「パパ、ママ、教えて!」お子さんが英語に関する素朴な疑問を持ったとき、あなたは教えてあげることができますか。昔、習ったはずの英文法、その内容を「子どもにも説明しやすいようにわかりやすく」大竹先生と一緒に復習します。今回は英語の「動詞」を取り上げます。
動詞ってなんだっけ?
起きる、食べる、歩く、話す・・・。朝起きてからの自分の行動を思い返してみると、たくさんの「動き」をしていることに気が付きます。このような「動き」を表す語を「動詞」というのでした。ところが、動詞はいつも活発に動いている状態ばかりとは限りません。ソファで横になってぼーっとするのも動詞なら、頭の中で考え事をするのも動詞です。
動詞は姿を変えるのが得意です。一般動詞のgoはgo、went、goneと3種類の姿を持っていますし、be動詞にいたってはis、am、are、was、were、been、beと実に多様です。このように姿を変えていくことで、現在や過去の出来事を伝えることができるのです。
主語が「I」なら、be動詞はいつも「am」なの?
みなさんはbe動詞(is、am、areなど)を覚えていますか。前後が「=(イコール)」であることを伝えられるので、例えばI am a teacher.なら、「私は先生だよ(私=先生)。」という意味になるのでした。
どんなに英語が苦手でもis、am、areの使い分けくらいは覚えているという人は結構いるのではないでしょうか。英語を学び始めた頃、「I am、You are、He is ~」と呪文のように活用形を唱えた記憶がよみがえってきませんか。be動詞は主語に合わせてam、is、areなど形を変えていくのが特徴でしたね。
主語が「I」なら、be動詞はいつも「am」なの?
おそらく、ほとんどの人は自信を持って「そうだよ」と答えるはずです。しかし、その答え方ではどうしても説明がつかないやっかいなことが起こるときもあります。次の英文の意味を考えてみましょう。
I にはamを使うのだとさんざん言われてきたのに、以下の文ではなぜかisが使われています。もちろん、英文が間違っているわけではありません。この文の意味を考えてみましょう。
I is ninth.
【答え】「I は9番目」という意味です。 アルファベットの9番目の文字は I ですよね。
主語が「私」という意味でIを使っているなら、be動詞はamになります。しかし、Iが「私」以外の意味を表しているときはisを使います。言われてみると当たり前のことのように感じますが、これはとても大切なことです。
これを覚えておけば、もう次の文法問題を見ても、答えはひとつではないと自信を持って言えるはずです。
次の( )に入るbe動詞はis、am、areのうちどれでしょうか。
You ( ) nice.
【答え】普通に考えれば、正解はareす。しかし、少しひねくれて考えてみれば、isだって入ってしまいます。You is nice.のYouは「あなた」ではなく、「ユーさん」や「ヨウさん」のことかもしれないからです。
先ほどのお子さんの質問に答えるなら、こんな感じでしょうか。
主語の意味を考えてごらん。Iが「私」という意味なら、amが正解。でも、Iがいつでも「私」だとは限らないんだよ。
英文法は結構自由 なのです。英文の正しさばかりにこだわっていると、こういう面白さを見逃してしまうことになるかもしれませんね。
英語は絶対にSVの順番なの?
みなさんは「文型」を習ったことがありますか。SやVといった記号を振りながら英語を読んだり書いたりしたことがあるなら、まさにそれが「文型」です。Sは「主語」で、Vは「動詞」というように、各語が文の中でどのような役割を持っているかを見つける練習でした。
英語は「主語 → 動詞 → その他」の順番で語を並べるのが基本です。そのため、「私はペンを持っている」は、日本語と同じI a pen have.という順番ではなく、I have a pen.となるのでした。
英語は絶対にSVから始まるの?
英語の基本文型は全部で5つです。ここでは、全てを細かく復習はしませんが、どの文型もSVで始まることはなんとなく覚えていませんか。これを知ると、お子さんは先ほどのような疑問を持つかもしれません。「まったくその通りだよ」とすぐに言いたくなるところですが、少し落ち着いて例外がないか考えてみましょう。
次の①、②のどちらの文も動詞で始まっています。一体、どんなことを伝えているのでしょうか。
① Are you OK?
② Close the door, please.
【答え】①は「大丈夫?」という意味の疑問文です。②は「ドアを閉めてください」と相手にお願いをする命令文になっています。
英語はSVの語順が基本ですが、その順番をあえて変えることで、「疑問」を表したり、「命令」であることを伝えたりすることができます。
疑問文や命令文だけが例外ではありません。The bus comes here.だと「そのバスはここに来ます」という意味ですが、語順をあえて入れ替えることで Here comes the bus!で「バスが来たよ!」と驚きや興奮を伝えることもあるのです。
お子さんからの質問には、こんなふうに答えるとよいかもしれません。
基本はSVなんだけど、単語の順番を変えてみると「疑問」とか「命令」とか、もっと色んな意味を伝えることができるよ。
日本語と比べるとなんだか不自由に感じてしまうこともありますが、語順の違いを楽しむ気持ちが大切なのかもしれません。サッカーをしているとき、「バスケでは手を使えるのに」と不満を言っても仕方ないのと同じです。英語と日本語は別の言語なのですから。
動詞クイズに挑戦!
今回はイギリス料理を使って、be動詞の形を確認しましょう。
Q.
イギリスの代表料理 fish and chips の美味しさを伝えるとき、be動詞はis、am、areのどれを使えばいいでしょうか。
下の空所にあてはまるものを考えましょう。
Fish and chips ( ) so delicious!
【答え】is
fish and chips は最後に s が付いているので「複数形」だと思ってしまいますが、1つの料理の名前です。主語の見た目にだまされないことが大切です。
まとめ
いかがでしたか。今回は「動詞」について少しだけおさらいをしました。動詞の形や語順の変化は決して機械的なものではなく、「伝えたい意味」によって変わっていることがわかります。動詞の活用形を覚えていくのは大変なことですが、苦労した分だけ自分が伝えられることは増えていきます。そう考えれば、前向きに取り組めそうですね。
トップ写真:Kelly Sikkema from Unsplash
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