英文を一度読んで「わかる」力を得るための「型」を覚えよう

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駿台予備学校英語科の大人気講師、神坂明生海(かみさかあきおみ)さんが、脳内に映像のようなイメージを作りながら読む独自のメソッドを使って、英文がどんどん頭に入ってくる読み方を教えます。連載「神坂流!英文読解術」1回目は「わかる読み方」についてです。

「一読して内容がわかる」を目指そう

皆さん、初めまして。駿台予備学校英語科講師の神坂明生海です。

皆さんは、これまでに「単語集は何冊かやったけど、長文が読めない(わからない)」とか、「長文を読み終えはするものの、何を言っていたのか覚えていない(わからない)」など、悩みを抱えたことはありませんか?

実際、僕が受験生だったときはそんな経験は何度もありましたし、教壇に立つ今でもそのような悩みを抱える生徒は頻繁に目にします。

でもそれは皆さんの勉強量が少ないからでも、記憶力が悪いからでもありません。実は、「頭の働かせ方」に問題があるからなのです。

そこで、これから6回にわたって、英字新聞や英字雑誌など英文読解全般における「わかる」ということを、脳科学を踏まえながらお話ししていきたいと思います。

この連載のゴールは、「一読して内容がわかる」です。読解の基本となる語彙力や構文解析力はあることが前提となりますが、ご了承ください。

普段僕が駿台予備学校の英語入試問題研究(長文読解)の授業で行っていることをそのままお伝えしていきますが、初回はそのイントロです。ちょっと理屈っぽいことも多くなりますが、どうぞ最後までお付き合いください。脳科学に興味のない方は、太字部分だけでも読んでいただければ幸いです。

記事を一言で要約してみよう

それでは、まず以下の記事を返り読み(日本語の並びに合わせて英単語を訳しながら読むこと)せず、1回だけ読んでみてください。その後、ちょっとした問題を出します。なお、内容の都合上、この記事の後半部分とタイトルはここではあえて伏せさせていただきます。

¶1 Researchers in Japan have provided more evidence supporting the theory that all life on Earth could have sprung from bacteria that landed on the planet from outer space.

¶2 The evidence comes from an experiment that was conducted on the International Space Station (ISS), the results of which were published Wednesday in the science journal ”Frontiers in Biology”.

¶3 The researchers placed bacteria samples in exposure panels outside the ISS and left them there for three years. They said that when the samples were examined, the bacteria at the surface had died off but formed a protective layer for the bacteria beneath the surface, ensuring the survival of the rest.

¶4 The researchers said that based on the data they had collected, a bacterial colony measuring approximately 1 millimeter in diameter could have survived for up to eight years in outer space.

¶5 If so, then a bacterial colony could theoretically survive the journey from Earth to Mars, or vice versa, which would take several months or years, depending on the trajectory.

では、問題です。

1 この記事は何が言いたかったのでしょう?

2 先ほどの記事を返り読みせずにもう一度読んでみてください。

3 この記事を一言で要約してみてください。

何をもって「速読」というのか

この記事を読んだとき、1回目であれ、2回目であれ、皆さんはどのようなことを考えて読みましたか?2回目は特に「要約問題を出す」と予告をしておいたので、その準備をしていたかもしれませんね。いずれにせよ、先の英文を読んでいるとき、

1. ざっと目を通す感じでしたか?

2. 内容を理解するために少しスピードを落としながら読みましたか?

3. 何か別のことを考えながら読みましたか?


読解に関して言えば、僕は2があるべきスタンス(正解)だと考えます。

というのも、いくら速く読んだとしても内容が頭に入ってきていなければ、表面的に目で字面を追っているにすぎず、そこからは何も生まれないし、何も頭に残らないからです。

逆に、読むスピードを多少遅くしても、筆者の主張なり伝えたい情報を(理想的には)一読して頭に残すことが「速読」だと考えるからです。

そこで、「速読」するためにはどのように頭を働かせ、何を意識すればよいのかを今回紹介し、その目印となるものやそのほかのポイントを2回目以降にお伝えしていきます。

「わかる」とはいつ起こるか?

ところで、そもそも「わかる」とは何なのでしょうか。もしくは、「わかる」とはどういうときに起こるのでしょうか?

さまざまな言い方ができると思いますが、脳科学的に言えば、「筆者(話し手)と同じ“心像”が読者(聞き手)の中に喚起されたときに、わかるが起こる」となります。が、よくわからないですよね?大丈夫です。ここでの脳科学はあくまでも英語を理解するツールですから、ご心配には及びません。

多少語弊はあるのですが、あえてわかりやすさを優先して表現してみますね。すると、こんな感じになります。

「わかる」とは、目にした言葉や耳にした言葉が頭の中の「イメージ」と一致した時に起こる

例えば、「昨日、僕は親友の橋本○○(名前)と焼き肉を食べながら楽しい時間を過ごした」と言った場合、おそらく皆さんは「ふーん・・・」で終わりだと思います。

しかし、「昨日、僕は親友の橋本環奈と焼き肉を食べながら楽しい時間を過ごした」と言った場合はどうでしょう?

「千年に一人の逸材」と言われているあのかわいい女優さんと僕が焼き肉を食べに行ったと言っているわけですから、ファンの方からしたら嫉妬さえ覚えるかもしれません。橋本環奈さんをご存じない方は、お名前の部分をお好きな俳優さんの名前に置き換えてみてください。ちなみに、僕には先述の橋本○○という名前の親友はいますが、橋本環奈さんとの面識はまったくありません。

つまり、読者である皆さんの頭の中に彼女と僕が楽しく焼き肉を食べているイメージが出来上がった(=わかった)からこそ、「なんで予備校講師のおまえが橋本環奈と?」となったわけです。一般化すると、

「わかる」というのは、頭の中の「型」(ここではイメージ)にはまると、わかる状態が起こるのです。

「型」の代表は、「抽象→具体」

では、今回の話の肝をお伝えします。

英語の「型」の代表は、「抽象→具体」という流れです。具体的に言うと、英語では、「最初に〈結論〉、〈主張〉、〈イイタイコト〉を持ってきて、その後に〈説明〉や〈理由〉を述べる」、と言えます。

もちろん時にはこれに当てはまらないものもありますが、基本的に新聞記事や論文ではこの構造だと言っても間違いありません。

それならば、英文を理解する手順として、

「英語は『抽象→具体』構造で話が展開されるものだ」という「型」を頭の中にあらかじめ作っておく。

②そこに読み取った情報を流し込んでいく。すなわち、英文を読むときは読んでいる内容が抽象部分なのか、具体部分なのかを能動的に予測しながら区別・把握しながら読む

こうすることで全体像は見えてくると考えます。ぜひ、体験してみてください。

頭の働かせ方と予測の仕方を確認してみよう

では、先ほどの文章で頭の動かし方と予測の仕方を確認してみましょう。

¶1 まずは抽象(=〈主張〉)が来るはず! 

Researchers in Japan have provided more evidence supporting the theory / that all life on Earth could have sprung from bacteria that landed on the planet from outer space.

日本の研究者たちが提供したのはその理論を裏付けるさらなる証拠であり、その理論とは地球上のすべての生物は宇宙から来たバクテリアから生じたものかもしれないというものだった。

¶2 この後は具体のはず!¶1の内容は頭の中にkeep!

The evidence comes from an experiment that ~
その証拠は~の実験によるものである。

=¶1の裏付け。

¶3 次は何だろう?

The researchers placed bacteria samples in ~
研究者たちはバクテリアのサンプルを~に置いた。

=¶2の実験をしたんだな。

¶4 この次は?

The researchers said that ~
その研究者たちが言った

=¶3の結果を踏まえて研究者たちが何か言ったんだな。

¶5 で、次は?

If so, ~
もしそうならば、~

=¶4から導くことができる推論や結論だな。

このように抽象部分(主張)部分を頭にkeepしておきながらも積極的に頭を働かせ、パラグラフごとに「要は何か?」をつかみながら読んでいけば、論旨を見失いにくくなるのではないでしょうか。言い換えれば、抽象(主張)部分はゆっくり丁寧に力を入れて読み、具体部分は軽めにサラッと力を抜いて読む。早い話、読み方に強弱を付けるということです。

従って、英文を読んでいるときの自分の立ち位置を把握する力、すなわち今自分はどの部分を読んでいるのかと自分を客観視する力が必要になりますし、故にこそretention(記憶保持能力)も必要になります。ですが、これは日々意識すれば鍛えられる力なので問題ありません。

また、短期記憶として頭に留めておくことができる容量には限りがありますので、完璧を目指さないでください。これは実は大切なポイントなので、覚えておきましょう。この点については後の回で触れます。

まとめ

・「わかる」とは「型」にはまること
・「型」の基本は、抽象→具体である
・読むときは強弱を付ける 

すべてお話しできなくて申し訳ないのですが、残念ながら今回はここまでです。なお、今回読んだ英文記事の後半部分は、次回にリーディングの推測素材として紹介します。見出しや訳例も次回掲載しますね。

次回は、動詞の過去形やそのほかの言葉にも触れながら、英文予測をもっとリアルに紹介します。これを知っておけば力を抜いていいところが明確にわかりますので、英文全体の構造がもっとくっきり見えてきますよ!

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

※英文の出典:VOA News August 26, 2020 04:15 PM

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神坂明生海(かみさかあきおみ)福岡県生まれ。駿台予備学校英語科講師。全国通訳案内士。高校まではほぼ勉強せず、日本語もままならなかったが、浪人時代に小畑徳正先生、副島隆彦先生と出会い、本格的に勉強を始める。その後、認知言語学的なアプローチから英語を捉え、現在に至る。駿台の長文の授業では、普段私たちが意識しない「予測する力」を活用した授業を展開中。座右の銘は「ABCを忘れない(A:当たり前のことを、B:バカにせず、C:ちゃんとやる)」。