イギリスでブームの予感!日本の「okashi」が海外で大人気になる理由【世界のニホンゴ調査団】

「世界のニホンゴ調査団」の第27回は、イギリス在住のライター、ボッティング大田 朋子さんがリポート。今回のテーマは「okashi」、日本のお菓子が世界的に認知されている現象に焦点を当てます。なぜこの言葉が認知されるようになったのでしょうか。sweets(お菓子)やsnacks(スナック)との違いは?

bentoやtofuなどに続く次世代のニホンゴ?

「katana」や「sake」「shogun」のような“元祖・海外でそのまま通じる日本語”に続いて、海外でそのまま使える日本語はますます増えていますよね。特に世界各国で日本食ブームが続いていることを受けて、「bento」「tofu」「yuzu」といった食に関する日本語ワードが世界中に広がっています。

そんな「海外でそのまま通じる日本語リスト」に加わりそうというか、この数年海外で耳にする機会が増えた日本語に「okashi」があります。今までは「Japanese sweets」と表記されていたのが、最近では「Japanese okashi」や「Japan okashi」と表記されるようになってきているんです。

日本のお菓子が普通のスーパーで手に入る

普通のスーパーの「アジアセクション」に並ぶ日本のお菓子類。

「okashi」という日本語が海外で浸透してきた理由に、日本のお菓子が現地のスーパーで身近に手に入るようになっていることが挙げられます。例えば、昨今のイギリスでは日本食材店やアジア食材店に行かなくても、普通のスーパーで「ハローパンダ」や「ポテチ」といった日本のお菓子を買うことができるんです。

大手スーパーの「アジアコレクション」の棚には、しょうゆやみりん、すしライス、うどん、のりなどと一緒に、ポッキーなどのチョコ菓子やバーベキューソース味のポテトチップス、テリヤキ味のスナックといった日本のお菓子が並んでいます。

不動の人気「ハローパンダ」、日本では売っていないので逆に興味が沸くお菓子です。
ポテトチップス大国のイギリスでも日本のポテチは大人気。ちなみにポテトチップスはイギリス英語では「crisps」。
せんべい類も人気です。米菓独特の食感やしょうゆ味がウケています。

2020年TikTokでトレンドになったことがきっかけで爆発的に売れた「Little Moons」というブランドの「もちアイスクリーム」も相変わらずすごい人気で、普通のスーパーで買うことができます。

6個入り5英ポンド(約926円)と値段は張りますが、「もちアイスクリーム」の人気は相変わらず。

ちなみに「okashi」の英語での定義を調べると、次のように出てきます。

Okashi is the Japanese word for confectionery, snacks. Dagashi and wagashi are all a type of okashi (snacks, candies, sweets).

おかしは、菓子、スナックを意味する日本語です。 駄菓子と和菓子はすべておかし(スナック、キャンディー、スイーツ)の一種です。

人気に火をつけた「Okashi Box」

「okashi」という日本語がそのまま通じるようになったもう一つの理由として、コロナ禍にはやった「Okashi Box」の存在が挙げられます。

「Okashi Box」とは、小さな箱に日本のお菓子がたくさん入れられた“お菓子の詰め合わせ”のこと。小さい箱の中にハイチュウやキットカット、グミといった海外でも定評がある日本のお菓子と、のり味や魚テーストの駄菓子やアーモンド風味、メロン味といった海外では珍しいテーストのチューインガム、粉菓子といった珍しいお菓子が入っています。

Okashi Boxがはやった背景

イギリスではコロナ禍のロックダウン中、何カ月も外出が制限されていました。人に会えない生活が何カ月も続き、同じような毎日が繰り返される生活に「ちょっと違った楽しみが欲しい」と、日本のお菓子の詰め合わせ「Okashi Box」をオンラインで注文する人が続出したんです。

「Stay home」で外出すらままならない状況だったこともあり、「自宅にいながら異文化体験ができる」と人気が出ました。自分へのプレゼントとして定期購入していた人もいれば、学校が閉鎖して友達とも会えない子どもたちに「毎日一つずつ袋を開けようね」と、単調な日々を楽しくしてくれる日替わりお菓子として購入した人たちもいました。

「Okashi Box」 を購入した英語ネイティブの声を聞いてみましょう。

Opening this box of snacks was a truly delightful experience; seeing these beautifully designed packets with colourful characters is just something that made me so joyful.

このお菓子の箱を開けるのは本当に楽しい経験でした。 カラフルなキャラクターが描かれた美しいデザインのパッケージを見ているだけで、とても幸せな気分になりました。

駄菓子屋さんに行ったようなワクワク感

「Okashi Box」の値段は、小さいお菓子が20~30個(重さで260グラムから300グラム)くらい入った箱で値段は20~23英ポンド(約3712円~4237円)と決して安くはないんですが、コロナ後の現在も「Okashi Box」の人気は衰えていません。

SNSには自宅に届いた「Okashi Box」を開封しながらお、お菓子のレビューをするビデオやショートがたくさんでています。

興味がある人は、「Japan okashi unboxing」などのワードで検索してみてくださいね。

なぜ、日本のokashiが流行るのか

「Okashi Box」を買った英語ネイティブ人の感想を聞いていると、「okashi」人気の理由も見えてきます。

You get a fantastic variety, with both sweet and savoury. A lot of flavours will be kind of weird, particularly the savoury ones, but even more will be delicious and enjoyable.

甘い系から塩味系まで豊富なバラエティーが楽しめます。多くのフレーバー、特に塩味系のものはちょっと変わっているけど、だからこそおいしくて、より楽しめるものになります。

コアラの表情が一つひとつ違う“芸の細かさ”も人気の秘訣。

確かに日本のお菓子って、テリヤキバーガーやコーンポタージュ味、カフェラテ味、濃い抹茶味というようにフレーバーの種類が盛りだくさんですし、季節限定商品もあってバリエーションが豊富ですよね。イギリスの「okashi」ファンには日本の「キットカット」が好きな人が多いのですが、その理由を聞くと「フレーバーの多さ」を挙げます。

和菓子やポン菓子といった昔ながらの日本のお菓子や、のり味やイカ味といった独特の味付けや食感にも、「こんなのまで味わったことがない!」と興味をそそられているようです。お菓子のパッケージや凝ったデザインも喜ばれています。

珍しいokashiを開ける楽しみ、見る楽しみ、食べる楽しみ・・・、そういったokashiを通して得られる「異文化体験」全てが、海外でのokashi人気の理由に挙げられます。

フレーバーの種類が多いポッキーも、人気が衰えません。

ホリデーギフトの贈答に「okashi」

イギリスではクリスマスシーズンや学年末になると、子どもの学校の先生やお世話になった友人たちに、チョコレートの詰め合わせを贈ることが多いんです。チョコレートだとクリスマスに家族が集まったときに食べてもらえるし、保存もきくので贈答用のお菓子としてセレクトされるんですよね。でも正直、毎年チョコレートばかりもらうことに飽き飽きしている人も少なくなかったりして・・・。

そんなありきたりのプレゼントを脱出したい人たちの間でも、「okashi」の詰め合わせに注目が集まっています。

まとめ

今後、ますます世界中でファンが増えそうな「Okashi」。ちなみに観光庁が実施している「訪日外国人消費動向調査」によると、日本を訪れた外国人の観光客が選ぶお土産でも「お菓子類」はトップなんだとか。海外に行くときの手土産としても喜ばれること請け合いですね。

海外書き人クラブ
文・写真 ボッティング大田 朋子

イギリス在住

海外書き人クラブ:https://www.kaigaikakibito.com/blog/

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