TOEFL iBTテストの大幅な改訂。IELTSの存在感の高まり。そして急速に広がりつつあるDuolingo English Test。留学を目指す人にとって、英語試験の選択肢はここ数年で大きく変わりつつあります。長年にわたり留学テスト指導に携わり、近年はDuolingo English Testの書籍も執筆している西部有司先生に、現在の留学英語試験の状況について話を聞きました。そのインタビューを2回に分けてお届けします。
目次
TOEFL指導に携わって約25年
――まず先生のご経歴からお伺いしたいのですが、留学試験の指導にはいつ頃から関わっていらっしゃるのでしょうか。
留学系のテストを教え始めてから、もう25年近くになりますね。もともとはECCでTOEICを教えるところからスタートしました。その後、TOEFL専門のスクールで教えるようになり、そこから留学試験の指導に関わるようになりました。
――かなり長くこの分野を見てこられているわけですね。
そうですね。2000年頃からですから、テストの勢力図の変化もかなり見てきました。
日本ではIELTSがTOEFLを逆転
――最近の状況でいうと、やはりIELTSの存在感がかなり大きくなっていますよね。
日本においては、IELTSはもうTOEFLを抜いていると思います。公式にはなっていませんが、私が把握している数字ではDuolingo English Test(以下DET)が本格的に広がる前の段階でも、IELTSの受験者数の方がTOEFLより多かったですね。
――TOEFLは長く留学試験の「横綱」というイメージがありましたが、変わってきているんですね。
そうですね。TOEFLとIELTSの受験者数は、日本では合わせても10万人程度です。TOEICと比べると、かなり小さい市場なんですが、その中でIELTSが伸びて、さらにDETが入ってきたという状況ですね。
TOEFL改訂の背景
――今年はTOEFL iBTテストが大きく改訂されました。どうご覧になっていますか。
かなり大きく変わりましたね。1つ1つの問題の解答時間が短くなりましたし、問題形式も変わりました。リーディング・リスニングも短くなっていますので、これまでよりも楽に受験できるようになりました。また、スコアが点数ではなく1から6.0のバンド制になりました。 0.5単位の四捨五入(ただし0.25は切り上げ)なので、4セクションの平均が5.25の場合、総合は5.5となり、スコアが出やすくなる場合もあります。
――アカデミック要素が弱くなったという指摘もあります。
語学関係者の多くは最初かなり否定的でした。TOEFLの特徴だった統合型タスク(「読んで、聞いて、書く」など、複数のスキルを組み合わせて解答する問題)もなくなりましたから。ただ、テストが始まってしまえば、それに対応するしかないというのが現実です。
受験者は「スコアが取りやすく楽なテスト」を選ぶ
――学生が試験を選ぶとき、何を基準にしているのでしょうか。
結局は「どれが楽か」です。アカデミックに優れているとか、テストの理念がどうとか、語学講師にとっては重要ですが、受験者にはほとんど関係ありません。
――かなり率直ですね。
実際そうなんです。「どのテストがスコアを取りやすいか」という情報で選ばれることが多いですね。
そして存在感を増すDuolingo English Test
――その中でDETが広がってきているわけですね。
そうですね。IELTSがTOEFLを逆転したときと同じことが、DETでも起きる可能性があると思っています。
――つまり試験の勢力図がもう一度変わる可能性があると。
はい。特に若い世代ではDETがかなり強いですね。オンラインで受験できて、時間も短い。そういう点は今の時代に合っています。
最終的に重要なのは大学の要件
――では、留学を目指す学生はどの試験を選べばよいのでしょうか。
まずは志望する大学がどの試験を受け入れているかです。そこが一番重要です。そのうえで複数の試験が認められているなら、受けやすいものを選べばいいと思います。
――ありがとうございました。次回は、留学試験として近年急速に存在感を高めているDuolingo English Testについて、テストの特徴と対策のポイントをお話を伺います。




