TOEIC+αで無敵のビジネス英語を身に付ける勉強術

HUMMER こと濱崎潤之輔さんの連載4回目!英語を勉強中で「曖昧なアドバイスではなく、確実に効果が出る勉強の仕方を教えてほしい」とお悩みの方へ、HUMMER さんがプロレス技を決めるようにビシッと効果の出る、英語の最強戦術を伝授します。今回のお悩みは「TOEICの勉強でビジネスに通用する英語が身に付くのでしょうか」です。

TOEICでビジネスレベルの英語が身に付く?

30代の会社員です。

会社では第二言語として英語を話す人が大半で、時々相手の言っている表現が分からなかったり、うまく伝えることができなかったりします。体系的に英語を勉強した方がいいのかと思うのですが、TOEICを学ぶだけでビジネスの現場で使える英語が本当に身に付くのでしょうか。

一般的なオフィスでの会話はTOEICの勉強で必要十分!

まず「ビジネスレベルの英語」が何なのか、そこの共通認識をはっきりさせる必要がありますね。

例えば、ITエンジニアのビジネス英語と卸売業者が仕事で使う英語はまったく違っているはずです。そこで、ここでは業種や業界を問わず、誰もがオフィスで日常的に使う英語を「ビジネスレベルの英語」としましょうか。

そう考えると、TOEICはどんな業界・職種の人も使う汎用性の高い表現だけで構成されているので、 ビジネス向けの英語を学ぶのにうってつけ なのです。 ただし TOEICの勉強だけだと聞く・読むというスキルだけになるので、さらに他のツールを使ってTOEICの内容を話す・書くことを身に付ければ、必要十分と言えるでしょう。

ただ、もちろんネイティブと渡り合いたいというのなら話は別です。TOEICで満点を取れる実力を持った知人が、カナダのトロントに渡って現地の人たちと仕事をしてきたのですが、日常生活は大丈夫だけれど、さらに突っ込んだ議論をしたり、プライベートに文化的な楽しみについて話をしたりするのはまあまあキツかったと言っていました。

一番足りていないのが「リスニング」だと言います。話すことは自分のペースや表現で十分できるけれど、ネイティブの表現がなかなか聞き取れないことがあると言うのです。早口なのはもちろんですが、親しくなればなるほど日本人であると見てもらえなくなり、会話の中にフォーマルではないくだけた表現を使うことが多くなるからでしょう。

プラスアルファの知識を取り入れ、より効果を発揮

TOEICは「ビジネスで使える英語」で作られている ので、基本テーマは社会人の日常生活とビジネスシーンです。フォーマルな内容だけで作られているので、基本的には仕事の場で使っている分には決して恥ずかしい英語ではありません。しかし、次のような事項についてはプラスアルファの知識を身に付けておくと、よりビジネスの現場でのコミュニケーションがスムーズとなり、活性化します。

より格式の高い英語(接客業など)

TOEICはいわば丁寧な英語なので、いわゆる尊敬・謙譲語までしっかりと使いこなす必要があれば、 別途 専用の表現や言い回し を覚える必要があります。また、業界などでは専用の表現があることも多く、当然のことではありますがネイティブでも特別に研修を受けることもあるほどです。

教養的な内容(神話や聖書、格言など)

意外にビジネスシーンの会話で登場するのが、 神話や聖書からの引用や格言 などの内容です。ただ、文化的な教養でもあり、これについては外国人は知らないのが当然といえば当然。ただ比喩表現として結構使われるので、知っておくと一目置いてもらえるかもしれません。(また、逆に日本の文化などについても語れるようになっておくとよいでしょう。)

時事的な内容(ニュースや政治事情)

業務に直接関係ないことでも、 同僚 との会話で 時事的なニュース などについて知らないと、ちょっと人として軽んじられがちなのは日本でも同じですよね。ニュースを日本語でチェックしている人もぜひ英字新聞だけでなく、CNNやBBCなどの動画サイトなどを見聞きしてキーワードをおさえておきましょう。日頃から常に目と耳で最新のニュースに触れておけば、不意の会話でも戸惑わずにいられます。

慣用表現やスラング(インフォーマルな場面で)

同僚 と仲良くなればなるほど、 スラングや早口、慣用表現 などが遠慮なく出てきます。無理して覚える必要はないと思いますが、映画や小説、海外ドラマなどで「くだけた英語」を知っておくと聞き取りやすくなります。 ただし 、フォーマルな会話が身に付かないうちに慣れ親しみすぎると、取り引き先や顧客にもうっかり使いがちなので注意も必要です。

基本のTOEICの勉強だけでもまずは十分だと思いますが、他にもプラスアルファで英語力を身に付けると、よりビジネスシーンで使える英語能力が養われます。

仮に間違ったり、くだけた表現が混じってしまったとしても、むしろあなたの「味」になります。完璧な英語を使おうとしてカチコチになってしまうより、もっとリラックスして話す方が絶対にチャーミングですし、そういう人ほど英語がどんどん上達していきます。

今回ご質問いただいた方は、英語を使える環境にあるのですよね。TOEICの勉強をしつつも、生きた英語を現場で身に付けていくことも大切なのだと思います。分からない単語や聞き取れなかった慣用表現は随時メモをしておいて、自分の中に蓄積していくようにしましょう。

HUMMERさんの本

濱崎流 TOEIC(R) L&Rテストの鍛え方 英語は格闘技 GOTCHA!新書 (アルク ソクデジBOOKS)
濱崎 潤之輔 「HUMMER」の愛称で知られる、TOEIC界のカリスマ講師。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。大学や企業でTOEICテスト対策研修講師を務める。これまでにTOEIC(R) L&Rテスト990点を60回以上獲得。TOEIC(R) L&Rテストのセミナーなども積極的に行っている。著書に『 TOEIC L&Rテスト990点攻略 』(旺文社)『 TOEIC(R)L&Rテスト 本番そのまま プラチナボキャブラリー 』(ジャパンタイムズ)など多数。公式Twitterアカウントは こちら
語り:濱崎 潤之輔取材:伊藤真美

濵﨑潤之輔さんの新刊!『観光客を助ける英会話』

困っている外国人観光客を手助けしよう!

困っている外国人観光客を手助けするためのシンプル英語を学ぶ本です。街中や観光地で、外国人が困っているらしい姿を見かけたことはないでしょうか。たとえば、道に迷って目的地にたどり着けない、駅構内で乗るべき電車が分からない、飲食店で日本語のメニューしか用意されておらず注文できない、など。そんな場面で、なんとか力になりたい、と思ったことがある方は少なくないはず。本書はそんな方々が対象読者です。

●英語に苦手意識があっても大丈夫

本書は、英語に苦手意識がある方、学生時代に学んで以降、ずっと英語から離れていた方などを想定して、そうした方々が無理なく使えるように、1つの文のワード数はできるだけ少なくしました。シンプル英語だから、英語が初級レベルでも学びやすく、そして忘れにくいです。

●40場面、240フレーズを収録

外国人観光客と比較的多く遭遇するであろう、駅、観光スポット、小売店、飲食店などの代表的な40場面を選び、計240のフレーズと、そのフレーズを使った対話例を収録しています。たとえば以下のようなフレーズです。

「途中まで一緒に行きましょう。」
「観光案内所で無料Wi-Fiを使えます。」
「スマホにQR コードを表示させてください。」
「食物アレルギーはありますか。」

1人ですべてを解決できなくても、一次的な対応をする場合に使える表現や、英語ができる人につないであげる際に使える表現も収録しています。付属音声で練習して、実際に街中で使ってみましょう。

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2024 12
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