誰にでも訪れる英語の伸び悩み。連載「やりぬく!英語学習」では、今まで多くの生徒が抱える英語上達の伸び悩みを解決してきた関 正生さんが、徹底解説!英語の勉強法に関するよくあるお悩みから、自身が行って抜群に効果のあった方法まで、飛躍的に英語力が向上する勉強法を伝授します。今回は リスニング力 を上げる勉強法です。
質問1
楽しみながらリスニング力を付けるために、洋画を見ようと思います。英語学習に向く作品の選び方はありますか?
その前に、ハードルの高さを知っておこう
「字幕なしで洋画が楽しめるようになりたい!」というご相談を、よく頂きます。でもこれって実は、 メチャクチャ難しいこと なのです。映画の中では、さまざまな社会階層の人、出自(しゅつじ)の人が、それぞれなまりやクセのある英語を、ナチュラルスピードで話しています。
スラング、流行語、文化や歴史背景を知らないとピンと来ないジョークや言い回しもたくさん出てきます。英検1級とか、TOEIC満点レベルのリスニング力よりも、字幕なしで洋画を見て、完璧に聞き取ることは、はるかに上のレベルなのです。
コツは自分が好きな作品を選ぶこと
それでも英語で洋画を見ることで、英語の音に慣れる、好きな俳優がこんな表現をしていたと発見するなど、英語学習上で得るものはたくさんあります。
せりふの一言一句がわからなくても、物語全体の意味が理解でき、ストーリーが楽しめる程度を目標とするのは、よいことです。
英語学習を念頭に、映画を選ぶ際のポイントは、至ってシンプルです。それば、自分が好きなジャンルを選ぶこと。どんなに人から勧められても、 あなた自身が面白いと思えない作品は、あなたの英語学習に向く作品とはいえません 。
また、好きな映画を英語で見ているだけで、リスニング力が付くかというと、それは無理というもの。せりふの一つ一つを意識して、真剣に聞き取るよう集中することが重要です。
質問2
リスニング力を付けるために、先生がやって効果的だった勉強法を教えてください。
日本アニメの英語版を見る
よく、アメリカ大統領のスピーチが勉強になるとか、TEDを聞きなさいとか、いろいろ言いますよね。でもぼくには、どれもまったく面白くありませんでした。
洋画も同じで、定番の恋愛映画からホームドラマまで、一通り見ましたが、何一つ面白いと思えなかったんです。
そんな風に路頭に迷っていたときに出合ったのが アニメ でした。日本の人気アニメの英語版が、逆輸入でたくさん日本に入ってきていたのです。ぼくは『 DEATH NOTE 』(デスノート)をずいぶん見ました。
TEDは敷居が高いけれど、アニメなら入りやすいという人は少なくないと思います。日本でヒットしたアニメ作品は、たいてい英語版が出ていて、DVDでも売っていると思いますから、お気に入りの作品を探してみてください。
録音教材も活用
映画の英語が想像以上に難しいという話を冒頭でしましたが、これと対照的に聞きやすいのが、 英語学習者用に録音されたリスニング教材 です。
登場人物やナレーターが台本に基づいて、きれいな英語で話してくれているからです。せっかくそういう素材があるのですから、TOEICや英検用の教材を含め、積極的にリスニングの勉強に使わない手はありません。
僕も受験英語やTOEICで、リスニング教材をやりました。でもそればかりだと飽きてしまうので、好きな洋画でも、アニメの英語版でも見ればいい。
映画の中で話されている英語の聞き取りは、 究極のゴール のようなもの。いきなりそのレベルに挑戦して挫折するより、ゴールを意識しながらも、そこに至るまでの過程として、いろいろなリスニング素材を取り入れていくほうが、無理なく力がつくと思います。
リスニング対策に効く!オススメの本
『世界一わかりやすい 英語の発音の授業』(KADOKAWA)
発音には「弱形」と呼ばれるものがあります。といっても、小さな声で発音することではありませんよ。ネイティブスピーカー同士が話すのを聞いていると、for、from、andなどが聞き取れないことがあります。彼らはもともと、forはフォ、fromはフム、andはンとしか発音していないのです。これが「弱形」です。
「弱形」のおかげで、 ‘Ham and eggs. ’は‘ハマンネッグス’のように聞こえます。「弱形」なのだから、「ハム アンド エッグス」のように、‘アンド’を小声で弱く言えばよさそうな気がしますが、そうではありません。andは最初から、(大きな声でも小さな声でも)「ン」や「アン」と発音する。これがルールです。
同様に 、himもヒムとは言わず、イムと発音し、‘Ask him. ’は‘アスク・ヒム’ではなく、‘アスキム’のように聞こえます。そのように発音しているのですから、そのように聞こえてよいのです。「弱形」をマスターすると、英語がぐんと聞き取れるようになりますが、この本では、日本人があまり気づいていない、こうした英語の発音理論を含めて解説しています。
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