コロナウイルス感染症にかかり、集中治療室へ送られるまでに病状が悪化したボリス・ジョンソン英首相。その後、最悪の事態は免れて無事回復、退院後に国民に向けて発信したビデオメッセージ全文を2回に分けてお届けします。本記事はその第2回です。
第1回の記事は こちら 。
首相スピーチの背景
写真:Steve Parsons/Pool via REUTERS
2019年に中国で感染者が確認され、今年に入ってから世界各地で猛威を振るい始めた新型コロナウイルス。急増する感染者の中には著名人も含まれ、その1人がイギリスのボリス・ジョンソン首相でした。4月5日に検査のため入院した後、症状が悪化し一時はICU(集中治療室)で治療を受けましたが、1週間後の12日に無事退院しました。その時のスピーチをお聞きください。折しも、いつもなら子どもたちが外に出てエッグハントを楽しむはずの、イースターサンデー。ジョンソン首相は、自分の命を救ってくれた医療関係者に何度も 感謝 を示しながら、そのイギリスの医療システムを守るためにも外出制限を続けてほしいと国民に訴えています。
(1)Every Second of Every Hour
動画で首相スピーチの全文が聞けます。2:20より
I wanna thank the many nurses, men and women whose care has been so (10) astonishing . I’m gonna forget some names, so please forgive me. But I want to thank, er, Po Ling and Shannon, and Emily and Angel and Connie and Becky and Rachel and Nicky and Ann.
And I hope they won’t mind if I mention (11) in particular two nurses who stood by my bedside for 48 hours when (12)things could’ve gone either way.
They’re Jenny from New Zealand ? (13)Invercargill on (14)the South Island (15) to be exact ? and Luis from Portugal, near (16)Porto. And the reason, (17)in the end, my body did start to get enough (18)oxygen was because for every second of the night, they were watching and they were thinking and they were caring and making the (19)interventions I needed.
So that is how I also know that across this country, 24 hours a day, for every second of every hour, there are (20)hundreds of thousands of NHS staff who are acting with the same care and thought and (21) precision as Jenny and Luis.
That is why we will wdefeat this coronavirus and (22)defeat it together.
We will win because our NHS is the beating (23)heart of this country. It is (24)the best of this country. It is (25)unconquerable.
It is (26)powered by love.
So , thank you from me, from all of us, to the NHS. Let’s remember to follow the rules on
social distancing. Stay at home, protect our NHS and save lives.
私個人からの 感謝 を、この上なく優秀な医師たち、それぞれの分野を率いる男性たち女性たちに示したいと思いますが、その中でも彼ら、どういう訳か(同じ)ニックという名の医師たちは、数日前に重大な決断をしてくれました。私は 今後 ずっと、その決断に 感謝 し続けるでしょう。
たくさんの看護師の皆さんに 感謝 したいと思います、男性も女性も、その看護は素晴らしいものでした。何人かの名前を言い忘れるかもしれませんので、どうか許してください。ですが 感謝 を伝えたいと思います、ポー・リンとシャノン、エミリーとエンジェル
とコニーとベッキーとレイチェルとニッキーとアンに。
そして、特に2人の看護師の名前を出してもほかの人たちが気を悪くしないといいのですが、事態がどちらに転んでもおかしくなかったとき、彼らが、私のベッド脇に48時間付き添ってくれました。
その2人は、ニュージーランド―正確には南島のインバーカーギル―出身のジェニーと、ポルトガルのポルト近郊出身のルイスです。
そして、最終的に私の体が十分な酸素を取り入れ始めた理由は、夜を徹して彼らが見守り、考え、気遣い、必要な医療措置を行ってくれたからです。
ですからそのおかげで、 同時に 私は知ることができました、この国中で1日24時間、1秒たりとも休むことなく、ジェニーやルイスと同様の気遣いや思いやりや的確さを持って職務を遂行しているNHSスタッフが何十万人もいるのだと。
だからこそ私たちはこのコロナウイルスに打ち勝つのです、一丸となって打ち勝つのです。
私たちは勝利します、なぜならNHSはしっかりと脈打つこの国の心臓だからです。この国で最高の財産です。決して屈服することはありません。
NHSは、愛によって動いているのです。
ですから、私から、私たち全員から、NHSに 感謝 します。ソーシャルディスタンスのルールを忘れず守るようにしましょう。家にいて、私たちのNHSを守り、命を守りましょう。
ご清聴ありがとうございました、楽しいイースターをお過ごしください。
(1)every second of every hour 四六時中、いつ何時も (2)pay thanks to ~ ~に 感謝 を示す (3) utterly 完全に、この上なく (4)brilliant 優秀な、立派な (5) for some reason どういう訳か、何らかの理由で ★ジョンソン首相は入院中、偶然同じNickという名の2人の医師に命を助けられた。NickはNicholasの愛称。これにちなみ、首相夫妻は4月末に生まれた息子のミドルネームをNicholasとした。 (6) take a decision 決定をする、決断する (7) crucial 極めて重要な、生死を左右する (8)a grateful 感謝 した、恩を感じた (9) for the rest of one’s life 今後 ずっと、死ぬまで
(10) astonishing 驚くべき、目を見張るような (11) in particular 特に、とりわけ (12)things could go either way 事態がどちらに転ぶかわからない、どうなってもおかしくない ★このcouldは「どちらだとしてもあり得る」という意味合いの仮定法。ここでは、過去の時点のことを仮定法過去 完了 で言っている。
(13)Invercargill インバーカーギル ★ニュージーランドの南島の最南端に位置する都市。 (14)the South Island (ニュージーランドの)南島 ★ニュージーランドを構成する2つの主要な島のうちの1つ。 (15) to be exact 正確に言うと (16)Porto ポルト ★ポルトガル第2の都市。 (17)in the end 最後に、最終的に (18)oxygen 酸素
(19) intervention (医療)介入、医療措置を行うこと (20)hundreds of thousands of ~ 何十万もの~ (21) precision 正確さ、的確さ (22)defeat ~を打倒する、~を打ち破る (23)heart 心臓、中心部、最重要部 ★ここでは beating (脈打っている)を付けて、「重要機関がしっかり働いている」ことを表している。 (24)the best 最高のもの、最善のもの ★ここでは asset (財産)を指す。(25)unconquerable 難攻不落の、不屈の (26)power ~に力を与える
最新号の特集は「Podcast&ラジオ大活用法」
『ENGLISH JOURNAL』は、著名人のインタビューやスピーチ、 すぐに 役立つ特集など、バラエティー豊かな英語が収録されており、楽しみながらオールラウンドな英語力を身に付けることができる学習情報誌です。
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。