今回、「ニュースな英語」が取り上げるのは、前回に引き続き、新型コロナウイルス関連の話題。取り上げるのはquarantineという単語です。
今回のニュースな英語
quarantine
新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が相変わらず世界的なニュースになっています。ということで、今回の気になるニュース表現もこの話題から。今回は「quarantine」です。
一般的に私たちがもっとも多く触れる「quarantine」に、海外旅行のときの空港での「検疫」があります。お土産に買ってきた食べ物が検疫で取り上げられてしまった、という経験がある人もいるかもしれませんね。
検疫は、その地域にはない感染症の病原体が持ち込まれないよう、空港や港で検査し、必要であれば隔離・消毒といった措置を取ることを目的としたプロセスです。
quarantineの本来の意味は?
「quarantine」のもともとの意味は、感染性の病気を持っている疑いがある人やものを、病気を広げないために一定の期間、隔離することです。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、14世紀にヨーロッパでペストが大流行したとき、感染した街の港から来た船は、イタリアのベネチア入港に際し、40日間の海上での停泊が求められたことが、隔離制度の始まりだそうです。
History of Quarantine | Quarantine | CDC
横浜に寄港していたダイヤモンド・プリンセス号の乗員乗客が一定期間、下船できなかったのはまさにこの状態でした。下船して自国へ戻った乗客は、帰国後に再び隔離措置を取られていることが多いようです。隔離日数は、アメリカやイギリス、台湾などのように14日間のケースが多いようですが、中にはインドネシアのように28日間という長い日数を設けている国もあります。
この「quarantine」ですが、何も保健所や病院で行われるとは限りません。アメリカのCNNは、新型コロナウイルスの感染源となった中国の武漢で、「self - quarantine」を余儀なくされた人の話を報じています。
edition.cnn.com「self - quarantine」は、人にうつさないように自ら自宅にこもり、人との接触を避けている状態です。陽性反応が出ても病院の空きがなかったり、感染が疑われても検査を受けられなかったりと、「self- quarantine」をする理由はさまざまです。
武漢では病院が足りなくなったために、体育館や工業団地などが「一時しのぎの隔離センター」(makeshift quarantine center)になっている、とCNNは報じています。
どんなふうに使われている?
「quarantine」は名詞としても動詞としても使われ、報道ではどちらの形でも目にします。
China has quarantined Wuhan and other cities in Hubei, blocking tens of millions of residents from travelling, since late January, to try and contain the virus.中国は1月末以降、ウイルスを封じ込めようと武漢など湖北省の複数都市を隔離しており、多くの市民が移動できなくなっている。
英紙メトロの一文です。動詞として「quarantine」が使われていますが、同じ記事には名詞として「locked-down」という表現も出てきます。確かに、町や市など大規模な地域が隔離される場合は、「quarantine」(隔離)よりも「封鎖」の方がしっくりきますね。
metro.co.ukまとめ
「quarantine」は、空港などで行われる「検疫」が一般的ですが、ペスト流行時に行われた、病気の拡大を防ぐことための「隔離」がその始まりです。ちなみに語源のイタリア語「quaranta giorni」は、「40日」という意味だそう。
感染拡大を防ぐために潜伏期間(incubation period)中に自分の意思で自宅待機などしている状態は、「self- quarantine」と言います。「self-imposed quarantine」と表現しているメディアもあります。
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