TOEICで目標スコアを達成するには?配点の仕組みとパートごとの攻略法を紹介

これからTOEIC受験に挑戦しようとしているみなさん、それぞれ「600点以上」など目標とするスコアがありますよね。ですが、その具体的な配点の仕組みやスコアの計算方法なども理解した上で効率的に勉強をしたいのではないでしょうか?
そこで今回は、目標スコアに到達するために、配点の目安や、パートごとの具体的な対策をご紹介します。

TOEIC試験の概要

配点やスコアを紹介する前に、TOEICの概要を説明します。

TOEICが何に役立つのかについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

  • TOEICとは?
  • TOEICは役に立つ?

TOEICとは?

TOEICとは「国際コミュニケーション英語能力テスト (Test of English for International Communication)」の略で、英語によるコミュニケーションとビジネス能力を評価するための世界共通試験です。
アメリカのテスト開発機関ETSによって制作されました。

評価はスコアの数値で行われ、満点は990点となります。

TOEICには2つの受験方式があります。

  • 公開テスト
  • IPテスト

公開テストは個人を対象に実施され、教育試験サービス(ETS)がスコアを正式に認定する試験です。
一方IPテスト(団体特別受験制度)は企業や学校等が主催する試験となります。公式認定ではないですが、スコアの有効性に違いはありません。

テスト構成は毎回同じで、Part1〜Part4までがリスニング(約45分・100問)、Part5〜Part7がリーディング(約75分・100問)となっています。合計200問です。

解答はすべてマークシート方式で、問題用紙とは別の解答用紙に記入します。

下記にテストの構成をまとめていますので、しっかりと理解しておきましょう。

リスニング

Part問題内容問題数説明
Part1写真描写問題6問1枚の写真につき4つの短い説明文が1度だけ放送される。その中から、写真を最も的確に描写しているものを選ぶ。
Part2応答問題25問1つの質問または文と、それに対する3つの答え(応答)がそれぞれ1度だけ放送される。最もふさわしい答えを選ぶ。
Part3会話問題39問2人または3人の人物による会話が1度だけ放送される。問題用紙には会話に関する設問(設問も放送される)と4つの選択肢があるので、その中から最も適切なものを選ぶ。会話の内容と、問題用紙に印刷された図などの情報を関連付けて解答する設問もある。各会話には設問が3問ずつある。
Part4説明文問題30問アナウンスやナレーションのような、1人の人物によるトークが1度だけ放送される。問題用紙にはトークに関する設問(設問も放送される)と4つの選択肢があるので、その中から最も適切なものを選ぶ。トークの内容と、問題用紙に印刷された図などの情報を関連付けて解答する設問もある。各トークには質問が3問ずつある。

リーディング

Part問題内容問題数説明
Part5短文穴埋め問題30問不完全な文を完成させるために、4つの選択肢の中から最も適切なものを選ぶ。
Part6長文穴埋め問題16問不完全な文章を完成させるために、4つの選択肢(単語や句、または一文)の中から最も適切なものを選ぶ。各長文には設問が4問ずつある。
Part7読解問題1つの文書: 29問
複数の文書: 25問
広告、手紙、新聞記事などの文書を読む問題。内容に関する設問に対して4つの選択肢の中から最も適切なものを選ぶ。文書内に一文を挿入する際に、最も適切な箇所を選ぶ設問もある。各文書には設問が数問ずつある。

参考元: 【公式】テストの形式と構成|TOEIC Listening & Reading Test|【公式】TOEIC Program|IIBC (iibc-global.org)

TOEICは役に立つ?

ここまで概要をご紹介しましたが、中には「TOEICは実際に何かの役に立つのだろうか」と疑問を抱いている方もいると思います。

実はTOEICのスコアがあれば、下記のような可能性が広がります。

  • 昇進/昇格
    TOEICのテストスコアは、会社の中での昇進/昇格の条件として活用されていることも少なくありません。
    企業では600〜800点台が求められます。
  • 海外出張/海外赴任
    企業の5〜6割が海外出張・赴任者選抜で、TOEICを活用しているというデータがあります。
    グローバルに活躍したい人は、700点以上を狙いましょう。
  • 報奨金/資格手当
    TOEICスコアに対して、資格手当や報奨金が出る企業も増えています。
    470点取れば3万円支給される企業もあれば、満点の990点を取ったら100万円の報奨金が支給される企業もあります。
  • 就職活動/キャリアチェンジ
    就活市場ではある程度のTOEICスコアがあると、グローバルな人材として一目置かれたり、他の就活生よりも優れた能力を持っていると判断されたりして、有利になります。
    TOEICを採用時の参考や条件にしている企業や団体は、5割に上ります。
  • 公務員試験(国家・地方・警察官)
    近年では国際化の進展に伴って、TOEICスコアを提出することにより、公務員試験の得点にスコアに応じた加算が行われる仕組みが広がっています。
    国家公務員試験では最終合格者決定の際に、TOEICのスコア600点以上で15点、730点以上で25点が加算されます。
  • 教員採用試験
    TOEICスコア取得者に対する優遇措置は、全国の教員採用試験においても見られます。スコアが一定以上の場合、加点や試験免除などの措置があります。
  • 大学・大学院入試/単位認定
    学生にとってもメリットは大きく、全国の国公立大学・私立大学の入学試験においては「英語試験免除」や「推薦入試の出願要件」「合否判定の基準」などさまざまに活用されています。
    大学、短期大学、高等専門学校においては、授業を履修しなくてもTOEICスコアによって単位認定がされる授業もあり、TOEICを受けておくと、効率的に単位取得ができます。

TOEICのスコア配点の基本

さて、ここからはTOEICスコア配点の基本について、各セクションとパート別にご紹介していきます。

  • 各セクションの配点
  • 1問当たりの点数

各セクションの配点

TOEICのスコアは、正答数そのままの素点ではなく「イクエイティング(スコアの同一化)」と呼ばれる特殊な統計処理によって算出された換算点で算出されます。
そのため正答率の高い問題は低得点、正答率の低い問題は高得点となる傾向にあります。
特にPart7の長文読解などは、時間切れも含めて正答者が減りやすいため、配点が高くなる傾向にあるようです。

残念ながら、明確な点数配分は公開されていません。

ですがこの方でスコアを出すことによって、毎回TOEICの問題が変わっても、難易度で点数に差が出ないようになっています。

また、この方式によってリスニング、リーディング各セクションで全問不正解しても最低点は5点ずつで合計10点、最高点はそれぞれ495点合計990点となります。

では、具体的なスコアを算出するにはどうしたらよいのでしょうか。TOEIC公式が出している「参考スコア範囲の換算表」があります。

こちらを参考にしてみてください。

リスニングセクション換算点範囲
素点(正解数)換算点範囲
96-100475-495
91-95435-495
86-90405-475
81-85370-450
76-80345-420
71-75320-390
66-70290-360
61-65265-335
56-60235-310
51-55210-280
46-50180-255
41-45155-230
36-40125-205
31-35105-175
26-3085-145
21-2560-115
16-2030-90
11-155-70
6-105-60
1-55-50
05-35
リーディングセクション換算点範囲
素点(正解数)換算点範囲
96-100460-495
91-95425-490
86-90395-465
81-85370-440
76-80335-415
71-75310-390
66-70280-365
61-65250-335
56-60220-305
51-55195-270
46-50165-240
41-45140-215
36-40115-180
31-3595-145
26-3075-120
21-2560-95
16-2045-75
11-1530-55
6-1010-40
1-55-30
05-15

まずはそれぞれの正解数から出た換算点範囲を合計すると、全体のスコアの範囲が分かるようになります。

例えば、リスニングセクションの正解数が69、リーディングセクションの正解数が43だとすると、それぞれ290-360140-215が換算点範囲となるので、合計して430-575が目安のスコアとなります。

上記スコアの範囲に基づいて、それぞれのセクションのパート別の配点を見ていきましょう。

リスニングセクションの配点

リスニングセクションの各パートのおおよその配点は、以下の表の通りとなります。

リスニングセクションおおよその配点
Part130点
Part2125点
Part3195点
Part4150点
合計500点

リーディングセクションの配点

リーディングセクションの各パートのおおよその配点は、以下の表の通りとなります。

リーディングセクションおおよその配点
Part5150点
Part680点
Part7270点
合計500点

それぞれのセクションの合計は500点、全体では1000点となってしまいますが、これはあくまでも目安です。

1問あたりの点数

1問あたりの点数は、5点とされています。これは合計点数990点を全体の200問で割って四捨五入した値です。
例えば、正解数が全部で120だとすると、「120×5」で600点という計算になります。

自己採点と実際の結果で点数がズレてしまうケースもありますが、おおよそは近い数値になるはずです。

また、TOEICの実際のテストではその特殊な計算方法によって、数問間違えても990点満点を取れることがあります。
間違えても満点の可能性のある問題数というのは、その回の難易度によって変わるため明確ではないですが、多くても5問というのが目安です。

実際に起こり得るパターンをご紹介しましたが、本番は全力で取り組んで解ける問題を着実にクリアしてくださいね。

TOEICスコアとレベル

ここでは、TOEICスコアで分かる英語のレベルと、実際に就活や転職で評価されるスコアをご紹介します。

  • スコアの目安とレベル別評価
  • 就活や転職で評価されるスコアとは?

スコアの目安とレベル別評価

各セクションのスコアから、自分の英語力がどのようなレベルに位置付けられるのかを見ていきましょう。

リスニングセクション

  • スコア: 5~270
    簡単な語彙であれば、写真の主旨を表す短い一文の記述が理解できますが、会話の主旨や目的、文脈の把握が難しいです。

  • スコア: 275~370
    簡単な語彙が使用されている短い会話では、会話の主旨や基本的な文脈を理解できますが、難しい語彙や複雑な表現があると困難です。

  • スコア: 375~495
    広範な語彙を用いた複雑な会話も理解でき、否定構文や言い換えなどにも対応できます。

リーディングセクション

  • スコア: 5~220
    簡単な語彙や表現が使われている場合のみ理解でき、情報が言い換えられたり、複数の文にわたる情報を関連付けることが難しいです。

  • スコア: 225~320
    限られた長さの文章では簡単な推測が可能で、簡単な文法構造と語彙の理解ができますが、より複雑な文脈や難しい語彙には対応しにくいです。

  • スコア: 325~420
    文章の主旨や目的、詳細をある程度理解でき、難しい語彙でも限定的に情報を関連付けることができますが、広範な情報の関連付けには対応しにくいです。

  • スコア: 425~495
    言い換えを含む情報を理解し、文章全体の情報を関連付けて理解することができます。複雑な文法や語彙も含めた幅広い理解が可能です。

就活や転職で評価されるスコアとは?

TOEICが就活や転職で評価されるスコアは、以下の通りです。

  • 就活で評価されるスコア
    就活では600点以上が評価の目安です。600点以上で基礎的な英語力があると見なされ、外資系企業やグローバル企業では特に重視されます。

  • 転職で評価されるスコア
    転職では700点以上が求められることが多いです。700点以上であれば、英語力が高いと評価され、転職の幅が広がります。

ちなみに2023年度の大学生の平均スコアは596点、社会人の平均スコアは639点となっています。

セクションごとの攻略法

配点の仕組みやスコアのレベル別評価について分かったところで、早速各セクションの対策を行ってスコアUPにつなげていきましょう。

  • リスニングセクションの対策
  • リーディングセクションの対策

リスニングセクションの対策

まずはリスニング問題の形式や出題傾向、読み上げスピードなどに慣れるため、TOEICリスニング対策用の音源を繰り返し聴くようにしましょう。また、頻出単語や文法をしっかりと習得しておきましょう。

シャドーイングは英語の音声を聞き取ってから追いかけるように英文を発音する練習方法、ディクテーションは英語の音声を聞き、聞き取れた英文を書きとる練習方法です。
これらの練習を行うことでリスニング力がアップします。

その他、具体的な対策のやり方や、リスニング対策におすすめの本は以下の記事でご紹介していますので、合わせて参考にしてください。

リーディングセクションの対策

リーディングセクションは、単語力や文法力がスコアに直結します。単語帳やアプリを使って効率的に単語力と文法力を伸ばしましょう。また、試験当日までに問題集を何度も解いて、テストの時間配分ができるようになるのも大切です。

さらに過去問を何度も解けば、問題の傾向に慣れ、解くスピードが早くなります。
TOEICは問題文や設問の内容が変わっても、解答までのプロセスは基本的に変わらないようになっています。
ちなみに、Part5は語彙問題、Part7は同義語問題など、単語の意味が問われる問題が出題されます。

その他リーディングセクションの設問内容や解き方については、こちらでご紹介していますので、合わせて参考にしてみてください。

効果的な目標設定と勉強法

スコアを上げるためには、目標設定が効果的です。以下のポイントを参考に計画を立てましょう。

  • 目指すスコアに向けた計画
  • おすすめ学習法

目指すスコアに向けた計画

まずは目指すスコアを設定し、必要な学習時間を把握しましょう。オックスフォード大学出版社が出している以下の資料を参考に、学習時間を算出してみてください。

例えば、現在のスコアが450点650点を目指す場合、700時間ほどの学習時間が必要です。

おすすめ学習法

普段忙しい方にも効率の良い学習法としておすすめしたいのが、通学・通勤時間などのスキマ時間に使える学習教材アプリ「Santaアルク」です。高精度AIのサポートと、TOEIC学習に必要な要素をすべて提供しています。

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まとめ

この記事では、TOEIC各セクションの配点の仕組みやレベル別評価、そして各セクションをスコアアップさせる対策について解説しました。
TOEICの配点は算出方法が特殊で公開されていないものの、おおまかな数値は自分で算出して把握することが可能なので、ぜひ実践してみてください。また、自分が目指しているキャリアや評価に合った目標スコアを設定したら、しっかりと時間と計画を練って効率的に学習に取り組んでくださいね。

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