同時通訳者の横山カズ先生が、英語スピーキングの大人気講師としても活躍する中で、実際に役に立った「無限のスピーキング力上達法」を教えます。第8回は、英語で「話し切った!」 という実感を得るための方法を紹介します。
皆さん、こんにちは。同時通訳者の横山カズです。
前回まで は英語スピーキングの瞬発力を得るためのテクニックや、自分のタイミングで会話に切り込んでいく 「返し技」 についてお伝えしてきましたが、今回は、まるでネイティブスピーカーのように話し切ることができるための「4つの型」を紹介します。
どんな状況でも使える4つの「型」を使いこなそう
「結論を 先に 言いなさい!」
「英語は論理を大事にして組み立てるんだ!」
という意見をよく耳にすると思います。しかし、そんなことを言われても、現実の会話や議論ではなかなかそうもいかないことが多いですよね。
でも 安心 してください! この記事で、「結論を 先に 言い」「論理的に話す」ことを実現する 、少し荒ワザとも言えるテクニックを紹介します。
音読練習して「型」を覚えると、一部の単語を入れ替えるだけで、さらに使える表現が増えていきます。英語のスピーキング試験にも効果が高いので、ぜひ試してみてください!
まるでネイティブのように「話し切る」ための型4つとその流れ
4つの型とは、まず、相手の話題に 型1 「取りあえず返す」 、次に、「自分の意見は~」と切り出すと 型2 「 意見」 、そして何げなく 型3 「雑感」 を追加する、最後に魔法の動詞 improve を使って内容をポジティブな方向に持っていく 型4 「ポジティブ化」 。この流れを念頭に、音読して4つの型を自分の表現として使えるようにしていきましょう。
型1「取りあえず返す」:ネイティブが言う That’s a good question.
相手が話してきた内容にまずは応じなければなりません。ネイティブがよく使う割には日本人に使われていないのが That’s a good question. という表現です。
考えてみれば、「いい質問ですね!」なんて言う必要はないはずなんです。使っている理由はズバリ「時間を稼ぎながら、余裕を見せる」ためなのですね。
この表現を躊躇(ちゅうちょ)なく言えるようになると、相手には「英語を話し慣れているなあ」という印象を持ってもらうことができます。
前回ご紹介した 「,(カンマ)which 」 を使って、文をつないでみましょう。
That’s a good question ( , which actually has never crossed my mind!)いい質問ですね・・・考えたこともなかったです!
型2「意見」:意見を強調するのに威力を発揮する What I think is that ~.
出だしは、 6回目の記事 でも紹介した、意見を強調するのに威力を発揮する 関係詞 what を使います 。 What I think ~. で始める と、リズム感もあって間を取りやすいのです。「that 節」でつなぐので、言いたい英文をそのまま追加するだけでOK!まず、 「結論を 先に 言う」は、この表現でクリア できます!
それでは、以下のような感じでスムーズに発話開始です!
What I always think is that no effort should go unrecognized.私が常々思っているのは、あらゆる努力が見過ごされてはならないということなんです。
What I think is important is that labels are the enemy.私が大事だと思うのは、肩書(にこだわること)が(最大の)問題だということです。
型3「雑感」:「何げなく」雑感を追加!
次に、何げなく、こちらが感じ思っている内容を追加して伝えましょう。力まずに「さらっ」と言うのに便利な表現を挙げます。
... and, to my eyes, it seems that we need to do something about it.そして、私の目には何らかの対策をする必要があるように見えるんです。
... but it’s not that I’m saying the whole idea is inappropriate.だからといってこの考え自体が不適切というわけではないんです。
... so , it’s just that we need to fine -tune it.ただ、それを微調整する必要があるというだけなんです。
improve を使って、会話を手軽にポジティブ化!">型4「ポジティブ化」:魔法の動詞 improve を使って、会話を手軽にポジティブ化!
動詞 improve ひとつで、話している内容を強引にポジティブ化できるんです。次の組み合わせを知っておけば、さまざまな場合に対応できるようになります。英語のスピーキング試験における荒ワザの一つでもあります。
... for us to improve the situation ,当方・当社が状況を 改善 するためにはですね、
... for us to improve our performance ,当方・当社がパフォーマンスを向上させるためにはですね、
主張 してみましょう">4つの「型」をつなげて、気持ちよく意見を 主張 してみましょう
「取りあえず返す」から「ポジティブ化」までの一連の例を音読してみましょう。
会話例
上司にいきなり意見を求められた場面を想像しながら、音読してみましょう。「型」を使えば、日常会話の話題で言葉を入れ替えて言うことができます。ぜひチャレンジしてみてください。
相手: As you probably know, it seems that we should do something about the lowering motivation and performance in our department. What do you think we should do?相手:分かっていると思いますが、当部署のモチベーションとパフォーマンスの低下への対策をした方が良いようですね。どうしたらいいと思いますか?自分:【型1:取りあえず返す】 That’s a good question , which has never crossed my mind. Well , 【型2:意見】 what I always think is that no effort should go unrecognized, 【型3:雑感】 and to my eyes, it seems that little attention is paid to what each of us achieves.【型3:雑感】 It’s not that it’s done intentionally,【型3:雑感】 but it’s just that we can’t even afford the time and energy to do so .
So ,【型4:ポジティブ化】 for us to improve the situation , I believe we should streamline our workflow and make time to do something to boost our motivation and performance .
自分:【型1:取りあえず返す】いい質問ですね、考えたこともなかったです!そうですね、【型2:意見】常々思っているのはあらゆる努力が認められるべきだということなんです。【型3:雑感】そして私の目には私たち一人ひとりの達成していることがほとんど認識されていないように見受けられます。【型3:雑感】意図的にそうされているということではないのです。【型3:雑感】しかし、ただそのようなことができるような時間と気力の余裕がないのです。ですから、【型4:ポジティブ化】状況の 改善 を図るには、モチベーションとパフォーマンスの向上のために何らかの手を打つ時間をつくるべく、ワークフローの 効率化 をするべきだと思っております。
引用元:『 英語4技能 スピーキング試験 “完全攻略” ストラテジー 』
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編集:増尾美恵子文:横山カズ @KAZ_TheNatural
関西外国語大学 外国語学部スペイン語学科卒。同時通訳者(JAL)、翻訳家、武蔵野学院大学 国際コミュニケーション学部 実務家教員、英語講師。エスコラピオス学園 海星中・高等学校英語科特別顧問。学びエイド、リクルート・スタディサプリENGLISH講師。英語を日本国内で独学し、航空・IT・医療・環境・機械・国際関係・文学など多分野で同時通訳者として活躍中。JAL(日本航空)グループ、楽天株式会社では英語力向上と社内公用語化に貢献。英語4技能・英語スピーキングのエキスパートとして日本全国で授業と講演を行っている。発音検定EPT100(満点・指導者レベル)ICEE(国際英語コミュニケーション検定)2回優勝、英検1級。著書多数。ジパングマネジメント株式会社・文化人枠 所属 。
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