今月の1曲
傷心に効く一曲
2014年にアルバム『In the Lonely Hour』でデビュー。翌年の第57回グラミー賞では年間最優秀レコード賞など主要3 部門を含む4部門を受賞し、一躍イギリスを代表するソウルシンガーに名乗りを上げたサム・スミス。続く2017年リリースのセカンドアルバム『The Thrill of It All』も英米のチャートで1位を獲得するなど順風満帆なキャリアを歩み続けている彼が、5月リリース予定のアルバム『 To Die For 』より先行シングルとしてタイトル曲の「 To Die For 」を発表した。 *1
デビューヒットの「Stay With Me」(2014)やAppleのCMソングとして使用された「Palace」(2017)など、これまでも孤独な者に優しく寄り添う温もりのあるソウルバラードを歌ってきたサムだが、これもまた傷心に効く「染みる」一曲に仕上がっている。
Solo shadow on a sidewalk / Just want somebody to die for / Sunshine livin’ on a perfect day / While my world’s crashing downインタビューによると、サム・スミスはこの曲のコンセプトをロサンゼルスのベニスビーチを散歩しているときに思い付いたとのこと。「通りは幸せそうな人々であふれていた。ただ、その時どうしようもない孤独を感じたんだ。まるで自分だけ蚊帳の外にいるようなね」(歩道に広がる孤独な影/誰か人生をささげられるような相手が欲しいだけなんだ/太陽が降り注ぐ完璧な日/僕の世界は崩れ落ちているというのに)
この曲を書いている2年の間は、心から自由を感じることができたというサム。きっとここには、昨年になって自身のジェンダーが男性でも女性でもない「ノンバイナリー」であることをカミングアウトした彼の葛藤が託されているのだろう。
イギリス人シンガーが歌う、心震えるバラード5選
今回の記事で紹介している音楽のプレイリストをご紹介します。
- When We Were Young by Adele
- Love Is a Losing Game by Amy Winehouse
- Littlest Things by Lily Allen
- Warwick Avenue by Duffy
- Perfect by Ed Sheeran
音楽ジャーナリスト、ラジオパーソナリティ、選曲家。TBS ラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」にレギュラー出演中。著書に『生活が踊る歌』(駒草出版)、『ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門』(NHK 出版)など。
※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2020年5月号に掲載された記事を再編集したものです。
SERIES連載
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