海外メディアが報じたニュースから、英語表現を学びましょう!今回は、アメリカで行われた宇宙船「スターシップ」と大型ロケット「スーパーヘビー」を組み合わせた飛行試験に関するニュースを取り上げます。
超巨大ロケットが打ち上げ後に爆発
時事英語専門のオンライン辞書サイト「RNN時事英語辞典」編集長の廣川です。将来、月や火星に人類を運ぶための「超巨大ロケット」の打ち上げ試験がアメリカで行われましたが、残念ながら爆発。しかし、スペースX社はこれも「実験成功」として、早くも次の試験の準備に取り掛かっています。このロケットはどんなところが画期的なのでしょうか。英語ニュースで見ていきます。
SpaceX’s Starship, the most powerful rocket ever built, took off from a launch pad on the coast of South Texas on Thursday at 9:28 a.m. ET, but exploded midair before stage separation.
これまで建造されたロケットの中で最も強力なスペースX社の「スターシップ」は、アメリカ東部時間木曜日(4月20日)午前9時28分にテキサス南部の海岸に設置された発射台から打ち上げられたが、ステージ分離前に空中で爆発した。
記事引用元:CNN
今回、初めての試験飛行に臨んだのは、将来、人類を月や火星へ運ぶことも想定されている、スペースX社開発の宇宙船「スターシップ」と大型ロケット「スーパーヘビー」を組み合わせたものです。試験飛行のため無人での打ち上げでした。
キーワード
- launch pad 発射台
- midair 空中の
- stage separation ステージ分離 ※stageはロケットの段(打ち上げ後に切り離されるユニット)を意味し、今回の打ち上げでスターシップに接続された「スーパーヘビー」を指す。
このロケット、どのあたりが画期的なのでしょうか。
… the much more powerful Starship, capable of lifting 100 tons to low-Earth orbit, is designed to be fully reusable. The Super Heavy is designed to fly back to its launch pad, either in Boca Chica or at the Kennedy Space Center in Florida, and descend to touchdown, captured by two huge robotic arms on the launch gantry dubbed ”chopsticks.”
地球低軌道に100トンを運び上げる能力を持つ、非常に強力なスターシップは、完全に再利用できるように設計されている。「スーパーヘビー」は、ボカチカ(テキサス州)かフロリダ州ケネディ宇宙センターどちらかの発射台に飛び戻る想定で、着陸するために降下し、「箸」と呼ばれる発射台クレーンの2つの巨大ロボットアームによって捕らえられる。
記事引用元:CBS NEWS
まず、33基ものエンジンを搭載する第1段のブースター「スーパーヘビー」が、100トンもの貨物を軌道まで持ち上げ、さらにスーパーヘビーの先端に取り付けられた宇宙船本体「スターシップ」が、第2段として人と貨物を目的地まで運びます。さらに、両機とも地球に舞い戻って再び飛行できる点も画期的です。
キーワード
- low-Earth orbit 地球低軌道(一般に地球の地表から2000km以下にある軌道)
- reusable 再利用できる
- gantry 移動式クレーン
しかしながら打ち上げ3分後、ロケットの高度が落ち始めたため、意図的に飛行停止システムを作動させて爆発したとのこと。
But SpaceX said in a statement afterward that the spacecraft ”experienced multiple engines out” during its ascent, then ”lost altitude and began to tumble,” before the ”flight termination system was commanded on both the booster and the ship.”
スペースX社はその後の声明で、「ブースターと宇宙船の両方に飛行停止システムが作動した」直前、上昇中に「複数のエンジンが停止」し、「高度を失い降下し始めた」と述べた。
記事引用元:Reuters
キーワード
- altitude 高度
- tumble 倒れる、落下する
実験は計画どおりとはなりませんでしたが、スペースX社はこれも「成功」と呼んでいます。
“I guess I’d like to just set expectations low,” Musk said Sunday. “If we get far enough away from the launch pad before something goes wrong, I would consider that to be a success. Just don’t blow up the launch pad.”
マスク氏は日曜日(4月16日)、「期待値は低く設定したい」とした。「何かが起きるまで発射台から十分高く飛べば、それは成功だ。だが、発射台はふっ飛ばさないでくれ」
記事引用元:Spaceflight Now
今回の初試験で飛行に関する大量のデータが得られ、数カ月後に再び試験飛行に臨む意欲を見せています。
いかがでしたでしょうか。巨大な人工物が爆発する事態となったものの、失敗をよしとして次のチャレンジに活かす心意気が印象的でした。
次回の記事もお楽しみに。
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