英語によるミュージカルと音楽と教育ワークショップに 取り組む 非営利団体「ヤングアメリカンズ」。そのヤングアメリカンズのキャストとして世界で活躍している日本人や、ヤングアメリカンズのキャストを経て、人生を切り開いた人によるリレーコラムをお届けしています。第5回は、これまでアメリカやヨーロッパ、日本の東北地方を中心に7つのツアー参加したという、上野愛美(うえのあいみ)さんです。
こんにちは。上野愛美です。2013年に入団してから、日本やアメリカ、ヨーロッパでたくさんのワークショップを行いました。2011年に被災した東北地方の子どもたちとのワークショップについてご紹介します。
目次
分からないことは、あきらめずに質問攻めにしよう!
もともと英語は好きで小さい頃から習っていたのですが、英語が自由に話せるようになったと実感したのは、ヤングアメリカンズに入団してすぐの頃。カリフォルニアで受けた10カ月のトレーニング期間だったと思います。
一緒にトレーニングを受けているアメリカ人とイギリス人とルームシェアをしました。はじめは、イギリス人キャストの発音が聞きなれなくて焦りました。でも、 どうしても会話がしたいから、自分が分からないことは質問攻めにしました。
そんな私の質問に、彼女たちが優しく応じてくれたおかげで、英語力が著しく上がったと思っています。5年経った今も彼女たちとは大親友です。
「あなたが話したことをちゃんと理解したい」「あなたの話すことにとても関心があるの」という気持ちは、この質問攻めにするという行動でしっかりと伝わったのだと思います。逆に、分かったふりをしていたら、自分には興味がないのだろうと思われていたかもしれませんね。
通訳は、話し手の声のトーンや思いの強さまで伝えたい
外国人のキャストと過ごす時間が長くなると、日本語で考えることがだんだんなくなってきます。話すことも考えることもほとんどが英語になっていることを実感して、大変うれしく思いました。
ツアー中に、ワークショップに参加した子どもたちと、ヤングアメリカンズのキャストの 通訳をたくさんしたことも、英語力が大きく伸びた理由の1つです。
一方で、日本公演では通訳を担当する際に、とっさに日本語が出てこないこともあって困りました。外国人キャストが日本の子どもたちに伝えたいメッセージを、瞬時に日本語に通訳ことに慣れるまでは少し時間がかかりました。
ワークショップで日本の子どもたちの発言を通訳するときは、彼らの思いをいかにそのまま伝えるか、声のトーンやエネルギーをどうやったら通訳できるかを第一に考えていました。
例えば、「ライオンキング」や、子どもたちが自由に振り付けをする「リリカルダンス」という踊りでは、メドレーに込められたメッセージを日本語で子どもたちに伝えたり、子どもたちが踊っているときに感じたことを聞いて、ヤングアメリカンズのキャストに英語で通訳します。子どもたちの感想で印象に残った言葉を紹介します。
You showed me it is okay to be yourself.(ほかの誰かを演じるんじゃなくて)自分自身でいればいいってことを教えてもらいました。
I want to show the audience what I’ve got.
学んだことをお客さんに見てもらいたいです。
You taught me that it is okay to make mistakes, and the most important thing is to try everything and believe in yourself.
間違えたっていい、一番大事なことは何でもやってみることと自分を信じることだって教えてもらいました。
被災地の子どもたちを応援する東北プロジェクト
日本公演では、2011年3月11日に被災した東北の地域の子どもたちを応援する東北プロジェクトのワークショップがあります。東北プロジェクトは2011年から2016年までの6年間で9回行い、延べ約3万人の保護者、教員、子どもたちとワークショップに参加していただきました。
中学生と一緒に作った「家族」の歌
東北ツアーでは、ワークショップに参加したくないと言って、客席でワークショップを見学していた中学生がいました。私は彼に少しでも楽しんでもらいたくて、その方法を探っていました。
「今日、何か1つだけやり遂げたという気持ちで帰ってほしい!」という私の思いを伝え、メモ帳とペンを用意して、彼の好きな食べ物や趣味を聞き始めたとき、 「好きなものについて歌を作るのはどうだろう?」 と思いつきました。最終的に、 家族について英語で歌を作ろう! と提案し、ほかのヤングアメリカンズには、英語のチェックと作曲を手伝ってもらい、歌を完成させました。
これが、彼と一緒に作った歌です。
I’m happy to be a part of my family.徐々に心を開いてくれた彼は、ワークショップにもショーの本番にもステージ上に姿を見せてくれました。私はこの家族の一員でいられることが幸せです。
They make my heart warm and they are fun.
彼らはとても楽しくて、私の心を温めてくれます。
They give me hope , I’ll be their light.
彼らは私に 希望 をくれる、私は彼らの光になる。
ほかの受講生が帰った後、お母さんとヤングアメリカンズのキャストに観客になってもらい、彼のワンマンショーで「家族の歌」を披露しました。歌い終えたときの彼の笑顔は一生忘れられません。
日本人でよかった!と思えたこと
ヨーロッパやアメリカのツアー中には日本の文化について話す機会がありました。そんなとき、自分が日本人であることに誇りを感じました。また、日本人である私にホストファミリーがしてくれた配慮の気持ちがうれしかった体験をリストにしてみました。
- ポーランドのホストファミリーとお別れをする朝、ホームステイ先のお父さんが、筆で書いた日本語の手紙をテーブルの上に置いてくれたのを見つけたとき。
- アメリカでは、ホストファミリーが「アメリカの食べ物ばかり食べてるでしょう、日本だったら何食べるの?」とお寿司を食べに連れて行ってくれたとき。
- 一生懸命日本語や日本の文化を知ろうとしてくれるとき。
- 日本公演では、日本人だからこそ理解できる日本の子どもの気持ちをヤングアメリカンズのみんなに通訳して共有できたとき。
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gotcha.alc.co.jp gotcha.alc.co.jp gotcha.alc.co.jp文:上野愛美
2013年にヤングアメリカンズに入団し、2017年までにヨーロッパ各国、アメリカ、東北地方を中心に 日本を周る7つのツアーを経験。
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