駿台予備学校英語科の大人気講師、神坂明生海(かみさかあきおみ)さんが、脳内に映像のようなイメージを作りながら読む独自のメソッドを使って、英文がどんどん頭に入ってくる読み方を教えます。連載「神坂流!英文読解術」6回目は、英文を一読して理解する頭の働かせ方の集大成です。
皆さん、こんにちは。駿台予備学校英語科講師の神坂明生海です。今回もお読みくださり、ありがとうございます。
いよいよ最終回です。これまでにお伝えした取捨選択やキーワードなどを意識して、力試しのようなつもりで以下の記事を読んでみてください。
把握 してみましょう">1分で大意を 把握 してみましょう
この連載の目指すところは「一読してわかる」 ですので、今回はスピードも意識したいところです。お手元に時計がある方は、ぜひ時間を測ってトライしてみてください。制限時間は1分です。いつものように最後に要約問題(記事の見出しを問う問題)を出しますが、1分間はあっという間に過ぎてしまいますので、大胆になってお読みください。
¶1 Deforestation has wiped out 8% of the Amazon rainforest in just 18 years, according to a study released Tuesday.¶2 The swath of land destroyed between 2000 and 2018 is the size of Spain, according to a study by the Amazon Geo-Referenced Socio- Environmental Information Network (RAISG).
¶3 “The Amazon is far more threatened than it was eight years ago,” RAISG said in a statement .
¶4 The organization ’s last map tracking deterioration of the forest was published in 2012.
¶5 The current map, a collaboration between 10 organizations, shows 513,016 square kilometers of the rainforest have been lost since 2000.
¶6 According to the report , the latest data shows a turn for the worse. While rates of deforestation declined between 2003 and 2010, logging, farming, ranching, mining and infrastructure projects in the past decade have negatively affected the Amazon.
¶7 Brazilian President Jair Bolsonaro has encouraged development in the Amazon rainforest and loosened enforcement of environmental laws.
¶8 “In 2018 alone, 31,269 square kilometers of forest were destroyed across the Amazon region , the worst annual deforestation since 2003,” the RAISG study says.
¶9 The destruction of mature tropical forests is a massive hit to biodiversity and is responsible for about 8% of global carbon dioxide emissions, according to the World Resources Institute, the research and advocacy group that oversees Global Forest Watch.
¶10 Because forests are massive sponges of carbon dioxide, reversing their loss would play an outsize role in fighting climate change .
¶11 The RAISG study comes days before the fifth anniversary of the Paris Agreement , in which 195 countries agreed to measures that would limit world production of C02 emissions. In a controversial move, President Donald Trump withdrew the United States from the agreement in 2017.
これまでお伝えしてきたことと、頭の働かせ方
この連載でこれまでにお伝えしてきたことは、
・「過去形、数字、固有名詞」は具体部分であること( 第2回 )
・短期記憶できるチャンクは「4±1」なので、具体部分は「ふわっと」流して読んでよい(忘れてよい)こと( 第3回 )
・特に冠詞や所有格でつながっている部分もその読み方でよいこと( 第4回 )
連載のゴールは「一読してわかる」 でしたし、今回は制限時間が1分ですので、その時間内に重要な情報を吸収するとなると、相当大胆になって読む・読まないを 判断 しなければなりません。その意味で、切り 捨てる べきところはかなり切り捨てていますので、頭の働かせ方の参考にしていただけると幸いです。
それでは、いきます。
¶1 【まずは抽象( 主張 )部分が来るはず!】
Deforestation has wiped out 8% of the Amazon rainforest in just 18 years, according to a study released Tuesday.¶2 【次は具体のはず!】火曜日に発表された調査によると、このわずか18年間のうちにアマゾンの熱帯雨林の8パーセントが森林伐採により消失した。
=1文目=抽象( 主張 )部分
The swath of land destroyed between 2000 and 2018 is ~¶32000年から2018年までに失われたswathは~
=数字、destroyed(消失した※厳密には過去分詞形)より、その期間に森林が失われた(過去の話)
(お恥ずかしい話ながら、私はswathという単語を知りませんでしたが、全体像の 把握 に際しては特に問題ありませんでした)
“~” RAISG said in a statement .¶4RAISGは声明で「~」と述べている。
=“~”=¶2を踏まえたRAISGの発言、過去形、固有名詞
The organization ’s last map tracking deterioration of the forest was published in 2012.¶5その組織の森林の消失を追いかけた最後のマップが2012年に発行された。
=過去形、数字
The current map, ~, shows …¶6その最新のマップが表しているのは~
=The current map ~(定冠詞)=¶4のマップの追加説明
=具体=ふわっと流す ( 第4回 )
According to the report , ~¶7報告によると~
=the report ~(定冠詞)=何かしらの報告
=具体=ふわっと流す ( 第4回 )
Brazilian President Jair Bolsonaro has encouraged ~¶8ブラジルのジャイロ・ボルソナロ大統領が促しているのは~
=固有名詞
“~” the RAISG study says.¶9=“~”=¶7を踏まえたRAISGの発言、固有名詞
=具体=ふわっと流す
The destruction of mature tropical forests is ~¶10成熟した熱帯雨林の破壊は~
=¶1の retention により、熱帯雨林の破壊の話が続いていることが分かる。
=具体=ふわっと流す
Because forests are(=現在形!) massive sponges of carbon dioxide, ~¶11森は二酸化炭素を吸収する巨大なスポンジなので~
=森の果たす役割について
=¶1の retention から外れるので、欲張らない。
=ふわっと流す
The RAISG study comes ~頭の働かせ方は以上です。RAISGの研究は~に発表された。
=RAISGの研究発表
=固有名詞
=具体=ふわっと流す
それでは、問題です。この記事の見出しはなんでしょう?
正解は
Study : 8% of Amazon Rainforest Destroyed Since 2000でした。¶1の内容がほぼそのままでしたが、いかがでしたか?2000年以来アマゾン熱帯雨林の8パーセントの減少
なぜこの読み方なのか?
私は予備校講師として授業の予習をしながら、そして教壇に立ちながら、ずっと考えていることがあります。
それは、いかにして学生たちの学力を引き出し、大学合格に繋げることができるのか。さらには、この受験を きっかけ に、いかにすして合格のみならず、大学生になってからも、社会に出てからも、そしてその先もずっと勉強し続けられる きっかけ を与えられるのか、という2点です。
そんな自問を繰り返し、 同時に 脳や記憶のメカニズムを勉強していたときに出合った答えが、 人間の無意識の行為(脳の働き)に光を当て、それを意識の表層へと引き出し、意識的に使いこなせるようにすること でした。それが「わかる」とはどういうことかであり、抽象→具体の判別であり、その他諸々、この連載でお伝えしたことでした。
読者の皆さんに私の持てる技術を披露するなど僭越極まりないことと承知の上でしたし、皆さんにできることが何なのかと思いあぐねていたものですが、その結果として出てきたのが、 「一読してわかる」頭の働かせ方 を皆さんと共有することでした。
時代は情報に溢れ、メディアは多様化し、学習ツールも私が学生だった20年前とは比べ物にならないほどに選択肢が広がり、すべてが大きく様変わりしました。そんな情報過多の時代に、内容を要領よく 把握 し皆様に有益に働くのは、情報の素早い取捨選択の指針ではないかと考えたわけです。
この連載が読者の皆さんにどれほどの きっかけ を与えることができたのかは知る由もありませんが、私がこの場で述べさせていただいたどれか一つでも皆さんの英文読解の一助となっていれば、これに勝る喜びはありません。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
※英文の出典: VOA News December 08, 2020 08:44 PM
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神坂明生海(かみさかあきおみ) 福岡県生まれ。駿台予備学校英語科講師。全国通訳案内士。高校まではほぼ勉強せず、日本語もままならなかったが、浪人時代に小畑徳正先生、副島隆彦先生と出会い、本格的に勉強を始める。その後、認知言語学的なアプローチから英語を捉え、現在に至る。駿台の長文の授業では、普段私たちが意識しない「予測する力」を活用した授業を展開中。座右の銘は「ABCを忘れない(A:当たり前のことを、B:バカにせず、C:ちゃんとやる)」。
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