「最初は単語を覚える気マンマンなのに、いつも2・3日でつまらなくなる」「英語の点数を上げたいけど、勉強感があるのはイヤ!」こんな風に悩んでいる学生の方に向けて、おすすめの参考書を紹介します。
数ある教科の中でも、英語って特に苦手意識を持ちやすいですよね。国語であれば、母国語というだけである程度の理解はできるでしょう。
英語の場合、最低ラインの文法と単語を覚えるだけでかなり世界が広がり、勉強がどんどん楽しくなっていきますよ。
今回紹介する『感涙ストーリーで一気に覚える英単語3000』は、勉強させられている感ゼロでインプットできるユニークな単語帳です。
- 授業で習わない単語も知りたい中学生
- 読書は好きでも英語には苦手意識ありという高校生
このような学生さんに、特に手に取ってみてほしい1冊。しかし本書には良いところも悪いところもあるので、どこよりも詳しく正直なレビューをお届けしますね。
『感涙ストーリーで一気に覚える英単語3000』の特徴
単語がズラッと並んでいるだけの本では、いつの間にか眠くなってしまいますよね。しかしこの単語帳は、次のページをめくりたくなる特別な作り。なぜなら、小説と単語暗記を掛け合わせたユニークなテーマになっているからです。
見開き2ページ以内のショートストーリーが全100話収録されています。日本語をベースに書かれたお話ですが、ところどころが英単語・英熟語に置き換えられており、物語を楽しむついでに新たな語彙と出会えるんです。
ちなみに、ショートストーリーの構成にもこだわりを感じられました。最初は1話完結の独立した話に見えるのですが、読んでいくうちに発見があるんです。
「◯話に出てくるAと◯話のBには繋がりがあったんだ」
「◯話でCとDが関わっている出来事には、別の話に出てきたEも実は絡んでいたんだ」
こんな風に、1話ずつはそれぞれ違う話でも、全体で見ると1つの大きな物語に。読書好きの方は、伏線の存在でさらに読み応えを感じられると思います。
単語帳の4つのメリット
本書では、英語学習の超初心者が感じる敷居の高さを取り払ってくれています。これから英語を頑張ろうと思い始めた中学生でも、難しさを感じずに学習を始められますよ。
僕が本書を手に取って感じた具体的なメリットを4つ紹介します。
メリット①わかりやすい表現に直してくれている
英語が難しく感じないよう、できる限り噛み砕いた訳を教えてくれます。
実際に掲載されている「adore」を例に見てみましょう。
一般的な意味として、次のように辞書には載っています。
- 崇拝する
- 敬慕する
- 熱愛する
この訳を見て、学生さんは「そもそも崇拝・敬慕って日本語でどういう意味?」と、英語以前の課題にぶつかることが。
しかし本書ではいくつかある「adore」の意味でも、特に身近な「大好きである」の表現を採用しています。難しすぎる意味をできるだけ使わずに教えてもらえると、英語初心者にとっての勉強のハードルがかなり下がりますよね。
メリット②いい意味で情報量が少ない
一般的な単語帳や辞書を見て「略語とかマークとか、意味がよく分からない…」と気後れしたことはありませんか?情報量が多過ぎる本を手にすると、何を覚えればいいかわからなくなりますよね。
画像引用:https://eow.alc.co.jp/search?q=custom
本書では「custom=風習」のたった一言でまとめられています。
英語中級者は、単語から連想できることを一度に覚えた方がたしかに効率的。一方で、英語の超初心者が勉強への苦手意識をなくすには『感涙ストーリーで一気に覚える英単語3000』くらいの情報量でもちょうど良いでしょう。
メリット③関連単語も覚えられる
5話分のページが終わると、ショートストーリーに登場した英単語・英熟語の関連語彙をまとめたコーナーがあります。
例えば1話目は実家での思い出を振り返る話。ストーリーに出てくる「parents' house=実家」に関連して、次のような関連単語がピックアップされています。
- parents(両親)
- sibling(性別を限らないきょうだい)
- cousin(いとこ)
掲載されているのは、日常会話でもよく使いそうな、かゆいところに手が届く語彙ばかりです。
メリット④感情とセットで覚えられる
本書では、日本語の物語の中に英単語・熟語が登場します。ストーリーを読んで感情が動くと、実は長期記憶のきっかけになるんです。この脳の仕組みは感情記憶・エピソード記憶とも呼ばれます。
例えば以下のように「すごく細かいことだけど、印象的で何年間も頭に残っている」という経験はありませんか?
「初めてハワイに行ったときは海の綺麗さにとても感動した」
「あの日は朝から雨が降っていたけど、急に天気が回復して海を見に行けたんだよね」
海に心動かされた記憶(感情)と紐づいて、いつもは長期記憶されない天気のことまで鮮明に覚えている状態です。
本書でキャラクターへの共感や感動により感情が動かされると、そのシーンに登場した単語も頭に残りやすくなるでしょう。
人によっては好みが分かれる点も正直に紹介
ここまで「超初心者の英語学習におすすめ」といい面ばかりをお伝えしましたが、実は人によって感じ方が変わりそうな面もあるんです。
僕が思う微妙な点まで、包み隠さずお話ししますね。
好みが分かれる点①例文がルー大柴さんスタイル
本書に載っているショートストーリーは、いわゆる「ルー語」で進行します。
【ルー語とは?】
タレント・ルー大柴さんの独特な言い回し。日本語の中に英語を織り交ぜる話し方。
「寝耳にウォーター(水)」「ヤブからスティック(棒)」など
例えば、実際にこんなふうに文章が書かれています。
私が何度もbegしたので、ついにはconcessionして
Amazonなどのレビューでは「好みが分かれそうなルー語」といった意見も。
ただ、前後の日本語とセットで英単語が頭に入ってくる仕組みは、プラスにもなりそうです。どんなシーンにその単語が使われるのかを日本語ごと無意識に覚えられると思います!
好みが分かれる点②発音は自主的にも学んだほうがいい
- 英単語・熟語
- カタカナ発音
- 意味
この3点セットで、ストーリーに出てきた単語がまとまっています。
pic up:ピィッカッ
発音は、スピーキングだけでなくリスニングにも影響する重要なスキル。本書のカタカナ発音だけで済ませず、きちんと記号を確認したり実際に話してみたりして覚えてくださいね。
英語を身近な存在に感じよう!
超初心者が英語への苦手意識をなくすのに、ちょうどいいレベル感の単語帳です。短めの小説を読むような感覚で、勉強だと身構えることなく新しい語彙と出会えますよ。
ただ、ユニークな単語帳ですが、本書だけで英語力が磨けるわけではありません。まずは「英語ってなんか難しそう…」という心理的な壁を壊す目的でぜひ手に取ってみてください。
本書で単語のレパートリーが増える楽しさを味わえれば、今後の勉強も進めやすくなるはずです。
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