「sentence」の「文」以外の意味って?【ニュースな英語】

「sentence」という英単語の「文」以外の意味を知っていますか?今回は、2020年5月にアメリカのミネソタ州で起こったジョージ・フロイドさん死亡事件を取り上げ、「sentence」の使い方を紹介します。

今回のニュースな英語

sentence
英語学習界隈で 「sentence」 と言えば、文のセンテンスを真っ 先に 思い浮かべるところですが、 sentence にはほかにも、重要な意味があります。それは 「刑罰」「判決」 という法律にまつわる意味。

2020年5月にアメリカのミネソタ州でジョージ・フロイドさんが死亡した事件がありましたが、このほど、主犯格の元警察官、デレク・ショービン被告に刑が言い渡されました。

ということで、今回のニュースな英語では、この 「刑」 を意味する sentence を取り上げます。

背景

ジョージ・フロイドさん死亡事件を受けて、Black Lives Matter (黒人の命は大切だ、BLM)運動がミネソタから世界へ広がり、大きな 影響 を与えました。

2021年4月にショービン被告に対して下された評決は、第2級殺人罪(second- degree murder)、第3級殺人罪(third- degree murder)、第2級過失致死罪(second- degree manslaughter)の3点において有罪というものでした。

CNN は、

Legally , Chauvin could have faced up to 40 years in prison for second- degree murder, up to 25 years for third- degree murder and up to 10 years for manslaughter.

法的には、ショービン被告は第2級殺人罪で最長40年、第3級殺人罪で最長25年、過失致死罪では最長10年の禁錮刑になる 可能性 があった。

としています。 edition.cnn.com

NBCニュース では、検察側と弁護側がそれぞれ何を求めていたかをこのように報じています。

Prosecutors had asked that Chauvin receive 30 years in prison. His lawyer had sought probation.ショービン被告について、検察側は禁錮30年を、弁護側は執行猶予をそれぞれ求めていた。
www.nbcnews.com

prosecutor検察側lawyer弁護側 です。 lawyer「弁護士」 を指す最も一般的な言葉ですが、ほかにも、 法廷での代理人 として attorney と表現することもあります。

2021年6月25日にショービン被告に言い渡された刑は、今回同被告が有罪となった中で最も重い第2級殺人罪に対してで、禁錮22年6カ月でした。

どんなふうに使われている?

sentence は、 「刑に処する」「刑を言い渡す」 などの動詞としても、それから 「a life sentence」(終身刑) のように、刑罰を表現する名詞としても使われます。

ニューヨーク・タイムズ によると、量刑について意見を求められたバイデン大統領は、このように答えたそうです。

“I don’t know all the circumstances that were considered but it seems to me, under the guidelines, that seems to be appropriate .”「考慮された状況すべてを私は理解しているわけではないが、ガイドラインに照らし合わせると、適切だと思える」
www.nytimes.com

ここで大統領が言っている the guidelines とは、量刑の指針を示す Minnesota Sentencing Guidelines(ミネソタ州量刑指針) のことです。

同指針では、ショービン被告のように初犯の場合、第2級殺人罪では禁錮12年6カ月が妥当だとしています。とはいえ裁判官は、「警察権力の乱用」や「残忍さ」を考慮して、10年を加算したと説明しました。

今回下された刑は禁錮22年半ですが、実際に被告が22年半、刑務所の中で過ごすかというと、そうでもないようです。アメリカのニュースメディアである ポリティコ はこのように説明しています。

With good behavior , Chauvin, 45, could be paroled after serving two-thirds of his sentence, or about 15 years.品行方正であることを条件に、ショービン被告(45)は、刑期の3分の2(約15年)を務めた後、仮釈放される 可能性がある
www.politico.com

ここの sentence は、 「刑期」 という意味で、 serve sentence「刑期を務める」「服役する」 という意味になります。

まとめ

今回は、裁判に関する記事で目にすることの多い sentence を取り上げました。

裁判関係のニュース記事では、司法にまつわる単語や表現をたくさん学べます。司法制度は国によっても異なる上、日本の制度とは必ずしも呼応しないので、日本語では何と言うのか、日本では何に当たるのか、わかりにくいところも多々あります。

そんなときは、辞書を駆使したり、同じ話題を報じている日本語記事を探したりして、理解を深めてくださいね。

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松丸さとみ フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 (日経BP)、 『限界を乗り超える最強の心身』 (CCCメディアハウス)、 『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』 (サンマーク出版)などがある。
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