英語を話すとき、「いつも同じ表現ばかり使っているなぁ」と感じることはありませんか?連載「サラッと言いたいネイティブの英語」は、学校では習わないけれど、英語ネイティブはよく使う、ちょっと使ってみたいと思えるスマートな英語表現を紹介します。
「小耳に挟んだ」は英語でなんて言う?
A little bird told me.
日常会話において、人のうわさ話などはよくネタになりますよね。ただ、「誰々が言っていた」とストレートに言ってしまうと、角が立つこともあります。また、誰に聞いたかよく覚えていないということもありますよね。今回はそんなときにとても便利な表現をご紹介したいと思います。
A little bird told me. は、直訳では「小さな鳥が私に教えてくれた」というフレーズです。もちろん実際に小鳥から話を聞いたわけではなく、「誰かに聞いたのかをごまかすため」に使うフレーズになります。日本語で言うところの「風の便りに聞いた」「小耳に挟んだ」と言うニュアンスがぴったりです。では使い方を見ていきましょう。
A: I heard that Nancy broke up with Ken.
B: No way! They were engaged, weren’t they? Where did you hear that?
A: Um... A little bird told me.A: ナンシーはケンと別れたみたいね。
B: うそ!婚約してなかった?どこで聞いたの?
A: あー、ちょっと小耳に挟んだのよ。
上記の会話のように、話の出どころをはっきりさせたくないときや誰に聞いたのかを忘れてしまったようなときに使えるフレーズになります。
フレーズの由来は諸説あり、旧約聖書の「コヘレトの言葉」に「空を飛ぶ鳥が言葉を運んで、話を広めてしまう」という記載があったからだ、という説と、単に伝書バトのように飛び回る鳥が手紙(メッセージ)を運ぶ象徴だから、などと言われているようです。
他にも、すでに聞いている情報を「なんとなく聞いています」というときにも使えます。
A: Michael will join our department next month.
B: A little bird told me that.A: 来月からマイケルはうちの部署に来るんだって。
B: その話はそれとなく聞いてるよ。
また、「ちょっと小耳に挟んだんだけどね・・・」と自分から話題を切り出すときには、A little bird told me that ... とthatの後に話のネタを続けます。
A little bird told me that Mike quit his job after just one day.
風のうわさに聞いたんだけど、マイクはたったの一日で仕事やめたらしいね。
このように使います。thatは省略してもOKです。
また、話の出どころを聞かれて、「それは言えないな」とストレートに言いたいときは、I can’t tell you.というフレーズを使います。
また、Let’s just say that ... は「(詳しくは言えないので)?ということにしておこう」「(詳細は省くけど)、~とだけ言っておく」と言うニュアンスですので、今回紹介したフレーズとセットで
Let’s just say that a little bird told me.
まぁ、風の便りに聞いたということにでもしておこう。
という使い方もできます。「本当は知っているけど、言いたくない」という気持ちをほのめかすことができます。
通常はこのように言えば、相手は深く掘り下げてはこないものですが、「どうしても知りたい」と食い下がられ、やむなく言うときは「内緒にしてね」「ここだけの話だからね」と念を押す必要がありますね。そんなときの表現も併せて覚えておきましょう。
A: Where did you get that information?
B: I can’t tell you.
A: Oh, come on. Who told you that?
B: OK. This is off the record. Ruth told me.A: その話どこから出たの?
B: 言えないわ。
A: いいじゃん!誰から聞いたの?
B: 分かった、内緒だよ。ルースに聞いたの。
off the recordは「記録をオフにする」という意味で、「ここだけの話」「非公式の」という意味になり、他言してほしくない会話をしたときにこのような表現を使います。
日本語でも内緒話をするとき「くれぐれもオフレコでね」などと言いますよね。他にもThis is just between us.(私たちの間だけにしておいて)、Keep this secret.(内緒ね)もよく使うので併せて覚えておきましょう。
こういった慣用句は、意味を知らないとなかなか理解できないものですが、日常会話でさらっと使えると、グッと洗練された英会話に近づきます。他にも、
A little bird said so. / A little birdie tweeted to me.
などアレンジして使うと、会話の幅も広がっていきます。ぜひ使ってみてください。
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- 作成:2020年1月1日、更新:2024年4月2日、10月2日
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