今回は、北朝鮮によって行われた短距離弾道ミサイル発射実験のニュースを取り上げます。「弾道ミサイル」は英語でなんて言うのでしょうか?
今回のニュースな英語
ballistic missile北朝鮮は9月11日と12日に長距離巡航ミサイル、続いて15日には短距離弾道ミサイルの発射実験を行い、世界に緊張が走りました。
8月にはアメリカと韓国が合同軍事演習を行っており、さらに9月15日には中国と韓国の外相会談が行われているため、北朝鮮の度重なるミサイル発射は、こうした動きをけん制するものだと見られています。
ということで、今回のニュースな英語は、 弾道ミサイル を意味する ballistic missile を取り上げます。
背景
北朝鮮が弾道ミサイルを発射するのは、2021年3月以来、約半年ぶりでした。
ミサイルの落下地点は、3月のときは日本の排他的経済水域(英語で Exclusive Economic Zone、略してEEZと表記されます)の外でしたが、今回は石川県能登半島沖・舳倉島(へぐらじま)の北およそ300キロの海域で、日本のEEZ内。そのため菅義偉首相は、「言語道断だ」と北朝鮮を非難しました。
巡航ミサイル は英語で cruise missile といい、航空機のように翼とエンジンが付いており、目標物に向けて地表と並行に飛んでいきます。
一方で 弾道ミサイル は ballistic missile と呼ばれ、ロケット 推進 によって発射された後に、目標物に向かって放物線状に飛んでいきます。ballisticは「弾道」という意味で、発射された弾丸やミサイルが描く軌跡のことです。
どんなふうに使われている?
北朝鮮の弾道ミサイル発射について、中東のニュースチャンネル「 アルジャジーラ 」は、国際連合安全保障理事会(国連安保理)が緊急会議を開いたことを取り上げ、このように報じました。
Members of the UN Security Council have gathered behind closed doors for an emergency meeting about North Korea’s latest ballistic missile test , which member states consider a “ major threat,” according to France’s ambassador to the UN, Nicolas de Riviere.国連安保理の加盟国は、北朝鮮の弾道ミサイル実験について非公開の緊急会議を行った。フランスのニコラ・ド・リヴィエール国連大使によると、加盟国は北朝鮮の実験について、「大きな脅威」だと考えているという。
記事の中にあるUNは、United Nations、つまり国連のこと。behind closed doorsはそのまま訳せば「閉ざされた扉の向こうで」ですが、つまりは「非公開」という意味です。
また米 ニューヨーク・タイムズ は、菅首相の発言として、次のように伝えています。
They also underscored the growing concern over regional stability , with Prime Minister Yoshihide Suga of Japan calling the North Korean missile launch “outrageous” and a threat to peace.こうした実験は、地域の安定に対する 懸念 の高まりを浮き彫りにしており、日本の菅義偉首相は北朝鮮のミサイル発射について、「言語道断」であり平和を脅かすものだと述べた。
実は韓国も、北朝鮮の弾道ミサイル実験と同じ日である15日に、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実験を成功させていました。そのため、記事の冒頭にあるtheyは、朝鮮半島におけるこうした実験を指しています。
また、「outrageous」は、菅首相が記者団に対して述べた「言語道断」を英訳したもの。報道機関によっては、「 absolutely outrageous 」と伝えたところや、「 simply outrageous 」と伝えたところもありました。
▼こちらはロイター通信の動画から、菅首相の記者会見の様子。
まとめ
今回は、北朝鮮が9月15日に行った弾道ミサイル発射実験について取り上げました。国連安保理は、北朝鮮の弾道ミサイル開発や実験を禁止しているため、今回の実験は決議違反となります。一方で、巡航ミサイルは禁止対象に含まれていません。
とはいえ、9月11日と12日に発射した長距離巡航ミサイルは、1500キロ先の目標に命中したと言われており、日本列島がほぼ射程距離に入ることになります。日本にとっては、どちらも脅威であることに変わりありません。
松丸さとみ フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 (日経BP)、 『限界を乗り超える最強の心身』 (CCCメディアハウス)、 『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』 (サンマーク出版)などがある。
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