意見の不一致、口論にけんか…。ネイティブ流、ちょっと大人な問題解決、英語表現

デイビッド・セインさんの連載「知っ得英語辞典」の第2回は、「問題解決表現」集。けんかや口論をした友人や 同僚と仲直りするときに使いたい、大人の英語表現を紹介します。たとえばLet’s bury the hatchet. はいかがでしょう。何?と思った方、必読です。

アメリカの大都市を訪れたことがある人は、初対面のアメリカ人に笑顔で Hi! と声をかけられ、意外に人懐っこい彼らの素顔に驚いたかもしれません。

新天地を求めてを渡り、アメリカ本土へ足を踏み入れた祖先は生活の拠点を求めて旅から旅への生活を続けてきました。

見知らぬ人と出会い、触れ合い、そして別れていく。

生涯のほとんどをひとつの集落で暮らし、阿吽(あうん)の呼吸で理解し合えた日本人とは違い、アメリカ人には常に意思表示が必要でした。

「私は武器なんて持っていないよ。あなたの命を奪う気なんかないよ」と相手の安全を保障することで自分の安全を確保する。笑顔で交わす「やあ、こんにちは」はアメリカ人にとっては、昔も今も生きていくひとつの手段なのです。

でも、人間歩けば、行く先々で遭遇する事件、出来事があります。そのたびに争いが起きるのは、古今東西変わることはありません。

度合いによって使い分ける「争い」の言葉

英語では、We got in a big argument.(私たちは激しく言い争った)のように言いますが、「争い」を婉曲(えんきょく)的にさまざまに表現できます。

We exchanged words.

We had an exchange of words.

We had a heated discussion.

We butted heads.

fight に little や big を付けて「争いの激しさの度合い」を表す方法もありますが、単語自体で度合いを表す「争い・いろいろ」を見てみましょう。

まずは基本のスタイルから。これで争いの状況を表せます。

We had a / an

下線部に次に紹介する「争い」の単語を入れます。

レベル1

日常的によくあるささいな口論、友達関係が悪くなることはないでしょう。

  • tiff:ちょっとした口論
  • spat:ささいな/ちょっとしたけんか
  • disagreement:意見の不一致、不和
  • squabble:つまらない口論
  • exchange of words:言葉のやりとり、口げんか

レベル2

放置しておけば大きな火種となり、友人関係がダメになるかもしれません。

  • run-in:ゴタゴタ、いさかい、もめ事
  • clash:対立、衝突
  • dispute:議論、口論
  • altercation:口論、言い争い
  • quarrel:けんか、いさかい
  • argument:議論、口喧嘩

レベル3

これをすれば友達関係が終わりになる可能性は大です。

  • feud:不和、反目
  • shouting match:怒鳴り合い(のけんか)、大声の口論
  • blowup:怒りの爆発、激怒
  • war of words:言論戦、舌戦

ちょっと大人な表現で、争った後は問題解決

ちょっとした口げんかから国家間の戦争まで、人が生きている限り、争いの種は尽きません。しかし、人間の知恵は争いを上手に収める言葉を作り出してもいます。

Let’s be friends again.

「もう一度友達になろうよ」。子どもたちは、こんなに率直な言葉で矛(ほこ)を収めようとします。

でも私たちは、ネイティブ流のちょっと大人な問題解決表現を使いたいものです。

No, it’s my fault.

「いいえ、私が悪いんです」。相手が自分の非を認めてあなたに謝罪した場合、「いいえ」と否定して「自分の責任」を明確にする表現です。

No my fault.

「いいえ、私にも悪いところはあったんです」。これは「部分的に私の責任です」ということで、すなわち、「あなたも悪かったけど、私にも悪いところはありました」と、間を取る表現になります。

Let it slide.

「忘れてしまいなよ」。slide は「滑らせる、流す」の意味なので、「心に留めておくことはないよ」の意味になります。Let it go. も同じです。

また「大目に見る」の意味もあるので、I’ll let it slide this time. なら「今回は大目に見ましょう」となります。

Let’s let bygones be bygones.

「過ぎたことは水に流しましょう」。bygones は「過ぎ去ったこと」。直すると「過ぎ去ったことは過ぎ去ったこととしましょう」の意味になります。

That’s water under the bridge.

「過ぎたことですので、気にしなくても大丈夫です」。water under the bridge は、一つ前の文に出てきた bygones と同様に「終わったこと、過ぎ去ってしまったこと」の意味です。「橋の下を流れる川の水は留まることなく流れていきます」というニュアンスです。

Let’s forget about it and move forward.

「もう忘れて前に進みましょう」。forget(〈過去を〉忘れる)、そしてmove forward(〈未来へ向かって〉前進する)。現在を境に過ぎ去ったことを忘れ、未来へ向かおうとする気持ちを表します。

Don’t give it another thought.

「そんなこと、気にしなくてもいいんですよ」。これは「それをもう一度考えなくてもいいですよ」が直訳です。相手が自分が悪かったことを認めて「ごめんなさい、私が悪かったです」と謝罪してきた場合に、この表現を使うといいでしょう。

All is forgiven.

「すべては許されています」。この場合の forgiven は「相手の罪や過ちを責めない」という意味になり、大きな許しの心を表す一言になります。

Let’s bury the hatchet.

「仲直りしましょう」。直訳は「斧(おの)を埋めましょう」です。「斧」はネイティブアメリカンの武器でした。その武器を土中に埋めてしまう、それが彼らの和平・和解の気持ちを表す表現でした。現在ビジネスの現場でも「仲直り、手打ち」の意味合いで使われています。非常にアメリカ的な表現です。

まとめ

起きてしまったことは悔やんでも仕方がありません。後はお互い嫌な気持ちを残さずこれからを見据えていくことが大切です。その場にふさわしい一言を選んで、嫌なことは水に流して先へ進みましょう。GOTCHA!

:D セイン

文京区根津にオフィスがあるセインさんは、通称「谷根千」エリアを熟知。セインさんにご案内いただき、近所を散策しました。

David Thayne(デイビッド・セイン)

米国生まれ。証券会社勤務後に来日。日本での30年にわたる英語指導の実績を生かし、AtoZ GUILDと共同で英語学習書、教材、ウェブコンテンツの制作を手掛ける。これまでに累計400万部を超える著書を刊行し、多くがベストセラーとなっている。NHKテレビのレギュラーとしても登場。ほか日経・朝日・毎日新聞等に連載。企業・学校等でビジネス英語、TOEIC、おもてなし英語、日本文化を英語で紹介する講演会やセミナーも開催する。「 AtoZ English 」を主宰するほか、「日本文化を紹介するのは最高のおもてなし!」をテーマに、オンラインで英語を学習するサイト「 和カルチャーEnglish 」を運営している。

写真:山本高裕

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