「Phrasal Verbs」(句動詞)とは
「英単語の勉強=丸暗記」だと思っていませんか?しかし、その発想があなたの英語学習を非効率にしているかもしれません。ネイティブスピーカーは英語をイメージで捉え「Phrasal Verbs」を駆使して会話をします。「Phrasal Verbs」とは動詞と前置詞・副詞の組み合わせで、turn on、turn up、turn outのような表現のことです。
中学校で学習した「基本動詞」が使われているので一見簡単そうに見えますが、色々な組み合わせがあるので、いざ暗記しようとすると頭が混乱してしまいがちです。ネイティブが毎日のように使うものでありながら、多くの日本人学習者の方が使いこなせていません。
この連載を通して、動詞、前置詞・副詞のコアイメージ(単語の持つイメージ)、基本的な意味を理解して、効率よく「Phrasal Verbs」を学んでいきましょう!
getのイメージ
getは、まずは他動詞で「〔~に〕至る、「〔~に〕到着する」、「〔~を〕買う」、「〔~を〕手に入れる」などの意味を連想する方が多いと思いますが、そのコアイメージは「何かを自分のものにすること」「どこかに向かうこと」です。下の画像を見てください。
このように、getは基本的に「何かを捕まえたり、得たりして自分のものにすること」を表します。また「どこかに向かう」という意味もあり、前置詞・副詞とセットになることで、入る、出る、降りるなどの「動作」を表します。
getの使い方
get backの場合
backのイメージは「後向き、戻ること」です。自分の過去を振り返るときや失くしたものが戻ってきたとき、旅行から帰ってきたときなどに使われ、「後ろに戻る」ニュアンスが含まれます。
get backの意味
get(向かう)+ back(後ろに戻る) で、「戻る」や「帰る」を意味します。同じ意味として使える return よりも口語的な響きがあります。
- ~から戻る(from ~ )
- ~が返ってくる
- 改めて連絡する
例文
What time did you get back last night? 昨晩、何時に帰ってきたんですか?
I get my car back tomorrow. 明日車が返ってきます。
I’ll get back to you on that. その件については折り返し連絡します。
get intoの場合
intoのイメージは「物の内側への方向」で、「変化」の意味合いを持ちます。新しい趣味に興味を持ち始めたり、ある問題を詳しく調べたりなど、「何かの中に入っていく」イメージがあります。
get intoの意味
get(自分のものにする)+ into(変化) で、「何かに興味や関心を持つようになる」を意味し、特に疑問文で何かを始めたきっかけを尋ねるときに使われる表現です。
- 仕事や趣味を始める
例文
How did you get into your career? 仕事を始めたきっかけは何でしたか?
My dad got me into fishing. 父親の影響を受けて釣りを始めました。
What got you into surfing? サーフィンを始めたきっかけは何でしたか?
相手に何かを始めたきっかけを尋ねる場合、What got you into ~ ? という聞き方もできます。
意味は How did you get into ~? と同じですが、より砕けたインフォーマルな言い方になります。
get offの場合
offのイメージは「何かが離れたり、外れたりすること」です。ボタンがシャツから外れたり、バスや電車などの乗り物から降りたり、洋服や靴を脱いだりするような状況で使われます。
get offの意味
get(向かう)+ off(離れる)で、「バスや電車などの乗り物から降りる」を意味します。「仕事が終わる」という意味もあり、finish work の口語的な言い回しとして使えます。
- (バスや電車などの乗り物から)降りる
- 仕事が終わる
例文
We’re getting off at the next station. 次の駅で降ります。
Get off at Shibuya Station. 渋谷駅で降りてください。
What time do you get off work? 何時に仕事が終わるの?
【画像=@伊藤ハムスター】
bringのイメージ
bringは、まずは他動詞で「〔物を〕持って来る」、「〔話し相手のところへ物を〕持って行く」、「〔話し相手のところに~を〕連れて行く[来る]」などの意味を連想する方が多いと思いますが、そのコアイメージは「話し手のところへ何かを持ってくること」です。下の画像を見てください。
「何かを持って行く」、または「誰かを連れて行く」場面でよく使われます。bring A B の形で「AにBを持ってくる」という意味になります。
bringの使い方
bring upの場合
upのイメージはのイメージは「上の方向」で、「何かを完全に終わらせる」意味合いも含まれます。上を向いたり、横になっている状態から起き上がったり、値段が高くなったり、音量を上げたりするなど、さまざまな場面で使われます。
bring upの意味
bring(持ってくる)+ up(上に)で、「何かの話題を持ち出したり、言い出したりすること」を表し、mention や talk about の代替表現として日常会話で使われます。
- (話題を)持ち出す
- 育てる
例文
・You bring up a good point. 鋭い指摘ですね。
・You shouldn’t bring up politics in small talk. 世間話で政治の話を持ち出さない方がいいでしょう。
・I was brought up by my grandparents. 私は祖父母に育てられました。
bring downの場合
downのイメージは「下の方向」です。ポスターの位置を下げて欲しい時や音量を下げて欲しいときなど「何かを下げる」場合に使うほか、「気分を沈ませたり、何かを断ったりする」意味でも使われます。
bring downの意味
bring(持ってくる)+ down(下に)で、「何かをある位置から下げる」を意味します。物の位置を下げるだけでなく、値段を下げる、気分を沈ませるという意味でも使われます。
- ~を下げる
- ~を減らす
- 気分を沈ませる
例文
・ I’ll bring down the suitcase. スーツケースを下に持ってくるね。
・Can you bring the price down a little more? 価格をもうちょっと安くしてくれませんか?
・I don’t like hanging out with him. 彼と一緒にいるのは好きではありません。/ 彼といると気が滅入ります。
・He brings me down. 彼といると気が滅入ります。
おわりに
日常会話でもビジネス英語でも活躍する「Phrasal verbs」は、丸暗記するのではなくネイティブスピーカーと同じようにイメージや感覚で理解することがポイントです。動詞・前置詞・副詞のイメージを少しずつ習得し、自由に使いこなせるように練習していきましょう!
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