attraction to others, or low or absent interest in or desire for sexual activity. *5
  • 無性愛(むせいあい、英: asexuality)とは、他者に対する性的な惹かれ(sexual attraction; 性的魅力を感じること)の欠如、または性的な行為(sexual activity)への関心や欲求が少ないか、あるいは存在しないことである。*6

lgbter.jp

アセクシュアル(無性愛):他者に恋愛感情も性的欲求も抱かない*7

ノンセクシュアル(非性愛):他者に恋愛感情は抱くことがあるが、性的欲求は抱かない*8

しかし、そもそも「恋愛感情」や「性的欲求」とは何か?というのも説明は難しい場合があり、アセクシュアルやノンセクシュアルと自認するかどうか、いろいろと考えることもあるようです。よろしければ下記の記事もご参照ください。

www.huffingtonpost.jp

「パンセクシュアル(全性愛)」とは?

最後に紹介するのは「パンセクシュアル(全性愛、全性愛者)」。「バイセクシュアル(両性愛、両性愛者)」は、男女どちらでも好きになる人を指しますが、それに対して、パンセクシュアルは次のように説明されます。

パンセクシュアル:好きになるにあたってセクシュアリティを条件としない *9

 

Pansexuality, or omnisexuality, is the sexual, romantic or emotional attraction towards people regardless of their sex or gender identity.*10

 

全性愛(ぜんせいあい)、パンセクシュアリティ(pansexuality)、オムニセクシュアリティ(omnisexuality)とは、男性ないし女性等の性の分類に適合しない人々も含め、あらゆる人々に恋をしたり、性的願望を抱いたりするという、全ての性的指向を内包する汎愛性の高い愛に於る形態である。*11

こうしたネーミングもやはり、「『普通』とは違う」というラベリングのように思えます。こういう人もいると示すには必要な過程かもしれませんし、このように自認したり表明したりすることで少し楽な気持ちになれることもあるでしょう。しかし、いずれは、どれもそれはそれとして受け止められる社会にできるといいと思います。

ただし、「多様なセクシュアリティ」にはさまざまなものがあり、中には人によって考え方が大きく異なり(セクシュアリティと見なすかも含めて)、公に語ることが今はまだはばかられるものもあります。難しいところですが、それはまた別の話・・・。

Irene

文:Irene
今回紹介したことについてはまだ学び中で、実際の人との出会いからも自分や世界を広げていきたいと思います。