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英文の主張部分が立体的に飛び出してくる頭の働かせ方

英文の主張部分が立体的に飛び出してくる頭の働かせ方

駿台予備学校英語科の大人気講師、神坂明生海(かみさかあきおみ)さんが、脳内に映像のようなイメージを作りながら読む独自のメソッドを使って、英文がどんどん頭に入ってくる読み方を教えます。連載「神坂流!英文読解術」5回目は、英文の主張部分が立体的に飛び出してくる感覚についてです。

英文を「3次元の立体」で捉える読み方とは

皆さん、こんにちは。駿台予備学校英語科講師の神坂明生海です。

今回もお読みくださり、ありがとうございます。

前回は、a(不定冠詞)やthe(定冠詞)、所有格に注目して具体部分を「ふわっと」流して読む方法を紹介しました。

今回は、2次元の平面上で表現された英文を、3次元の立体で捉えてみましょう。

英文を「3次元の立体で捉える」!?

読者の皆さんはそのようにお思いになられたかもしれませんが、かく言う自分も実は初めてこれに類することを耳にしたとき、同様の思いでした。今回はそれに関連する2つのエピソードからスタートします。

英文が「ぶわっと」飛び出す感覚をつかもう

以前、現代文講師であるA師とお酒を飲む機会がありました。彼女は言語感覚に優れ、話をしていても淀みなく、すっきりとした論理で話のできる方でした。

その彼女にこんな質問をぶつけてみました。

「A先生は普段現代文を読むとき、筆者の主張がどのように見えているのですか?」

それに対する彼女の答えは、以下の通りでした。

主張の部分が立体的に浮き出て見えるんですよ。主張が述べられている文がそのまま紙面からぶわっと飛び出してくるみたいに

「???」

僕は彼女の言っていることが理解できませんでしたし、その後もしばらくの間理解できませんでした。

しかし、その表現のインパクトは絶大で、僕が英語の長文を読み、筆者の主張をつかむたびに、「A先生はこの部分(主張部分)が飛び出して見えるんだよなぁ・・・。うらやましいなぁ・・・」と何カ月も独り言を言っていたものです。

そしてある日、いつものように英文を読み、筆者の主張部分を感じ取った瞬間、その部分が「ぶわっと」飛び出して見えたのです。それはまるで、テレビの天気予報で見る日本地図上の主要各都市の月間降水量を表す棒グラフが、立体的に飛び出してきたかのようでした。「A先生が言っていたのは、このことか!」そのとき、初めて合点がいきました。そしてその部分をretention(記憶保持)し、具体部分を重ねるように読むと、内容が一読して理解できたのです。

このエピソードや感覚を、昨年駿台予備学校の授業で紹介したところ、とある超難関大学に合格した生徒は、「各段落の1文目の主張部分は太字に見えるような感覚はあったし、強調されているように受け取れていた」と受験後に報告してくれました。

程度の差こそあれ、彼女たち2人に共通していたことは、「主張(抽象)部分を感じ取ったときに、その部分がぶわっと立体的になったり、太字で強調されたりしており、それがretention(記憶保持)のきっかけとして脳に働きかけられ、結果的にそれ以降を具体部分としてさらっと(ふわっと)読み流していた」と言えそうです。実際、受験生だったその生徒に英語の試験の感想を尋ねると、「本番では英語長文の具体部分はさらっと読めた」と言っていましたし、その読み方を現在では和書を読む際にも活かしているようです。

もちろん、すべての英文にこれが当てはまるとは言いませんが、少なくとも英字新聞などをさっと読んで内容をつかまなければならないときには、ある程度有効なのではないかと考えます。

「ぶわっと」立体的に読み、「ふわっと」軽く読む

それでは、先ほど紹介したように、英文の主張(抽象)部分はぶわっと立体的に飛び出してきているイメージでretentionし、具体部分はふわっと軽く流して読んでみましょう。具体部分は無理して覚える必要はありません。これらを意識して以下の英文を読んでみてください。英文の書き出しは、当然、主張部分ですよ!

¶1 The decline and disappearance of bees, wild insects and other pollinators would have devastating consequences for mankind and the global food supply, the U.N. warned Monday.

¶2 “Bees support a staggering 170,000 species of plants that sustain over 200,000 animal species,” General Assembly President Maria Fernanda Espinosa said on World Bee Day Monday. “They are responsible for roughly one-third of all food produced” 一一 including tomatoes, coffee, apples, almonds, cocoa and plants that can be used in medicines.

¶3 The U.N. Food and Agricultural Organization says pollinators, including bees, are disappearing globally primarily because of human activity, including global warming, habitat loss and too many pesticides.

¶4 Other pollinators whose populations are threatened include butterflies, hummingbirds, bats and monkeys, who pick up pollen from self-pollinating plants as the primates move through trees and the bush.

¶5 “Urgent and wide-ranging efforts are needed to protect bees across wild, agricultural and urban habitats,” Deputy Secretary-General Amina Mohammed said.

¶6 Experts say promoting bee habitats is key. They recommend people plant a variety of bee-friendly flowers and place a hollow log or tree trunk on their property, calling it an ideal shelter for pollinating insects.

いかがでしたか?それでは次に頭の働かせ方を述べていきます。参考にしていただければ幸いです。

主張部分が立体的に飛び出してくる頭の働かせ方

¶1 【まずは抽象(主張)部分が来るはず!】

The decline and disappearance of bees, wild insects and other pollinators would have devastating consequences for mankind and the global food supply, the U.N. warned Monday.

もしミツバチや昆虫、ほかの受粉媒介者が減少したり姿を消そうものなら、人間や世界の食料供給に壊滅的な打撃を与えるだろうと、国連は月曜日に警告した。

=第1文なので、この英文が「ぶわっと」立体的に飛び出してきているイメージを持ってretention

¶2 【次は具体のはず!】

“Bees support~” ― including tomatoes, ...

「ミツバチたちが支えているのは~」、それにはトマトや・・・が含まれる。

=発言内容(=ミツバチの役割)

=¶1の具体=ふわっと流して読む

¶3 

The U.N. Food and Agricultural Organization(固有名詞!)says ~

国連食糧農業機関によると~

=FAOによる発表

=具体=ふわっと流して読む

¶4 

Other pollinators whose populations are(現在形!)threatened include(現在形!)butterflies,~

個体数が脅かされているほかの受粉媒介者には、トンボや~

=受粉の仕組みについての言及だと判断できればよい(無理して覚える必要なし)

=ふわっと流して読む

¶5 

“Urgent and wide-ranging efforts are needed~” ... said.
「~緊急かつ広範囲にわたる努力が必要である」と語るのは・・・

=発言内容+固有名詞(=努力の必要性への言及)

=ふわっと流して読む

¶6 

Experts say promoting bee habitats is key. They recommend

専門家が言うには、ミツバチの生息地を広げることがカギであるという。彼らが勧めるのは~

=¶5(緊急かつ広範囲にわたる努力の必要性)の具体

=ふわっと流して読む

記事を要約してみよう

さて、それでは問題です。この記事のタイトルはどのようなものだと思いますか?

すぐ下に答えがありますが、retentionができているかどうかも含めて、考えてみてください。

答えは、

国連 ミツバチや昆虫の減少 世界の食料供給に打撃

でした。

私たちの短期記憶できるチャンクは「4±1」。ぶわっと立体的に飛び出してきた部分をretentionすると、その後に出てくる情報をさらに積み重ねていくことはそれなりに難しいことがおわかりいただけたと思います。

しかし、それは脳科学的に見ると極めて当然のことですから気にすることはありませんし、むしろ、そのようなものとして割り切って、本当に必要な情報だけを立体的に頭に残す訓練を続けてみてくださいもっと長い文章を読む際に、ぶわっと飛び出してきた部分は主張部分として、それ以外の部分がふわっと読むべき具体の部分として読めるようになると、文章に凹凸が見えてくるようになり、結果として全体で何を言っていたのかを把握しやすくなります

今回は以上です。

次回は最終回です。これまでの知識を総動員して「一読でわかる」を目指しましょう。

お時間のある方は、ぜひとも第1~4回までの記事の英文を、これまでの学習事項を踏まえながら読んでみてください。「抽象→具体構造」、「過去形、数字、固有名詞」、「冠詞、所有格」など、これまでにお伝えしてきたことが、実は何度も使われていたことがおわかりになると思います。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

まとめ

主張(抽象)部分は「ぶわっと」立体的に飛び出してきているかのように捉える

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

※英文の出典:By VOA News May 20, 2019 11:58 PM

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神坂明生海(かみさかあきおみ)福岡県生まれ。駿台予備学校英語科講師。全国通訳案内士。高校まではほぼ勉強せず、日本語もままならなかったが、浪人時代に小畑徳正先生、副島隆彦先生と出会い、本格的に勉強を始める。その後、認知言語学的なアプローチから英語を捉え、現在に至る。駿台の長文の授業では、普段私たちが意識しない「予測する力」を活用した授業を展開中。座右の銘は「ABCを忘れない(A:当たり前のことを、B:バカにせず、C:ちゃんとやる)」。