スラッシュリーディングとは?やり方やおすすめ教材を紹介

「英語の長文を読むのに時間がかかりすぎる」「読んでいる途中で、何の話だったか分からなくなる」。そんな悩みを抱えていませんか?
原因は、英語を日本語の語順に直して訳す「返り読み」にあるかもしれません。
この記事では、英語を英語の語順のまま理解する力を養う「スラッシュリーディング」という学習法を徹底解説します。

スラッシュリーディングとは

スラッシュリーディングとは、英文を意味のかたまり(チャンク)ごとにスラッシュ(/)で区切り、語順のまま読み進めていくトレーニング方法です。「区切り読み」や「チャンキング」とも呼ばれます。

英語を語順のまま理解するためのトレーニング

日本語と英語では、文の構造が大きく異なります。

  • 日本語: 私は 昨日 公園で 新しい犬を 見ました。 (S O V)
  • 英語: I saw a new dog / in the park / yesterday. (S V O)

多くの日本人は、英語を読む際に後ろから前に視線を動かす「返り読み」をしてしまいがちです。スラッシュリーディングは、この癖を矯正し、英語を頭から順番に理解するためのトレーニングです。

スラッシュリーディングで得られる効果

スラッシュリーディングを継続すると、主に3つの効果が期待できます。実際に、チャンキング(意味の塊で区切って読む)指導が英文読解に与える効果を検証した研究も行われています。

読解速度と内容理解度の向上

ある研究では、中学3年生を対象にチャンキング指導を行ったグループと、従来の訳読式授業を行ったグループを比較しました。その結果、チャンキング指導を受けたグループの方が、読解速度と内容理解度の両方において、より大きな力の向上が見られました。これは、返り読みをせずに英語の語順で意味を処理していくトレーニングが、速く正確に読む力を効果的に伸ばすことを示唆しています。

参考:チャンキング指導が英文読解に及ぼす効果 ―訳読式授業との比較を通して― (PDF)

リスニング力の向上

英語の語順で意味を理解する回路ができると、耳から入ってくる英語にもスムーズに対応できるようになります。スピーカーが話す順番通りに内容を理解できるため、リスニング力の向上にも繋がります。

スピーキング・ライティング力の向上

英文の構造(文型)を意識する癖がつくため、自分で英語を組み立てる際にも、正しい語順で自然な文章を作りやすくなります。

スラッシュリーディングのやり方

スラッシュリーディングのやり方を3つのステップで解説します。

Step 1. 意味のかたまり(チャンク)でスラッシュを入れる

まずは、英文を意味のかたまりで区切っていきます。明確なルールはありませんが、慣れないうちは以下のポイントで区切るのがおすすめです。

  • 前置詞句の前: in, on, at, to, for など
  • 接続詞の前: and, but, when, because, if など
  • 関係代名詞の前: who, which, that など
  • 不定詞・動名詞の前: to do, doing
  • カンマ(,)やコロン(:)

【例文】
I went to the library / to borrow a book / that my teacher recommended.

Step 2. チャンクごとに意味を理解する

スラッシュで区切ったかたまりごとに、前から順番に意味を捉えていきます。このとき、きれいな日本語にす必要はありません。

【例文の解釈】

  • I went to the library / (私は図書館へ行った)
  • to borrow a book / (本を借りるために)
  • that my teacher recommended. / (私の先生がおすすめした)

このように、頭から順番に情報を足していく感覚で理解するのがコツです。

Step 3. 音読する

最後に、スラッシュを入れた文章を音読します。スラッシュの位置で少し間を置き、チャンクを意識しながら読んでみましょう。それぞれのチャンクの意味を頭に思い浮かべながら音読することで、英語の語順で考える習慣が定着しやすくなります。

スラッシュリーディングができるおすすめ教材

スラッシュリーディングは、基本的にどんな英文でも練習できますが、ここでは特におすすめの教材を3つ紹介します。

究極の英語リーディングVol. 1

これからスラッシュリーディングを始める初心者の方に最適な一冊です。「語順のままに読み下す」ことを目的に作られており、スラッシュの入れ方やチャンクの捉え方が非常に丁寧に解説されています。短いニュース形式の英文を使い、基礎から無理なく学べるのが特徴です。

学習アプリ「 booco 」では、音声のダウンロードに加えてスラッシュリーディングに適した機能や自動採点のクイズ機能で効率的な学習を行えます。
スマートフォンやタブレットで効率的に学習をしたい方におすすめです。

実際の学習画面

2. NHK WORLD-JAPAN

日本の公共放送であるNHKが運営する、海外向けのニュースサイトです。日本の出来事を平易な英語で発信しており、無料で豊富な英文に触れることができます。一文が比較的短く、内容も馴染みやすいため、スラッシュリーディングの練習素材としておすすめです。多くの記事に音声が付いているのも大きなメリットです。
NHK WORLD-JAPAN - NHK

3. 『速読英単語』シリーズ (Z会)

長年にわたり多くの英語学習者から支持されているベストセラー教材です。多様なテーマの英文を読みながら、文脈の中で単語を覚えていくコンセプトですが、この「英文を読む」プロセスがスラッシュリーディングの練習に最適です。文章の長さやレベルが適切で、構文解説も付いているため、チャンクを意識する練習がしやすくなっています。入門編から上級編までレベル別に分かれているので、自分に合った一冊を選べます。

スラッシュリーディングをする際に意識するべきポイント

学習効果を最大化するために、以下の3つのポイントを意識しましょう。

スラッシュを細かく入れすぎない

慣れないうちは細かく区切っても構いませんが、最終的な目標はより大きなかたまりで意味を捉えることです。細かすぎると、かえって読みにくくなることもあります。慣れてきたら、スラッシュの数を徐々に減らしていきましょう。

最初は簡単な文章から始める

いきなり難しい長文で挑戦すると、文構造が分からず挫折の原因になります。まずは、主語や動詞が分かりやすい、中学校の教科書レベルの簡単な文章から始めましょう。自分のレベルに合った教材を選ぶことが、継続の鍵です。

完璧な訳を求めない

スラッシュリーディングの目的は、あくまで英語の語順で大意を掴むことです。一語一句、完璧な日本語に訳そうとすると時間がかかり、本来の目的からずれてしまいます。チャンクごとの意味がざっくりと理解できればOK、という気持ちで取り組みましょう。

よくある質問

Q1. スラッシュを入れる場所に正解はありますか?

A. 厳密な正解はありません。自分が「意味のかたまり」として理解しやすい場所で区切ることが最も重要です。ただし、本記事で紹介した「前置詞の前」「接続詞の前」といった基本的な区切り方に慣れることが、上達への近道です。

Q2. どのくらいの期間続ければ効果が出ますか?

A. 学習頻度や元の英語力によりますが、毎日15分でも継続することが大切です。数週間から1ヶ月ほど続けると、返り読みが減ったり、読むスピードが少し速くなったりといった効果を実感し始める人が多いようです。

Q3. 慣れてきたらスラッシュなしで読んだ方が良いですか?

A. 最終的なゴールは、スラッシュという補助がなくても、頭の中で自動的にチャンクを意識しながら読める状態になることです。練習を重ね、スラッシュを徐々に減らしていくことで、自然なリーディング力を身につけることができます。

まとめ

本記事では、英語を語順のまま理解するためのトレーニング法「スラッシュリーディング」について解説しました。返り読みの癖をなくし、意味の塊で英文を捉えることで、読解速度は飛躍的に向上します。
最初は簡単な文章からで構いません。この記事で紹介したやり方や教材を参考に、ぜひ今日からスラッシュリーディングを実践してみてください。継続すれば、英語を読むのがもっと速く、もっと楽しくなるはずです。

ENGLISH JOURNAL編集部
ENGLISH JOURNAL編集部

英語を学び、英語で学ぶための語学情報ウェブサイト「ENGLISH JOURNAL」が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。 単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!

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