江戸の町並みにタイムトラベル。外国人を案内したい東京・深川エリア(後編)

この記事の「 前編 」で、デンマークからやってきた留学生ミケル君は、ソフトクリームが人気という「チーズのこえ」に行きました。今回の「後編」では、ガイド役の斉藤さんがボランティアガイドとして活動している「深川江戸資料館」に向かうようです。ミケル君はどんな体験をするのでしょうか。

今回の案内人

斉藤さん : 月に数回、深川江戸資料館でボランティアガイドとして活動する会社員。

今回のゲスト

ミケル君 (写真上): デンマークからの留学生。自然が好きで、日本の文化、歴史、松尾芭蕉などに興味がある。日本語を学習中。

深川エリアってどんなとこ?

川と運河に囲まれた風情あふれる下町 。近年、アートやカフェに関心のある人の注目も集める人気スポット。

江戸末期の深川の町並みへゴー!

みなさん、こんにちは。斉藤と申します。今回は、デンマークからやってきたミケル君に、「深川江戸資料館」を案内したときの様子を紹介します。

この資料館は、八百屋、米屋、長屋や船宿など、1840年ごろの深川佐賀町の町並みが映画のセットのように忠実に再現されています。実際に家屋に上がり、一部の生活道具には触ることもできるので、歴史への関心度や国籍に関係なく、誰でも約180年前の世界を体感して楽しめます。

Welcome to Fukagawa Edo Museum. Now we are back in 1840. Please enjoy the time travel!
「深川江戸資料館にようこそ。1840年にやってきました。タイムトラベルを楽しみましょう!」と言って、館内の案内をスタート。建物の前で靴を脱いでから室内に上がることなど、展示物の楽しみ方や注意点を次のように説明しました。
You can enter the room after taking off your shoes. You can also touch the household goods. But please handle them carefully.
館内は1日の移り変わりが音響と照明で演出されており、訪問日は夏の設定でした。夕立がスクリーンに映し出され、その後でセミ(cicada)の鳴き声が聞こえると、ミケル君はデンマークにはセミがいないと教えてくれました。

忠実に再現された長屋のある路地。ちょっと歩くだけで、当時の深川にタイムスリップした気分になれます。 

ネズミ返しや草履など、いろいろなものに興味を示すミケル君。でも、「神棚( Shinto altar )のしめ縄( Shinto rope)に付いた紙は何?」と聞かれたときは、言葉に詰まってしまいました。「神聖な場所との境界にある紙で……」と説明したものの、そこまででした。 今後の ために、私は帰宅してから調べました。

It is a kind of curtain separating the spirit world from the world of the living, and it works as a barrier against evil spirits.
「現世と霊界を分け隔てる幕のようなもので、悪い霊を防ぐ役割をするものです」。なるほど、日本語では「紙垂(しで)」ということも覚えました。

昔は井戸など生活に必須の設備が、住民の共同スペースにありました。その中でも共同トイレ(shared restroom)は見た目にもインパクトがあります。扉は下半分しかなく(half-sized door)、さらにくみ取り式だからです。「農家が肥料にする排泄物(human waste)を買いに来るんだよ」。そんな話をすると大いに盛り上がりました。

長屋の内部には、当時の暮らしに欠かせないものがたくさん。でも、予習しておかないとガイドしようにも説明できないものばかり?

ミケル君は日本のこんなところが好き

最後にミケル君に、日本の好きなところを聞いてみました。

There are an abundance of things to like about Japan, but probably the thing I like the most is the Japanese people.

Even if you don't speak Japanese very well they are very open, and if you make Japanese friends you will be able to see so many new things, places and traditions.

I really like the history and traditions of Japan, and how they mix new and old everywhere, so this tour was right down my alley .

ミケル君:「日本の好きなところはたくさんあります。でも一番好きなのは日本の人たちです」

「日本語がうまく話せなくても、日本の人たちは すぐに 心を開いてくれます。日本の人と仲良くなると、知らなかった物や場所、伝統などを教えてもらえます」

「私は日本の歴史や伝統、そして日本の人々が新しいものと古いものをうまくミックスしている様子も大好きです。だから今回のツアーは私にとてもピッタリの内容でした」

ミケル君、ツアーを楽しんでくれたようで良かったです!

この記事で訪れたスポット

深川江戸資料館
江東区白河1-3-28
9:30~17:00(入館は16:30まで)
※中学生以下は保護者同伴

https://www.kcf.or.jp/fukagawa/

※ この記事は、アルクの通信講座「1000時間ヒアリングマラソン」の受講生に届く「ヒアリングマラソン 受講生応援レター」12月号配布分に掲載されている「おもてなし練習帖」の内容を元に、紙面では紹介しきれなかったことをプラスアルファしてお届けしました。

取材・構成:ヒアリングマラソン編集部
編集:GOTCHA!編集部

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