PEANUTS生誕70周年記念 心温まる「ピーナッツ」の言葉 Vol.1

世界中で人気のキャラクター「スヌーピー」で知られるコミック『PEANUTS(ピーナッツ)』は、2020年10月で連載開始から70周年を迎えます。これを記念して、「ピーナッツ」の心温まる言葉をご紹介します。

『PEANUTS』とは?

アメリカの漫画家チャールズ・M・シュルツによる漫画で、1950年10月から彼が亡くなる2000年2月まで、アメリカの新聞に連載されていました。その人気は国境を越え、世界75カ国で21もの言語に翻訳された人気作品です。日本では1967年頃から詩人の谷川俊太郎さんが翻訳を始めました。

「ダメ、できない、困った」といった心の悩みや葛藤を、子どもたちがどう乗り越えていくかをストーリーのテーマとしています。

キャラクター紹介

『PEANUTS』にはたくさんの子供や動物などのキャラクターが登場しますが、ここでは今回紹介するコミックに出てくる主要なキャラクターを簡単にご紹介します。

チャーリー・ブラウン

『PEANUTS』の主人公。不器用でやることなすこと裏目に出るが、優しく思いやりに溢れ、みんなから愛される。特技はビー玉。スヌーピーの飼い主。

スヌーピー

スポーツ万能なビーグル犬。女の子には優しいが、食いしん坊。嫌いなものは猫。チャーリー・ブラウンのことを「丸頭の男の子」と呼んでいる。

ルーシー

自己中心的で、怒りっぽく、人を批判することが多い。チャーリー・ブラウンやライナスはその格好の標的だが、シュローダーの前では女の子らしい面も。

ライナス

ルーシーの弟。冷静沈着で、天才的な頭脳を持ち、いつも親友チャーリー・ブラウンの相談にのってあげる。その反面、指しゃぶりと毛布から離れられない。

シュローダー

ベートーベンを敬愛し、おもちゃのピアノでクラシックの名曲を演奏する天才音楽家。チャーリー・ブラウンの野球チームではキャッチャー担当。

スヌーピーの変遷

『PEANUTS』のイラストのタッチは、シュルツが描き続けた50年の間に変わってきました。回はスヌーピーがどのように変わってきたのか、その変遷の一部をご紹介します。

1950年

連載開始時は4本足で歩く普通の子犬でした。しっかりとした太めの線で描かれています。実は、スヌーピーが初めて登場したのは連載3日目でした。

1956年

立ち上がって数歩歩いたり、ダンスをするなど自由に動き回るようになりました。顔や耳が細長くなり、全体のフォルムが大きく変化しました。

1970年

顔は大きく耳は小ぶりになり、現在のスヌーピーらしさが確立されました。人間のように表情豊かになり、毒舌ぶりにもいっそう磨きがかかってきます。

1996年

作品世界が円熟味を増した晩年。シュルツが年を取るにつれて、描く線にもより深みが出てきました。スヌーピーも丸くふっくらとした優しいフォルムに。

『PEANUTS』を英語学習におすすめする理由

理由は複数ありますが、まずはコミックなので絵や登場するキャラクターを楽しみながら英語に触れることができます。ストーリーは数場面で完結するので、飽きることなく学習を継続しやすいです。

また、使われている英語は日常会話でよく使われる簡単な英語なので、普段の英会話に生かせる表現がたくさんあります。

そして何より、登場するキャラクターは子どもや動物だけなのに、人生経験を積んだ大人のようなセリフがたくさん登場するので、大人が読んでも面白いからです。

コミックで英語を勉強しよう

PEANUTS Comic Strips: c1971 Peanuts Worldwide LLC

春2日目のダンス

訳: これが「春2日目」のダンス/ほかのダンスとはちょっと違うんだ・・・/もちろん、ビミョーな違いだけど・・・/すべてこのつま 先に かかっているのさ・・・

ストーリー: ダンスが得意なスヌーピー。つま先の動きが軽快な時は、特に気持ちが弾んでいる証拠。本コミックでは「春2日目」のダンスを踊っていますが、当時の連載では「春1日目」のダンスも披露しています。

differ from ~ ~とは異なる
AがBと異なることを説明する際に、A is different from Bと表現する人が多いと思いますが、A differs from Bと表現することもできます。differは動詞、 different は形容詞ですね。 ちなみに 3コマ目の difference は名詞です。
slightly  ちょっと、わずかに / subtle  微妙な
slightlysubtle も程度が小さいことを表します。 slightly は副詞、 subtle は形容詞です。

音楽で気持ちを伝える

訳: 気持ちを言葉で表すのが苦手な人もいるわよね/もし私があなただったら、シュローダー、誰かさんに言いたいことがあるんだったら、音楽で伝えるんだけどな・・・/いいアイデアだね・・・/ダーン?

ストーリー: ルーシーの積極的過ぎるアタックに困ったシュローダーが、彼の気持ちを音楽で伝える場面です。おもちゃのピアノの大きな音が聞こえてきそうですね。

put ~ into words ~を言葉で表す
It’s hard to put into words.(言葉で言い表せない)は、感動を表そうとしても言葉が見つからないときや複雑な心境のときに使われます。
if I were you 私があなただったら(仮定法過去)
仮定法過去は現在の事実と反対の事柄を表します。if節の中のbe動詞は、主語に かかわらず 原則としてwereを使います。“If I were you, I would ~ .” という形で覚えましょう。 ちなみに 、別の回で同じ仮定法過去を使った“If I were a human being, I wouldn’t even own a dog!”(僕が人間だったら、犬なんか飼うもんか!)というスヌーピーのセリフもあります。
a certain somebody ある特定の誰か
このシーンの「特定の誰か」は、ルーシーが大好きな「誰かさん」、つまりシュローダーを指しています。こうした間接的な言い方をすることで、けなげな女心を伝えたかったルーシーですが、シュローダーに見事はね返されてしまいました。

 

※Vol.2は2020年3月31日に公開予定

解説・翻訳:上杉恵美(うえすぎ・めぐみ)明海大学ホスピタリティ・ツーリズム学部教授。総合英語とTOEIC演習を指導。全国通訳案内士の資格を活かして、「日本を英語で案内しよう」をテーマとしたゼミを担当。趣味の船旅・島旅を発展させ、クルーズや客船文化の研究も行っている。
※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2020年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

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