pleaseを付ければ丁寧?英語の依頼がぎこちなくなる理由

学校で英語を習っていたとき、「何かを頼むときはpleaseを付けなさい」と教わった記憶はありませんか。確かに文法的には正しく、失礼になることもありません。ただ、実際の英語の会話では、pleaseを使うとどこか不自然に聞こえたり、よそよそしい印象になったりすることも。問題はpleaseそのものではなく、英語と日本語では「丁寧さ」をどう表すかが違うという点にあります。この記事では、pleaseが万能ではない理由と、自然な依頼表現の組み立て方を整理します。

Pleaseは「付ければ丁寧」な魔法の言葉?

まず確認しておきたいのは、pleaseを使うと失礼になることがあると言っても、それ自体は失礼な言葉ではないという点です。

  • Please sit down.
    (どうぞお座りください)
  • Please be careful.
    (気をつけてください)

こうした表現は、案内や注意喚起などではごく自然に使われます。

しかし、次のような依頼にpleaseを使うと、少し違和感が出ることがあります。

  • Please check this.
    (これを確認してください)
  • Please send me the file.
    (ファイルを送ってください)

意味は通じますが、場合によっては距離がある/事務的/指示に近いといった印象を与えることがあります。

なぜpleaseがぎこちなく聞こえることがあるのか

理由は、pleaseは単独で「丁寧さ」を表す言葉ではなく、「相手に何かを求めている」ことを合図する言葉だからです。

英語では、丁寧さや配慮は、

  • 一つの単語ではなく、文の形
  • 命令か、依頼か
  • 相手に選択の余地を与えているか

といった要素で判断されます。たとえば、次を比べてみてください。

  • *Please check this.
    (これを確認してください)
  • Could you check this?
    (これを確認していただけますか?)

前者はpleaseが入っていても、命令文の形です。後者はpleaseがなくても、疑問文で相手に選択の余地を与えているため、丁寧な依頼の形になっています。

英語では、この「文の形」の違いが、そのまま印象の違いにつながります。

ただし、英語圏でも子どもに対して

  • “What’s the magic word?”
    (魔法の言葉は何だっけ?)

と声をかけて、pleaseを言わせる文化があります。

これはあくまで「子どもに礼儀を教えるため」の表現です。大人同士のやりとりでは、pleaseを付けさえすれば丁寧になるわけではありません。

この「子どもの教育」と「大人のコミュニケーション」の違いが、学習者にとっての混乱を生みやすいポイントでもあります。

そのため、日本語話者がpleaseを「丁寧さを足すための万能な言葉」として理解してしまうと、自然な英語とのズレが生じやすくなります。

日本語の「ください」とpleaseは同じではない

混乱の背景には、日本語の影響もあります。

日本語では、

  • 見てください
  • 確認してください
  • 送ってください

と「ください」をつけるだけで、依頼として成立します。

一方、英語のpleaseは、「文を依頼に変換する表現」ではありません。命令文にpleaseを足しても、依頼文にはならないのです。

そのため、日本語の「ください」の感覚で命令文にpleaseを足すと、

  • 丁寧に言ったつもりなのに、命令的に聞こえる
  • やけに硬く、距離を感じさせる

といった認識のズレが生まれます。

Pleaseが自然に使われやすい場面

とはいえ、pleaseが向いている場面も確かにあります。

① 案内・ルール・掲示的な表現

  • Please take off your shoes.
    (靴を脱いでください)
  • Please fill out this form.
    (この用紙にご記入ください)

不特定多数に向けた案内やルールでは、「Please + 命令文」を使っても自然です。

② やんわりとした注意

  • Please be careful.
    (気を付けてください)
  • Please don’t forget your ID.
    (身分証を忘れないでください)

行動を制限・注意する場面では、pleaseがクッションになります。

依頼では「pleaseを足す」より「形を変える」

日常や職場での依頼では、pleaseを足すのではなく、依頼の形に作り直す方が自然です。ここからは丁寧に聞こえる依頼表現を紹介します。

① 基本はCould you ~? / Would you ~?

  • Could you check this?
    (これを確認してもらえますか?)
  • Would you send me the file?
    (ファイルを送ってもらえますか?)

短くても、疑問文を使って、相手に選択の余地を与えているので、丁寧な表現です。

② もう一段配慮するなら

  • It would be great if you could take a look at this.
    (見てもらえると助かります)
  • I’d appreciate it if you could reply by tomorrow.
    (明日までにご返信いただけるとありがたいです)

「もし~してくれたら」と相手の都合を尊重する表現を使っているので、pleaseを使わなくても、十分に丁寧です。

「pleaseを使わない=失礼」ではない

英語では、

  • 丁寧さ ≠ pleaseの有無
  • 丁寧さ ≠ 単語の難しさ

です。むしろ

  • 命令になっていないか
  • 相手に選択の余地を残しているか
  • 相手との距離感は適切か

が、丁寧さを決めます。

まとめ

  • pleaseは丁寧な言葉だが、万能ではない
  • 命令文にpleaseを足しても、依頼にはならない
  • 日本語の「ください」とpleaseは役割が違う
  • 依頼では、文の形(Could you ~? など)が重要
  • pleaseを使わなくても、自然で丁寧な英語は作れる

英語の依頼表現では、「何を言うか」より「どんな形で伝えるか」が印象を左右します。pleaseに頼りすぎず、状況に合った文の形を選べるようになると、英語はぐっと自然になります。

ENGLISH JOURNAL編集部
ENGLISH JOURNAL編集部

英語を学び、英語で学ぶための語学情報ウェブサイト「ENGLISH JOURNAL」が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!

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