「ミスを恐れて英語が話せない」は本当か?真の原因を暴く【関正生の英語コーチングTIPS】

英語学習者にとって、維持することが一番難しいのがモチベーション。連載「関正生の英語コーチングTIPS」は、カリスマ英語講師の関正生さんが、今まで数多くの学生を導いてきたように、熱いメッセージであなたのやる気を引き出します!

「英語が話せない」呪縛からの解放

こんにちは、英語講師の関正生(せきまさお)と申します。この連載では、英語の勉強のモチベーションアップにつながることを6回にわたってお伝えしていきたいと思います。

モチベーションアップの方法にもいくつかの種類があって、英語を使った楽しいエピソードを伝えたり、コーチが自分の体験談を伝えたり、人それぞれです。

今回は、ボクの25年ほどの英語講師としての経験を通して、「多くの人が苦しめられている言葉の呪縛」を解いてみたいと思います。というのも、よくある俗説にとらわれてしまってモチベーションが下がってしまう人が多いのです。

よくあるアドバイス

「(受験英語や英文法中心の勉強のせいで)ミスを恐れて話せなくなっている。ミスを恐れずにたくさん英語を話そう」

このアドバイス、英語学習のあらゆる場面で言われることですよね。皆さんも何度も聞いたことがあるはずです。

本当にミスを恐れたから話せなかったのか?

ここで、今まで英語を使った場面を思い出してみてください。

確かに学校の授業で当てられたときや、英会話学校でのグループレッスンでは、「ミスしたら恥ずかしい」という気持ちが先行したでしょうが、本当に英語を話さないといけなかった場面――例えば、英検の面接試験、仕事、海外旅行、日本で外国人に道を聞かれたとき・・・英語が話せなかった原因は「ミスを恐れたから」だったのでしょうか?

おそらくは「ミスを恐れて話せなかった」のではなく、単に「英語が出てこなかった」からではないでしょうか?「言いたいことが出てこない」「パッと答えられない」などで、脳と体が硬直してしまったからだと思います。

「こんな感じの英語だとは思うけど、間違えてたら恥ずかしいから、言わない方がいいかな?」なんて思えるのは、実はかなり余裕があると思いませんか?そこまでいければ、すごく立派で大したことではないでしょうか。

性格を変えるより、英語力を上げよう

実際にはそんな余裕はなく、間違うことさえできないことが大半だというのが実情だと思います。このように考えることで、「では何がいけなかったのか?」を考えるきっかけになります。

従来のように、「ミスを恐れているから話せないんだ。もっと勇気を持って英語を使っていこうよ」と言っているだけでは、永久に本当の原因を突き止めることはできません。

本当の原因が不明のままですから、英語力向上にはつながりません。そもそも「勇気を持って」というのは一見簡単なことに思えて、その実、皆さんが今まで一緒に生きてきたその人格を変えることでもありますから、とてつもなく難しいことなのです。

ボクに言わせれば、「性格を変えるなんて不可能。でも英語に対する考えを改めることならできるので、それをやりませんか?」ということなのです。

本当の原因を考えよう

さてそれでは、その原因をここでいくつか挙げてみましょう。

話せない原因
  • 日本語で聞かれても話せない内容(例:「同性婚についてどう思う?」)
  • 普段、日本語では話さない内容(例:「週末はどうだった?」)
  • 話したい内容の英単語を知らない
  • 英単語は知っているけど、パッとは出てこない

最後の「英単語は知っているけど、パッとは出てこない」は、実は非常に多いのですが、その理由としては、「英語表現がきちんと定着していない(からパッと出てこない)」ということがあります。

例えば、われわれは学生時代の単語テストのように、ある単語を見せられたときに意味さえ言えれば、その単語を知っていると思い込みがちですし、そのように指導されてきたと思います。

しかし実際に自分が英語を使う場面になれば、突然何のヒントもなしにその英単語を声に出さないといけないのです。これは想像以上にハードルが高いことであり、そのためには、知識として完璧に定着していることが最低条件と言えます。

わかりやすく言えば、単語テストで出た単語の意味を言うのに3秒考えるようでは手遅れなのです。0.1秒で意味が浮かぶくらいでないといけないのです。

真実が見えれば対策も見えてくる

厳しいことを言っているように感じたかもしれません。でも誤解してほしくないのは、ボクは「真実(とボクが信じていること)を言っているだけ」だということであり、かつ、「真実が見えれば、自ずと進むべき正しい道も見えてくる」ということなのです。

今までのように「ミスを恐れずに話そう」という言葉のもとでは、本当の対策は見えてこないと思いませんか?先ほども言ったように、性格を変えることは至難の業であり、仮にそれが達成できたところで、英語が出てこない理由は(勇気の問題ではなく)英語の定着度の問題だったりするわけですから、それを克服しないことには英語を使えるようになるわけがない、というのがボクの考えです。

「今まで頑張ったつもりだけど成果が出ない」人も、「そんなこと言われてもできないよ」と思っていた人も、精神論を強要されて「やっぱ自分には英語は無理かも」と思っていた人も、そんなことまったく気にする必要はないのです。

この連載のすべて、とは言いませんが、ほんの1フレーズでも何かしら、英語を学習する皆さんのお役に立てることと思いますし、それが大きなターニングポイントになる人もいるかもしれません。どうぞ次回からの記事もお読みいただければ幸いです。ではまたお会いしましょう。

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関 正生(せき まさお)

1975年生まれ。慶應義塾大学文学部(英米文学専攻)卒業。ストリームライナー代表。スタディサプリ講師。TOEIC L&Rテスト990点満点取得。2006 年以降のTOEIC 公開テストをほぼ毎回受験し、990 点満点を取り続けている。 リクルート運営のオンライン予備校『スタディサプリ』で、全国の小中高生・大学受験生対象に、毎年140万人以上に授業を、また、『スタディサプリ English』のTOEICテスト対策講座では、300 本以上のTOEICテスト対策の動画講義を行っている。著書は130冊超、累計300万部突破。

更新:2023/10/25

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