日本初のカラオケ どのように誕生したのか?カラオケによって起きたfadは何のこと?【ニュース英語】

海外メディアが報じたニュースから、英語表現を学びましょう。皆でワイワイ楽しんだり、ヒトカラ(一人カラオケ)で歌声を鍛えたり。今や世界中で愛されるkaraoke(カラオケ)ですが、一体これを発明したのは誰なのでしょうか?

鼻歌をバカにされてひらめいた!

時事英語専門のオンライン辞書サイト「RNN時事英語辞典」編集長の廣です。

世界に知られる日本文化で、今では英語の辞書にも掲載されている”karaoke”。そのカラオケを発明した根岸重一さんが100歳で亡くなったというニュースは日本のみならず、世界でも報じられました。

回は、このニュースを英語で見ていきましょう。

まず、最初のカラオケ機は、いつ、どのようなきっかけで開発されたのでしょうか。

Negishi’s pioneering karaoke machine, dubbed the “Sparko Box,” was first prototyped and released in 1967. The engineer loved to sing, and the idea for the machine came one morning at his electronics company in Tokyo after an employee heard his idle crooning and started teasing him. Negishi thought he’d sound much better if his voice was paired with a proper backing track.

根岸氏の革命的なカラオケ機は、「スパルコボックス」と名付けられ、1967年に試作、発表された。エンジニアの根岸氏は歌うことが大好きで、東京にある彼の電子機器会社である朝、鼻歌を従業員に聞かれ、バカにされたときに、このアイディアを思いついた。自分の声がふさわしい伴奏と一緒になれば、もっとうまく聴こえるだろうと根岸氏は考えた。

記事引用元:Rolling Stone

アマチュアが伴奏付きで歌いたい場合、当時は酒場のギター流しに弾いてもらうスタイル。カラオケ機を導入した店には、仕事が減ると案じた流しからかなりの反発があったというエピソードがRollong Stoneの記事に紹介されています。

キーワード①

  • dub A:Aと名付ける
  • croon:鼻歌を歌う
  • backing track:伴奏音源

初代カラオケから流れたメロディは・・・

さて、最初のカラオケ機は伴奏を録音したカセットテープを使うものでした。

At the time, Negishi’s company, Nichiden Kogyo, was building 8-track tape decks for cars. So, he instructed his staff to connect a microphone, speaker, and tape deck. The first track played on the Sparko Box was an instrumental version of Yoshio Kodama’s “Mujo no Yume.” The machine was a hit at the office and an even bigger hit when Negishi took it home and showed it to his family.

当時、根岸氏の会社である日電工業は、自動車用の8トラックカセットテープデッキを製造していた。そこで彼は従業員に、マイクとスピーカー、そしてテープデッキをつなげるように指示した。スパルコボックスで最初に再生した曲は児玉好雄「無情の夢」のインストゥルメンタルバージョンだった。この仕事場でカラオケ機は人気となり、さらに自宅で家族に見せるとさらに大人気となった。

記事引用元:Rolling Stone

カラオケとスピーカーが一体型になっており、そこにマイクをつなげて歌え、伴奏カセットテープと歌詞の本(lyrics book)がセットになっている点が斬新だったのです。

キーワード②

  • instrumental:楽器だけの

世界中でカラオケを楽しめるワケ

カラオケ生みの親と言われる日本人は何名かいるとされていますが、ある共通点があります。

But Inoue, like Negishi, did not patent his invention, and electronics manufacturers soon began producing and marketing their own versions. By the 1980s, “karaoke boxes” (known elsewhere as KTVs) had swept Japan, with private rooms overtaking bars and restaurants as the main venues for Japan’s amateur singers.

Subsequent developments, including the introduction of video karaoke and networked karaoke systems, helped the phenomenon spread across Asia and the world in the following decades.

しかし井上氏〔*1〕は根岸氏と同様、発明を特許出願せず、電機メーカーがすぐに独自のカラオケ機を製造し、販売し始めた。1980年代までには「カラオケボックス」(他の地域ではKTVとして知られている)が日本中に広まり、アマチュア歌手のメイン会場は酒場やレストランから個室に変わっていった。

ビデオカラオケや通信カラオケシステムの導入など、あとに続く発展で、この現象はその後数十年でアジアや世界に拡大した。

記事引用元:CNN

  • 〔*1〕井上大佑氏。根岸重一氏と同様に、カラオケの発明者として世界的に知られている。

特許を取らなかったのですね。それ故普及に弾みがついたのかもしれません。

キーワード③

  • patent:特許出願する(名詞としても使い、その場合の語義は「特許」)
  • venue:会場
  • networked karaoke:通信カラオケ

2人に1人が歌っていた

1990年代に入ると、カラオケブームの頂点を迎えます。

At the peak of the phenomenon in 1995, according to All-Japan Karaoke Industrialist Association statistics, close to 60 million Japanese regularly sang karaoke—nearly half the country’s population of 125.5 million. Many Westerners got their first taste at Japanese restaurants in the 1980s. As karaoke proliferated in bars, malls and movies such as “When Harry Met Sally” and “Lost in Translation,” the fad became a new form of leisure for singers (and the singing-impaired) around the globe.

全国カラオケ事業者協会の統計によると、1995年のカラオケブームのピーク時には、日本の人口1億2550万人の半数に近い6000万人が、日常的にカラオケで歌っていた。多くの西洋人は、1980年代に日本食レストランで初めてカラオケを体験した。カラオケが酒場やモール、そして「恋人たちの予感」や「ロスト・イン・トランスレーション」といった映画で広まるにつれて、このブームは歌う人(そして歌が苦手な人)の新しいレジャーの形となった。

記事引用元:The Wall Street Journal

キーワード④

  • statistics:統計
  • proliferate:急増する
  • fad:流行

まとめ

いかがでしたでしょうか。新型コロナウイルスの影響による外出自粛でカラオケへ出かける機会はめっきり減ってしまったのですが、今年の春は歓迎会や花見などのイベントとともにカラオケを楽しむ予定の方もいらっしゃるかもしれません。

カラオケ機の技術進歩は続いており、最近ではマスクしながら歌っても、声がクリアに聴こえる機能がついているそうです。

ちょうど50回を迎えた当連載ですが、今回で終了となります。引き続きRNN時事英語辞典では、最新の時事ワードを紹介していきます。

2021年の連載開始からお読みいただいた皆様、ありがとうございました。


EJ
廣川 亘(ひろかわ わたる)

RNN時事英語辞典」編集長。1998年に同サイトを立ち上げる。RNNは「Rapid News Network」の頭文字。最新の英文ニュースを常にウォッチし、多用されるキーワードや現代用語、専門用語を多数収録する。

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