TOEIC学習では「実際に使える英語力」は身に付かないと思っていませんか?連載「キャリアに生かすためのTOEIC学習法」では、英語コーチの星名亜紀さんに、使える英語力を身に付けるために必要なマインドセットや効果的な学習法を紹介していただきます。
TOEIC学習で「使える英語力」は身に付くの?
皆さんこんにちは。英語コーチの星名亜紀です。「キャリアにいかすためのTOEIC学習法」第3回目のテーマは「シャドーイング」です。インターネットや参考書で調べると、ディクテーション、リピーティング、精読など、さまざまな英語学習方法が出てきますよね。その中でもきっと皆さんがよく耳にしている「シャドーイング」について今回は詳しくご紹介していきます。
シャドーイングは、実は私も3、4年前から毎日取り組んでいる学習法。これを始めるまではTOEICのリスニングパートで495点満点が取れたり取れなかったり・・・。しかし、毎日のシャドーイング練習を習慣化したら、継続的に495点満点を取れるようになりました。また、TOEICスコアだけではなく、CNN10やTEDトークなどナチュラルなスピードの英語のリスニング力もアップしたのを実感していますし、発音が上手になった!と言われることも。
シャドーイングはTOEICスコアアップにはもちろんのこと、使える英語力を身に付けるためにも非常に効果的な学習法なのです。
気になるシャドーイングの効果は?
まず私がシャドーイングの一番の効果だと考えているのは、英語の本当の音が分かるようになることです。英語のリスニングをして聞き取れないときに考えられる理由は幾つかありますが、これらが原因となっていることが多いのではないでしょうか。
*知らない単語があった
*単語の意味は知っていたが、思っていた発音と違った
*単語の意味も発音も知っていたが、複数の単語が繋がって音が変化したため、理解できなかった
「全然意味が分からないと思っていた英文のスクリプトを確認したら、全部知っている単語だった!」という経験がある方も多いはず。それは三つ目に挙げた「音の変化に気付けなかったこと」が原因です。
例えば、
Could you say that again?
「もう一度お願いします」という意味のこちらの英文。恐らく視覚的には理解できる方がほとんどでしょう。しかし、こちらを一語ずつ“クッドゥ ユー セイ ザット アゲイン”というように発音すると覚えていれば、“クッデューセイダッタゲイン”とつなげて発音されたときに理解できません。
シャドーイングの練習をすると音のつながり(リンキング)や脱落(リダクション)に気付くことができるようになり、ネイティブがナチュラルな速さで話す英語にもしっかり対応できるようになります。
下準備をしっかりすることがポイント!
シャドーイングを効果的に行うには事前の準備が欠かせません。いきなり新しい英文を真似して発音しようとしても、意味が分からなかったり知らない単語があったりする英文ではあまり効果がありません。
シャドーイングをする際には、事前に三つの下準備をしましょう。
*単語の意味を覚える
*文法や構文を確認する
*英文の意味を理解する
その後、音声を聞きながら自分のペースで音読を繰り返します。スラスラと音読できるようになった英文で、シャドーイングの練習に取り組みましょう。
すぐに上達しなくても焦らないで!
シャドーイングは非常に負荷の高い学習法です。数十回練習したくらいでできるようになることはありません!一つの英文を2、3時間練習したのに全然上手にならないな・・・と思って諦めそうになっている皆さん、それはあなただけでなく誰もがそうなのでご安心を。
TOEICの対策としては、公式問題集のPart 3の英文でシャドーイングすることをおすすめしていますが、Part 3の英文を使うとしたら一つの会話で1週間くらい、初めて挑戦する場合は1カ月間くらいかけて完成させるイメージで進めましょう。
シャドーイングの効果がすぐに感じられなくても、焦る必要はありません。ダイエットと同じです。運動や食事改善をしてたとえ体が変化していたとしても、体重が減って数字として表れるのは数週間後ですし、周りから「痩せたね!」と言われるのも1カ月くらいかかりますよね。シャドーイングをしてもスコアが伸びるのは数週間?数カ月後ですし、周りから「発音が上手になったね!」と言われるのにも時間がかかります。しかし、正しい方法で継続すれば必ず効果が得られます。自分を信じて継続してみましょう。
シャドーイング練習には「すきま時間」や「ながら学習」をうまく活用!
シャドーイング練習をうまく習慣化するには、「新しくシャドーイングのための時間を作る」のではなく、「今ある生活にどのようにシャドーイング練習を組み込むか」を考えてみてください。
シャドーイングをおすすめすると、「では、これから毎日1時間はシャドーイングをします!」と張り切って宣言してくださる方がいますが、残念ながらハードルの高い目標を立てるとその分、挫折もしやすくなってしまいます。
先ほどもお伝えしたように、確実に力は付くものの即効性はないのがシャドーイング。長期的な視点で取り組んでいくことが大切です。短距離走ではなくマラソンのように、毎日少しずつで良いので、3カ月、半年、そして1年と継続してみましょう。ある日、ふと「聞こえるようになった!」という日が訪れるはずです。
私の場合は、「車を運転するときはシャドーイング」を徹底していました。車にTOEIC公式問題集のCDを入れていたので、エンジンをかけるとすぐに私のシャドーイングタイムが始まるのが習慣に。シャドーイングが習慣化できれば、意識しなくても当たり前のように練習するようになります。通勤・通学中、駅まで歩く時間、料理の時間など、シャドーイングができそうな時間があるか自分の生活を振り返ってみましょう。
徹底的なシャドーイング学習が英会話の基礎力になる
ここまで、シャドーイングのやり方や効果についてお伝えしてきました。シャドーイング練習によって本当の英語の音が分かり音の変化にも気付けるようになるので、英語が聞けるようになる、つまりTOEICのリスニングスコアはもちろんアップします。
しかし、シャドーイング練習で得られるものはリスニング力向上やTOEICスコアアップだけではありません。正しい英語の音を習得すれば発音も必ず良くなりますし、英語のリズムが身に付つけばネイティブのような強弱のある英語を話せるようになり、スピーキング力向上に結び付きます。
英語ネイティブに聞いてみると、日本人の話す英語の聞き取りが難しい理由は「RやL、THなど単語一つ一つの発音が下手だからではなく、英語特有のリズムがなく、日本語特有の行進のような淡々とした口調で話されるから」と挙げる方も多くいます。シャドーイング練習を取り入れることで、ちゃんと聞ける、ちゃんと伝わる・使える英語力を手に入れましょう!
TOEIC学習を通して、キャリアにも生かせる英語力を身に付けたいと思っている学習者の皆さん、ぜひ今日から15分でも良いので、毎日の生活にシャドーイング練習を取り入れてみてくださいね。
TOEIC勉強中にはこの記事もおすすめ
【Santaアルク】3分でできる英語力診断
AIが弱点・伸びしろ・TOEICスコアを予測
- Santaアルクを使って学習しているユーザーは世界で400万人以上!
- 20時間の学習で平均165点のスコアアップ実績
- AIがユーザーのTOEICスコア・弱点・伸びしろを診断し、個別最適化されたカリキュラムを提供