映画やドラマは生きた英語の宝庫。おすすめ映画・ドラマから、 すぐに 使える英語表現を毎回一つ紹介します!今回は前回に 引き続き 、映画『父親たちの星条旗』から。「you know the drill」とはいったいどんな意味なのでしょうか?
今日のおすすめ表現
you know the drill今回取り上げるのは、「 詳しく説明しなくても、やることはわかっているはずだ 」という意味のフレーズです。
こう読むと、どんな場面で使うのかピンとこないかもしれませんね。でも、映画やドラマを見ていると、意外と出てくるセリフです。映画・ドラマ好きさんはぜひこの機会に覚えてください。
表現の出どころ
日本で終戦記念日のある8月は、『父親たちの星条旗』(原題:Flags of Our Fathers)からフレーズをご紹介しています。
この作品は、戦争映画です。しかし戦争そのものよりも、仲間が戦死したのに生き残った自分が英雄扱いされるという現実に対する葛藤や、戦地で受けた心の傷など、戦争が終わっても続く兵士の苦しみに重点が置かれています。映画の中心となるのが、「硫黄島の星条旗(Raising the Flag on Iwo Jima)」と呼ばれる1枚の写真。硫黄島をほぼ制圧したと思われたタイミングで、硫黄島の一番高い場所である摺鉢山(すりばちやま)の頂上にアメリカ軍が星条旗を立てたのですが、その時に撮られたものです。
この写真は当時、アメリカの新聞の一面を飾り、1945年度のピュリッツァー賞(ジャーナリストのノーベル賞とも呼ばれる非常に栄誉ある賞です)に選ばれました。海兵隊戦争記念碑のモチーフにもなっています。
ちなみに 、硫黄島は小笠原諸島の中にある硫黄列島の一つです。つまり、住所は東京都。『父親たちの星条旗』で描かれている通り、第2次世界大戦でアメリカの手に渡りましたが、1968年に日本に返還されました。
とはいえ、現在は自衛隊の基地になっており、一般の人は島に立ち入りできません。そのため、映画の撮影は主にアイスランドで行われたそうです。
表現の使い方
「硫黄島の星条旗」に写っていた兵士たちは、本国では英雄となっていました。旗を立てたとされる6人のうち、硫黄島での戦闘を生き抜いたドク(ライアン・フィリップ)、アイラ(アダム・ビーチ)、レイニー(ジェシー・ブラッドフォード)の3人は、戦債(戦時中の資金集めのための国債)の購入者を募るために全米を巡るキャンペーンに、「戦争の英雄」として駆り出されます。
そんなキャンペーンのイベントの一つで、「硫黄島の星条旗」が撮られた瞬間を作り物の摺鉢山の上で再現するよう、財務省のバド・ガーバー(ジョン・スラッテリー)から次のように 指示 されます。
So , stadium lights come down, spotlight comes up, you get your cue .You charge up this thing with the flag, you plant it at the top, you smile, you wave. You know the drill .drill は、「訓練」「練習」という意味が一般的です。しかしここでは、「 正しい手段・ 手順 」の意味で使われています。それで、スタジアムの照明が落ち、スポットライトが当たり、合図を 受け取る 。
旗を持ってこいつを駆け上り、旗を頂上に立てて笑顔で手を振る。
手順 はわかっているだろ。
スタジアムの照明が落ちるところからやるべきことを説明したものの、「まぁ当然、わかっているよな」というニュアンスです。
まとめ
今回は、「 やることはわかっているよね 」という意味の you know the drill を取り上げました。逆に、「どうやればいいの?(どんな 手順 でやればいいの?)」と聞きたいときは、「What’s the drill?」と質問することができますよ。
松丸さとみ フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 (日経BP)、 『限界を乗り超える最強の心身』 (CCCメディアハウス)、 『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』 (サンマーク出版)などがある。
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