英語の5文型、第4文型SVOOと第5文型SVOCを分かりやすく説明【5文型の知識で正しく英語を使えるようになろう(後編)】

学生時代、英語が苦手でずっと避けて通ってきた、会社も英語とは縁遠いところに就職した……なのに、急に仕事で必要になるなんて! という方に向けて、「とりあえず押さえておけば大丈夫」という基本的な文法をご紹介します。今回取り上げるのは、5文型の第4文型(SVOO)と第5文型(SVOC)です。

「前編」の記事はこちら

まずは英文間違い探しに挑戦!

前回は5文型の第1文型から第3文型について学びました。今回は残りの第4文型(SVOO)、第5文型(SVOC)について学びましょう。

今回もとりあえず次の英文をご覧ください。

例文A I had him the document.
例文B I gave him the document.
例文C I gave the document him.
例文D I named the plan “Z project.”
例文E I named “Z project” the plan.

例文A~Eを見て、どう思いますか?おやっ、変な英文が混じっているとすぐに気が付きましたか? 意味が変なので普通は「正しい英文」とはみなされないものもあります。例文のどれが正しくて、どれが間違っているのか、すぐに判別できるよう「5文型」を学んでいきましょう。

第4文型(SVOO):Vの後はO1とO2(どちらも名詞)

前回も説明しましたが、5文型とは「動詞の後ろにどのような性質の単語をどのような順番で並べるべきか」を記したものです。第4文型も「動詞(V)の後」に注目して考えましょう。

例文A:I had him the document.例文B:I gave him the document .

例文の文型を見極めましょう。例文Aも、例文Bも、動詞の後ろはhimとthe documentです。この2つの単語の品詞を辞書で調べましょう。

himは代名詞ですね、これは名詞の一種です。documentは名詞ですね。この段階で例文Aと例文BはSVOMやSVCMにはならないと判明します。Mは副詞しかなれないからです。「Mって何?」という方は「5文型の知識で正しく英語を使えるようになろう(前編)」を参照して下さい。

文の要素が2つあるので、例文Aと例文Bは第4文型(SVOO)か第5文型(SVOC)のどちらかである、と判明します。

第4文型(SVOO)と第5文型(SVOC)の違い

ここからは新しい知識です。

  • SVOO の場合 2つのOは両方共に名詞(もしくは名詞の役割を果たす部分)でなければならない
  • SVOC の場合、Oは名詞で、Cは名詞か形容詞でなければならない

のです。

今回は動詞(V)の後はhimとthe documentで共に名詞。ここまでの知識ではSVOOかSVOCかまだ分かりません。この区別をするためには更に重要な知識が必要です。それは

SV O1 O2 ならばO1≠O2になる
SVOCならばO=Cになる

というものです。(O1は1つ目のO、O2は2つ目のOという意味です)

これがSVOOとSVOCの大きな違いです。さあ今学んだ知識で例文AとBを見極めてみましょう。

例文A:I had him the document.
例文B:I gave him the document.

この2つの文におけるhimとthe documentの関係を調べましょう。

すると

him≠the document

という関係だと分かりますね。「彼」は「その書類」ではないのでhim は「O1」 、the documentは「O2」である、と確定します。つまり例文Aも例文BもSVOOの第4文型であると確定します。

辞書でhaveとgiveの性質をチェックする

ではそれぞれ動詞haveとgiveを辞書で調べましょう。それぞれに「SVOO」の説明部はあるでしょうか?

haveの場合、『ジーニアス英和辞典』を見るとSVOCはありますが、haveにはSVO1O2がありません。従って、例文A:I had him the document.は間違いであると判定できるのです。

ではgive。『ジーニアス英和辞典』では1番目に、SV(O1)O2 / SVO2(to O1)という表示があります。「/」 で2つに分かれていますが、手前の方は SV(O1)O2 です。(O1)は「あってもなくても良い」という意味ですが、今回はカッコを取り払いましょう。するとS VO1O2が残ります。giveには「SVOO」の形があるということになります。

では意味を確定させましょう。

『ジーニアス英和辞典』のgiveには、「<人が>(O1<人>に)O2<物・金>を(無償で)与える」とあります。今回はS+V+O1+ O2なので、「O1<人>にO2<物・金>を(無償で)与える」という意味になります。例文B:I gave him the document.は「私は彼にその書類を与えた」となり、普通に意味が通ります。したがってこの英文は正しいのです。

語順で意味が変わる

例文C:I gave the document him.

この英文が正しい英文か分かりますか? もし正しいとすれば意味は「私はその書類に彼を与えた」となります。意味がおかしいですね。通常はこういう英文は正しいとは言えません。

なぜか?

例文Cは例文Bとthe documentとhimの位置が逆なだけですね。SVO1O2のはずです。この形のgiveは「O1<人>にO2<物・金>を(無償で)与える」でした。これに則って英文の和訳例を作ると、 「私はその書類に彼を与えた」になってしまいます。順番で意味が決まるので「に」と「を」が逆にできません。意味的におかしいので、この英文は通常間違いと判定されるのです。

でもhim をどうしても文末に持ってきたい場合、良い方法があります。

『ジーニアス英和辞典』に載っていた文型表示をよくご覧ください。SV(O1)O2 / SVO2(to O1)と書いてあるSVO2( to O1)を使えばO1とO2の位置を逆にできます。つまり toを加えてS V O2 to O1にするのです。

要するに

例文C:
I gave the document him. ←これだと?ですが
I gave the document to him. ←こうすれば○になります。

ただし、

I gave the document to him. ←この文は第4文型ではなく第3文型扱いになります。

なぜか?

*実はto himが「前置詞+名詞」の塊として扱われto himの部分が「M」とされてしまう*からです。この英文はSVOMと判断されてしまうからなのです。「前置詞+名詞」が「M」とされるのは、「5文型の知識で正しく英語を使えるようになろう(前編)」の説明を参照して下さい。

第5文型(SVOO) Vの後はOとC(Oは名詞、Cは名詞か形容詞)

例文D:I named the plan “Z project.”(○)
例文E:I named “Z project” the plan.(×)

例文Dは正しい英文ですが、例文Eは正しくない英文になります。例文Eは「私はZプロジェクトにそのプランと名付けた」となり、意味がおかしいですね。

実は、この例文DとEは、「 超重要! 語順を正しく理解する」で紹介した英文です。そのとき「語順が逆だと意味がおかしくなる」という説明をしました。今回はこれを更に掘り下げます。

例文の文型を見極めましょう。 例文Dの動詞の後ろはthe planとZ projectの2つ、例文Eの動詞の後ろはthe planとZ projectの2つがあります。順番が逆なだけですね。この2つの単語の品詞をまず調べましょう。planは名詞です。Z projectは「Zプロジェクト」という固有名詞ですね。

この段階で例文D、例文EはSVOMやSVCMのような形はあり得ないと判明します。「副詞」しかMにはなれないからです。となると、文の要素が2つあるので、これらの文型はSVOO かSVOC のどちらかである、と判明します。

SVOOとSVOCの違いを思い出そう

SVO1O2ならばO1≠O2になる
SVOCならばO=Cになる

これを使います。

例文D:I named the plan “Z project.”
例文E I named "Z project" the plan.

the planとZ projectもしくはZ projectとthe planの関係を見極めましょう。すると

the plan=Z project
Z project=the plan

という関係だと分かりますね。今度はイコールで結べます。この2つは同じものですね。 従って、例文Dも例文EもSVOCの第5文型であると確定します。

辞書で動詞nameをチェック

では動詞 name を調べます。name は名詞もありますから注意しましょう。

『ジーニアス英和辞典』ならSVO(C)と書いてある部分があるはずです。意味は「<人が><人・動物など>に(Cと)名前を付ける」と書いてあります。今回はCがあるので「<人・動物など>にCと名前を付ける」という意味ですね。

例文Dと例文Eのそれぞれにこれを当てはめて意味を完成させましょう。すると

例文D:I named the plan “Z project.”は
→「私はその計画にZプロジェクトと名前を付けた」
例文E:I named “Z project” the plan .
→「私はZプロジェクトにその計画と名前を付けた」

になりますね。

例文Dの「私はその計画にZプロジェクトと名前を付けた」は意味的に問題ないでしょう。だから例文Dは正しい英文です。

しかし 例文Eの「私はZプロジェクトにその計画と名前を付けた」はどうでしょうか。変な意味ですよね。通常はこの英文は間違った英文とされてしまいます。

こうやって適切な場所に適切な単語を入れることで、英文を正しく作ることができます。

以上で5文型の説明はおしまいです。本当は第4文型と第5文型には応用形があり、そちらも学習しなければなりません。しかし初心者はそこまで一気に学習できないと思うので、この基本形の学習のみにとどめます。

どんなに長い英文でも、この5文型の原則の応用なのです。なので、まずはこの基本形を確認しましょう。そして簡単な英文なら正しい順序で適切に使えるようになりましょう。

冒頭の間違い探しの答え
例文A:I had him the document.が間違った英文

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早稲田大学卒。中高では英語は赤点ばかりの超オチコボレであったが、浪人時代に苦手なりにも受験英語をクリアーする方法に目覚める。未だに英語が嫌いなため、英語が嫌いで苦手な人に教えるのが好き。
ホームページ:本気で嫌いな英語を何とかする方法
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