mustとhave toは「~しなくてはいけない」。何が違う?【1回読んだら忘れない中学英語】

英語を教えて早30年、癒やし系でいながら熱い指導が人気の久保聖一先生による英文法講義です。学校の授業とは全く違うアプローチで話題を呼んでいる 『1回読んだら忘れない中学英語』 (KADOKAWA)のエッセンスをぎゅっと詰め込んだ連載。いよいよ最終回です!

mustと have to は全然違う?

mustと have to は同じ意味。そう覚えている方はいませんか? 実はこれらの意味は違い、ネイティブはちゃんと使い分けているのです。今回は、皆さんがネイティブの感覚を身に付けられるように解説していきましょう。

まずは下の絵をご覧ください。男性がやる気満々でテニスをしていますね。

次に、下のイラストを見てみましょう。何だかだるそうな様子。やる気のないテニス部員といった感じです。

実は、上の2つのイラストは、それぞれ次の英文で表現できます。

I must practice tennis today.
なんとしたって、私は今日テニスの練習をしなくてはいけない。

I have to practice tennis today.
私は今日テニスの練習をしなくてはいけない。

mustと have to、教科書には同じと書いてあったはずなのに・・・実際はこんなに違うのはなぜでしょうか。詳しく見ていきましょう。

mustはやる気十分、 have to はイヤイヤ

mustといえば、「あの元テニスプレーヤーのような熱血キャラクター」とご紹介していました(第4回の記事を参照)。

・must=熱血キャラ
・口癖は「なんとしたって!」

【mustの主な意味】
①「気持ち」(なんとしたって)~しなければならない。
②「可能性」(なんとしたって)~に違いない。(95パーセントの確信度)

そんな熱いmustがテニスをするのだから、もちろんダラダラ適当にするなんてことはありません! 「何百本でも壁打ちをしてやる!」くらいの意気込みで臨むのです。

つまり“I must play tennis today.”からは、自分の内からこみ上げてくる思いがあって練習したい「なんとしても!」という気持ちが感じられます。

一方で、 have to のニュアンスは、自分の意志というよりも、外部から影響があるなど、「状況的にやらなくては」というもの。この場合は、テニス部に所属しているけれどやる気がゼロで、顧問の先生に怒られてイヤイヤ練習を始めましたといったイメージです。

willは個人の感覚、be going to は確かな証拠

続けて、同じく区別がつきにくいwillとbe going to の違いにも迫りましょう。

You will get better soon!
You are going to get better soon!

上の2つの文は、日本語にするとどちらも「すぐに良くなるよ!」です。しかし実は、ニュアンスが大きく異なります。

下のイラストを見てください。“You will get better soon!”と言っているのは、ネコの飼い主です。彼は獣医ではありませんし、実際のところ、「本当にネコが回復するのか」分かっていません。しかし、彼には「きっと助かる! 助かってほしい!」という強い思いがあって、励ましの意味を込めて発言しています。

それに対して、“You are going to get better soon!”と言っているのは獣医さんです。これは「このネコは足を2カ所も骨折しているけど、2週間入院して、あとはリハビリを頑張れば治るな」などと獣医の目で判断して「治る確かな根拠」をもとに発言しています。

つまり、willは主観的(話し手独自の判断)、be going to は客観的と言えます。

助動詞の3大言い換え表現

① must = have to
② will = be going to
③ can = be able to

私はイコールの右にあるフレーズ(have to、be going to、be able to)を「助動詞もどき」と命名しています。

中学校では完全に「イコール」で教えられることの多い「助動詞もどき」ですが、ここまで説明したように実はニュアンスがだいぶ異なります。

「助動詞」は「話し手の内にある主観的な思い」を伝える。他方「助動詞もどき」は、客観的で外的な状況を伝える 。そう考えると頭の中が一気に整理されるはずです(canとbe able toの違いは前回の記事を参照)。

1回読んだら忘れない中学英語』では、他にもこういった表現について、とにかく易しい解説とイラストで解説しています。興味のある方は是非本書で学んでください。では、全6回の連載を読んでいただきありがとうございました! またどこかでお会いしましょう。


オススメの本

『1回読んだら忘れない中学英語』

1回読んだら忘れない中学英語
久保 聖一 (著) / KADOKAWA刊

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「150点以上のイラスト&その道30年個性派講師による易しい解説」で老若男女、誰でも理解できる1冊です。

★I’llとI’m going to、canとbe able toなど、学校で「同じ」と習ったものは、実は全然意味が違う!?
★mustは「熱血キャラ」で、mayは「上から目線で優柔不断!」
学校では教わらなかった、ネットでも英会話学校でも教えてくれない久保先生だけの情報が満載です!

久保聖一(くぼ せいいち)
久保聖一(くぼ せいいち)

筑波大学人文学類言語学科卒業。塾経営を通じて、また予備校や塾の講師として、30年以上にわたり英語教育に携わる。「ABC…のアルファベットは読めるけれど、makeなど英単語は発音できない」レベルの生徒を1年後には偏差値60の大学に合格させるなど、これまで多くの英語嫌いを英語好きに変えてきた。著書に『1回読んだら忘れない中学英語』(KADOKAWA)、『英語感覚が理屈でわかる英文法』(ベレ出版)、『中学3年間の英単語がイラストで覚えられる本』(KADOKAWA)などがある。

・記事構成:余田志保(つばめパブリッシング)
・イラスト:田島ミノリ
・作成:2019年10月30日、更新:2025年9月26日


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