「I want you to ~」はお願いじゃない?英語の依頼表現の落とし穴

英語で「〜してほしい」と言うとき、I want you to ~を使っていませんか。意味は通じますし、文法的にも誤りではありません。ただ、ネイティブには「お願い」というより、相手に選択の余地をあ絶えず、実行を当然視している、「要求」や「指示」として受け取られることがあります。その原因は、丁寧さが足りないのではなく、日本語の「〜してほしい」と英語のwantが担っている役割の違いにあります。この記事では、誤解が起きやすいポイントと、状況に応じた自然な言い換え方を整理します。

「I want you to ~」は間違いなのか

結論から言うと、I want you to ~は文法的に間違いではありません。実際、次のような文は自然です。

  • I want you to be happy.
    (幸せでいてほしい)
  • I want you to be careful.
    (気をつけてほしい)

ここでのwantは、相手への「気持ち」や「願い」を率直に伝える働きがあります。

ただし、同じI want you to ~でも、相手に何らかの行動を求める依頼になると、印象が大きく変わることがあります。

  • I want you to check this.
    (これを確認してほしい)

「お願い」のつもりでこう言っても、相手には「やって当然」「やってもらうと決めている」という、「要求」に聞こえる場合があるのです。

なぜ要求に聞こえるのか:wantが前面に出る構造

I want you to ~がまるで要求のように受け取られやすい理由は、丁寧語が欠けているというより、文の構造にあります。

  • 主語が「I」(話し手の欲求)
  • 相手が「you」(行動する人)
  • 相手の選択の余地が文の形として残りにくい

つまり、I want you to ~は「相手にお願いする」よりも「自分の希望を押し出す」構造になりやすいのです。

以下はどれも「確認してほしい」を表す例文です。比べると、違いが分かりやすいでしょう。

  • I want you to check this.
    (これを確認してほしい)
  • Could you check this?
    (これを確認してもらえますか?)
  • Would you mind checking this?
    (これを確認していただけますか?)

下2つの文は、依頼の表現を使っているため、相手の判断や都合を尊重しているニュアンスが出ています。

日本語の「〜してほしい」とwantのずれが誤解を生む

日本語の「〜してほしい」は、実は守備範囲が広い表現です。

  • 気持ちや願い(幸せでいてほしい)
  • 軽いお願い(ちょっと見てほしい)
  • 相談や提案(できれば〜してほしい)
  • 遠回しの依頼(〜してほしいんですが・・・)

日本語の「ほしい」は、語尾・間・空気・前置きなどで、丁寧さを表現できます。

一方、英語では、丁寧さや距離感は、仮定法や疑問文といった、文の形(構造)で示すことが多い傾向があります。そのため、日本語の「〜してほしい」を機械的にI want you to ~に置き換えると、意図せず乱暴に伝わることがあるのです。

どこから「お願い」ではなく「要求」になる?

ここからは、I want you to ~が自然に聞こえる場面と、避けた方が安全な場面を整理します。

① OKになりやすい:気持ち・願いを伝えるwant

  • I want you to be happy.
    (幸せでいてほしい)
  • I want you to enjoy your trip.
    (旅行を楽しんでほしい)
  • I want you to know I’m grateful.
    (感謝していることを知ってほしい)

このタイプは「相手をコントロールする」のではなく、「気持ちを相手に伝える」という働きのため、自然な英語です。

▶ 使いやすい状況

  • 励まし、思いやり、願いを伝えるとき
  • 特定の行動を“依頼”する文脈ではないとき

② NGになりやすい:職場や対等関係での“行動依頼”

  • I want you to check this.
    (これを確認してほしい)
  • I want you to fix this by tomorrow.
    (明日までにこれを直してほしい)
  • I want you to join the meeting.
    (会議に参加してほしい)

こうした文は、話し手が依頼したことを「やってもらう前提」で話しているように響きやすく、相手に「断りにくさ」や「従う前提」を感じさせます。注意しましょう。

▶ 注意が必要な状況

  • 同僚や取引先など、対等な関係
  • 相手に判断・優先順位がある場合
  • 期限や評価が絡む依頼

③ 例外的にOK:上下関係が明確な場合の指示

  • I want you to clean your room.
    (部屋を片付けてほしい)
  • I want you to finish this today.
    (今日中にこれを終わらせてほしい)

親子や教育場面など、そもそも「指示」するのが前提の関係では、「~してほしい」にI want you to ~を使っても自然です

一方、職場の対等な関係の相手にこういった表現を用いると、不快感を与えがちなので、注意が必要です。

どう言い換えると自然か:依頼の“形”に変える

「〜してほしい」を英語で自然に言うコツは、依頼表現を使うことです。

① まずは無難:Could you ~? / Would you ~?

  • Could you take a look at this?
    (これを見てもらえますか?)
  • Would you check this when you have time?
    (お時間があるときに、これを確認してもらえますか?)

▶ 向いている状況

  • 迷ったときの基本形
  • ビジネスでも日常でも使える

② 配慮を示す:It would be great if ... / I’d appreciate it if ...

  • It would be great if you could take a look at this.
    (これを見てもらえると助かります)
  • I’d really appreciate it if you could check this.
    (これを確認していただけると大変ありがたいです)

▶ 向いている状況

  • 相手に負担がかかりそうな依頼
  • メール・チャットで丁寧さを出したいとき

③ 相手の都合を尊重する:If you have time, ... / When you get a chance, ...

  • If you have time, could you check this?
    (時間があれば、これをしてもらえますか?)
  • When you get a chance, could you take a look?
    (手が空いたときに見てもらえますか?)

▶ 向いている状況

  • 相手の都合を尊重したいとき
  • 締め切りまで余裕がある依頼

まとめ

  • I want you to ~は文法的に間違いではない
  • ただし、相手に何らかの行動を依頼する場合に用いると、相手に断る余地を与えない表現になりやすい
  • その結果、「お願い」ではなく「要求」と受け取られることがある
  • 背景には、日本語の「〜してほしい」と英語wantの役割のずれがある
  • 自然に伝えるには、依頼表現(Could you ~? / I’d appreciate it if ...など)を使うのが有効

英語では、文の丁寧さを決めるのは、単語の難しさではなく、文の構造です。wantを使うべき場面と、依頼表現に切り替えるべき場面を見分けられるようになると、同じ内容でもずっと自然に伝わるでしょう

参考:「〜してほしい」を伝える言い方をタイプ別に整理

① 気持ち・願いを伝える(wantが自然)

  • I want you to be happy.
    (幸せでいてほしい)
  • I want you to know I’m on your side.
    (味方だということを知ってほしい)

▶ ポイント
相手に行動を指示するのではなく、気持ちを相手に伝える文脈のため、自然です。

② 依頼として伝える(Could / Would)

  • Could you check this?
    (これを確認してもらえますか?)
  • Would you send me the file?
    (ファイルを送ってもらえますか?)

▶ ポイント
対等な立場の相手でも、このような依頼表現を使うと失礼になりません。

③ 配慮を強める(It would be great if / I’d appreciate it if)

  • It would be great if you could take a look at this.
    (これを見てもらえると助かります)
  • I’d appreciate it if you could reply by Friday.
    (金曜までにご返信いただけるとありがたいです)

▶ ポイント
相手の負担や都合を意識していることが伝わりやすい言い方です。

④ 相手の都合を優先する(If you have time, ... / When you get a chance, ...)

  • If you have time, could you review this?
    (時間があれば、これを見てもらえますか?)
  • When you get a chance, could you let me know?
    (手が空いたら教えてもらえますか?)

▶ ポイント
こういった表現を使うと、相手の都合を尊重するニュアンスが出ます。

⑤ 注意:「要求」と受け取られやすい(wantの行動依頼)

  • I want you to check this.
    (これを確認してほしい)
  • I want you to do it this way.
    (このやり方でやってほしい)

▶ ポイント
これらの表現は「お願い」ではなく、要求や指示のように受け取られやすいため、依頼表現を使うのが安全です。

ENGLISH JOURNAL編集部
ENGLISH JOURNAL編集部

英語を学び、英語で学ぶための語学情報ウェブサイト「ENGLISH JOURNAL」が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!

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