現在形は「石」、過去形は「一匹狼」なんです【1回読んだら忘れない中学英語】

英語を教えて早30年、癒やし系でいながら熱い指導が人気の久保聖一先生による英文法講義です。学校の授業とは全く違うアプローチで話題を呼んでいる 『1回読んだら忘れない中学英語』 (KADOKAWA)のエッセンスをぎゅっと詰め込んだ連載。今回のテーマは時制。現在形と過去形について考えていきます。

1回読んだら忘れない中学英語
  • 作者: 久保聖一
  • 出版社: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/01
  • メディア: 単行本

現在形は「石」、過去形は「一匹狼」

英文法の中でもつまずく方が多い「時制」に迫っていきます。

私の授業では、「現在形=現在、今のことを表す」などという説明はしていません!ではどのように説明しているのかというと、現在形、過去形、進行形、現在 完了 形、それぞれ皆さんのイメージが湧きやすいようにキャラクター化しています。

今回は「現在形」と「過去形」を見ていきましょう。

現在形=頑固な石のかたまり

現在形のイメージは、「石」です。イラストを見てわかるように、 ちょっとやそっとでは動かない頑固者 。「固定」や「定まっている」という言葉がよく似合うのです。

言葉で補足すると、現在形には次のような特徴があります。

  • 今の一時的なことではなく「永続的」「普遍的(いつでもどこでも当てはまる)」なことを伝える。つまり、「いつものこと、普段のこと、習慣」を伝える
  • 「現在」を中心にして「しばらく前」や「しばらく先」も含む
  • 場合によって、範囲を区切れないくらい「長い時」も表す
具体的に 例文を挙げていきましょう。
She goes to school by bus.彼女はバスで学校に通っている。
「毎日バスで学校に行く」という普段のことを述べています。
He walks along the river in the morning.彼は朝その川沿いを歩く。
川沿いを歩くのは彼の習慣です。一時的なことではなく、普段のことを表します。
My parents live in Thailand.私の両親はタイに住んでいる。
両親は、今一時的にタイに住んでいるのではなく、「しばらく前」「しばらく先」もタイに住んでいます。
The Shinkansen for Tokyo arrives here at 5.東京行きの新幹線はここに5時に到着する。
いつものことで、個人の力で変更できません。時間が固定されています。

例文を読むと、 「現在形=今」では決してない 、ということが明らかでしょう。これからは、現在形の文に出会ったら「どっしりとした石」のイメージで解釈していきましょう。

過去形=クールな一匹狼

現在形の次は過去形です。 過去形は「他の人から距離を置いて生きる、クールな一匹狼」 です。「一匹狼」といっても嫌われて孤立しているのではなく、自ら他人と距離をとっているイメージです。

過去形の用法

① 現在とは無関係の「切り離し過去」
I caught a cold a week ago.私は1週間前に風邪をひいた。

この文が伝えるのは、「1週間前に風邪をひいた」という過去の事実のみです。イラストを見ると分かるように、今、風邪をひいたままなのか、完治したのかは不明です。

過去形は過去と現在を切り離して考える時制 なので、今のことは伝えることができません。現在とは距離を置いているイメージです。

②相手から距離を置く「丁寧な過去」
1) Will you open the window?窓を開けてもらえますか?
2) Would you open the window?窓を開けていただけますか?
  1. と 2) の文、どちらが丁寧かわかりますか。答えは、2) のほうが丁寧です。will の過去形が would ですね。

つまり 1) の will は上のイラストのようにカジュアルにお願いしており、2) は下のイラストのように 過去形で距離を置いて依頼しているので丁寧 というわけです。

よく「Will you?? より Would you?? のほうが丁寧だ」と丸暗記で済ませてしまいがちですが、「過去形で距離をとるから丁寧」と考えたほうが理解が深まります。

 

現在形=「石」、過去形=「一匹狼」と、イラストのイメージでつかむことで、それぞれの感覚がつかめましたか。

次回は「進行形」「現在 完了 形」のキャラを紹介していきます!

オススメの本
1回読んだら忘れない中学英語
  • 作者: 久保聖一
  • 出版社: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/01
  • メディア: 単行本
久保聖一(くぼ せいいち)筑波大学人文学類言語学科卒業。塾経営を通じて、また予備校や塾の講師として、30年以上にわたり英語教育に携わる。「ABC…のアルファベットは読めるけれど、 make など英単語は発音できない」レベルの生徒を1年後には偏差値60の大学に合格させるなど、これまで多くの英語嫌いを英語好きに変えてきた。著書に『1回読んだら忘れない中学英語』(KADOKAWA)、『英語感覚が理屈でわかる英文法』(ベレ出版)、『中学3年間の英単語がイラストで覚えられる本』(KADOKAWA)などがある。『1回読んだら忘れない中学英語』Twitter: https://twitter.com/chuugakueigo
記事構成:余田志保(つばめパブリッシング) イラスト:田島ミノリ

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