『ENGLISH JOURNAL』2022年7月号の特集は「だからTOEIC(R)はやめられない!」。TOEICテストで満点を連発するカリスマ講師陣が、このテストの奥深さを語ります。本記事ではその中からヒロ前田さんの記事をご紹介。前田さんはTOEIC道に関しては日本一のトップランナー。指導者として問題分析を突き詰めたその先に、何が見えたのでしょうか。
テストの調査・分析、ストラテジー開発へ
1992年。私がTOEIC L&Rテストを初めて受験した年です。それから2001年までの10年間は「受験者」の立場からTOEICを見ていましたが、その年から立場が変わりました。「アナリスト」としてTOEICを見るようになったのです。きっかけは、ロバート・ヒルキ氏のTOEIC対策セミナーをプロデュースしたこと。TOEICの攻略法を教えるロバートに触発された私は、TOEICを深く知りたいと思うようになり、受験回数を「数年に1回」から「全受験」に変えました。ロバートと出会ったことで、TOEIC道を歩み始めたのです。
2003年から自分でもTOEICを教えるようになりました。テストを調査・分析しながらストラテジーを開発し、その有効性を検証するために受験を繰り返す。それが当時の受験動機でした。2005年からはTOEIC講師を育成する講座をロバートと一緒に始めました。講師歴わずか2年の私が、世のTOEIC講師に「教え方を教える」という暴挙に出たわけです。教え方を教えるのですから、当然のごとく、自分自身が誰よりもTOEIC に詳しくなろうと決め、TOEICに関して知らないことはないと思えるほどリサーチを重ねたのです。
満点ではなく狙ったスコアを取る
TOEICに詳しくなるために私が選んだ戦略は、990点を取ることではなく、他の講師が
やらないことをやることでした。講師は誰でも高いスコアを取れますから、私は「狙ったスコアを取る」ことに注力しました。
通常、講師が教える相手は英語力がそれほど高くない学生や社会人です。彼らにとっては、600点や730点といったスコアが価値を持ちます。ですから、「何問を正答すれば何点が取れるのか」を講師は知っておくべきだと私は考えました。自分を実験台にして、「正答数とスコアの関係」を徹底的に調べました。方法はシンプルで、仮説を立てて検証するだけです。例えば、各セクションで300点ずつ取れば計600点です。そのために必要な正答数を60問と仮定し、60問は正答を選び、40問はマークを塗りません。
そうして出てくるスコアが280点なら、300点に必要な正答数は64問前後だと分かりますから、次のテストで64問だけを正答します。このような実験を繰り返すことで、(試験ごとに多少のブレはありますが)正答数とスコアの関係を知ることができ、他の講師や受講生に自信を持って教えることができるようになりました。結果的に、私は15点から990点まで、幅広いスコアを取得しました。
ENGLISH JOURNAL 7月号はTOEIC特集!
7月号の特集は「だからTOEICRはやめられない!」。TOEICテストで満点を連発するカリスマ講師たちが、このテストについて語ります。
【特集】
かめばかむほど味が出る――TOEICテストのそんな魅力に取りつかれた指導者・執筆者たちが、このテストの奥深さを語ります。彼らがこれまでTOEIC道を進んできたその胸中を語るほか、指導者であるためにどんな研究をし、TOEICという「国」に何を見いだしたのか。TOEICパート別の特徴解説や満点奪取の方法まで、「TOEICにどっぷりはまっている方、「TOEICはもうかも?」なんて思っている方を、「TOEIC国」にいざないます。
1.指導者たちが語る 私たちのTOEICライフ:大里秀介、加藤草平、小石裕子、テッド寺倉
2.ここまで極めたTOEIC道~テスト分析で見たもの、全部教えます~:ヒロ前田
3.TOEIC国の不思議「あるある」パート別解説:ヒロ前田
4.いざ、TOEIC満点奪取!~本気で990点を取りたいあなたへ~:濵﨑潤之輔
音声付き学習コンテンツも充実した7月号を、ぜひお楽しみください。