世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは経営コンサルタントのロッシェル・カップさんに、グローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。
待ち合わせに45分も遅刻!
メキシコを訪問中のあなたは、これから一緒に仕事をする かもしれない 相手と10時に会う約束をしていました。
しかし、既に10時45分を回ったというのに一向に相手は現れず、あなたは事務所のロビーで待ち続けています。相手は前の会合がまだ終わっていないようです。もう少し待ってみるか、それとももう帰るか、あなたは迷っているところです。
こんなに待たせるなんて、自分と話す予定の要件について真剣に 取り組む つもりがないのではないか、と考え始めています。
このような状況に遭遇した場合、あなたならどのように対応しますか?
文化によって違う「時間の価値」
多くの日本人は、【a】 か【c】を選ぶと思われます。
日本では、約束のスケジュールをきっちり守ることは、ビジネスにおける基本中の基本のルールと言えるでしょう。約束の時間を守らないことは失礼にあたることで、きちんとしたビジネスパーソンであればそのようなことはないはずだと考えられています。
そのため、特にビジネス関係の最初の段階でこのようなことが起こったら、日本人にとってそれは相手に対する否定的な信号と映ります。
しかし、日本的尺度で相手を測るのではなく、相手の文化の尺度で測ったらどうでしょうか。このような場合、文化の違いの 影響 を考えることが非常に重要です。
上のチャートで左側の文化ほど、時間は貴重で無駄にしてはいけないものだと考えます 。そして時間を守らないことは、相手の時間も自分の時間も無駄にすることなので、良くないことだと考えます。早さ、効率、便利さ、時間管理を評価し、時間の節約を優先させます。
一方、 右側の文化は、「時間は十分にあるもの」だと考えます 。物事を正しく行うためには時間を十分に費やす必要がある、と思っています。何事も急ぐ必要はないと考え、時間の節約に対しても優先順位が高くありません。
右側の文化の人の行動は、左側の文化の人にとっていら立ちの種になりがちです。今回のケースは、左側に位置する日本人と右側のメキシコ(ラテンアメリカに含まれます)の人の典型的な「文化の壁」の例です。
相手の文化的背景を理解しよう
時間は十分にあると考える文化の人からすれば、45分はそんなに長い時間ではありません。その上、会議に遅れて来ることも(例えば交通渋滞があれば)想定内です。また、前の会議で話が起動に乗っていた場合、それを切り上げて次の会議に行くことは失礼だと思われる 可能性 があります。
相手の文化的背景を理解したら、相手の行動の理由も分かるはずです。もちろんこのケースのように、自分の文化の価値観からすると「あり得ない」場合もあるかもしれません。しかし大切なのは、相手の行動をその文化的背景の中で理解し、客観的に 判断する ことです。
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編集:GOTCHA!編集部執筆:ロッシェル・カップ
ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社 社長。
異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタントとして、日本の多国籍企業の海外進出とグローバル人材育成を支援している。イェール大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営学院卒業。日本語が堪能で、『 反省しないアメリカ人をあつかう方法34 』(アルク)、 『英語の品格』 (集英社) をはじめ、著書は多数。朝日新聞等にコラムも連載している。