仕事や学校が忙しい。時間がないから勉強する暇がない。と思っていませんか?そんなときは朝の時間を 有効 活用するのがおすすめです。今回は「通訳」で「英語講師」の西田大(にしだまさる)さんに、自身も実行している「朝勉強」の効果的なやり方をご紹介いただきます。
「英語を勉強する時間がない!」人に試してほしい方法
「時間があれば勉強したいのに、いつも忙しくて・・・」「今は時間がないから、落ち着いたころに・・・」。などと考える一方で、結局はこの数年間同じ状況だ。という人も多いのではないでしょうか。
「忙しくて勉強する時間がない」を解決するには、「遅く寝る」か「早く起きる」の二択 と言っても言い過ぎではないと思います。そして、私は断然「早く起きる」をお勧めします。
今回はこの、早く起きて勉強する「朝勉強」の3つのメリットと3つのコツについてお伝えします。
「朝勉強」の3つのメリット
1. 誘惑がないので勉強に集中できる
日中や夜の学習を阻害する代表格は、さまざまな形態での「誘惑」ではないでしょうか。
テレビをつければ、興味を引く番組が多くあり、SNSを開けば、面白そうな動画や写真付きの投稿がひっきりなしに 更新 されていきます。
一方、見た経験がない人が多いかもしれませんが、早朝のテレビ番組には 個人的にはあまり興味を引く番組がありません。朝の4時台5時台はSNSを開いてみてもほとんど新しい投稿はありません。また、家族と話そうと思ってもまだ寝ているのではないでしょうか。
この 「他にやることがない」状況が、最高の学習環境を作り出してくれる のです。
2. 頭が冴えていて勉強がはかどる
体感していただくと最も伝わるのですが、 早朝は「脳がリフレッシュ」 されています。そのため、 集中力やその持続力が、夜に比べてはるかに高い状態であることを感じることができる でしょう。
まず、単語やイディオムの暗記できるスピードの違いを感じるはずです。また、例えばTOEICを学習している人であれば、パート7の文章の読解スピードの違いにも気付くでしょう。実際に問題を解いてみても、多くの人は正答数のアップを体験できるはずです。
生物学的にも「人間は睡眠中に記憶に関わる脳内の海馬が 整理 され・・・」などと証明されているようですが、まずは、自分で体験することでこのメリットを実感できます。
3. 朝の静寂は最高の学習環境
朝の4時台5時台は日常生活ではありえない「静寂」に包まれます。少し大げさになってしまいますが、「誰もいない森の中」いるような感じです。この時間帯にしか感じられないいろいろな音が聞こえてくるほどの静けさです。
外を歩いている人の足音やくしゃみ、新聞配達員のバイクのエンジン音が聞こえてきます。ずいぶんと離れている場所にいそうな鳥の鳴き声も耳にできます。これらの音を耳にできるのは一日の中でもこの時間帯だけのはずです。
このような 日常では味わえない環境にいると、おのずと集中力が高まり、効率的な学習を継続することも可能 となります。
効果的な「朝勉強」3つのコツ
1. やるべきことを決めておく
前日に翌朝のやるべきこと(学習内容など含む)を「 具体的に 」決めておくことが大切 です。起床時間を決める人は多いと思いますが、その後の行動(例えば、コーヒーを入れる、シャワーを浴びるなど)も 具体的に しておくと行動に迷いが生じません。
「何をしようか・・・?」と考える時間を作らないことがコツです。
また、 「学習内容も 具体的に 決めておくことは必須」 だと考えてください。繰り返しになりますが、「何を(学習)しよう・・・?」を防ぐことにより、 「すぐ始める」が可能 になります。
例えば、「TOEICリスニングセクションの勉強」というよりも、「TOEIC公式問題集のリスニングセクションパート4のQ.71~85のシャドーイングを3回ずつ」などとできる限り 具体的に 決めておくといいでしょう。
「やるべきことを決めておく」こと により、朝の布団の中での「もうあと5分・・・」「今日は大切な会議が・・・」という 自分に対する甘えを断ち切る こともできます。
また、学習内容をより 具体的に しておいた方が、朝勉強をしなかった時により強く「後悔」することができ、時には「罪悪感」のようなものさえ感じることができます。
そして、この 「後悔」や「罪悪感」を感じたくない気持ちが、より強い気持ちで「朝勉強」をしようという気持ちを生み出してくれる のです。
2. 周囲の人に伝えておく
自分が「朝勉強」をしていることは、できるだけ多くの人に知っておいてもらうといいでしょう。これには大きく分けて2つのメリットがあります。
まず1つ目に、 勉強のモチベーションが高くなります 。「自分は朝勉強しています!」と人に言うことで自分へのプレッシャーにもなるでしょう。簡単に挫折することもできなくなります。
また、周囲の人から「朝勉強、続いている?」と必ずと言っていいほど質問されます。この質問は思いのほか、 「止めるわけにはいかない・・・」という気持ちを生み出してくれます 。
2つ目に、こちらは始める前には「意外だった・・・」という声が多いのですが、 「周囲の人が気を使ってくれる」ようになります 。
例えば、頻繁に外食(飲み)に誘われていた友人や 同僚 たちが気を使ってくれます。また、自分から「今日は一次会で・・・」と切り出しやすくもなります。もしかしたら、上司からの残業のお願いも減るかもしれません。
家族にも伝えておくのもいいでしょう。いつもの起床時間を過ぎても目覚めていない場合に起こしてくれるかもしれませんし、朝食や身支度のタイミングを「朝勉強」のスケジュールに合わせてくれることも期待できます。
3. 開始時間と終了時間を決めておく
朝勉強の学習時間についてですが、始めのうちは 「開始時間」「終了時間」を固定し、「学習時間」を一定にしておく ことを勧めます。
朝の出勤時間が異なる人などは、この朝学習の時間帯を出社時間によって変える人が多いのですが、 朝のスケジュールは決めておいた方がルーティン化され、継続につながるケースが多い ようです。
この学習時間帯の固定化により、「朝勉強開始時間」⇒「朝の支度時間」⇒「起床時間」⇒「就寝時間」などと前日の予定まで逆算して行動することができます。
生物学的にも「就寝前に分泌されるメラトニンが・・・、その5、6時間後に目覚めに関係するコルチゾール *1 の分泌量が急増し・・・」などとあるように、起床時間を一定にしておくことは「目覚めをよくする」という点においても利点があるようです。
いかがでしたか?「朝勉強」で英語力アップ!私も「継続」と「挫折」を繰り返しながら、長年行っています。ぜひ、皆さんにも「朝勉強」の効果を体感していただきたいと思います。
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西田大(にしだまさる)
1973年生まれ。関西大学文学部英文学科卒業。TOEIC 990点(満点)、英検一級、全国通訳案内士。23年間にわたり県立高校教員として勤務した後、通訳、英語講師として独立。通訳としての技量は高く評価され、国際会議や各国の大臣クラスの通訳にもアテンド。英語講師としては、TOEIC・英検などの検定試験から実用英語まで、幅広い分野の英語学習に精通し、その学習法・対策法は注目を集めている。著書に『 「音読」で攻略TOEIC(R)L&Rテストでる文80 』(かんき出版)、『 英語力はメンタルで決まる 』(アルク)、『 TOEIC(R)テストに必要な文法・単語・熟語が同時に身につく本 』(かんき出版)など。
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