スコットランドはエディンバラのミリタリー・タトゥーの見どころをレポート

イギリス英語と大阪弁を駆使して、枠にとらわれない活動を 展開 している 川合亮平さん が、現地での最新情報をレポート。今回は、スコットランドはエディンバラの「ミリタリー・タトゥー」をレポート。このイベントは毎年大人気で、チケットは全日完売なんだとか。

こんにちは、エディンバラ帰りの川合亮平です。

突然ですが、僕、物事を理屈で理解するというのがどうにも苦手なんです。

かといって、雲をつかむように、物心ついてない幼子のような危うさで生きてるのかというと、また、そういうことでもなく(多分)、事象を感覚で捉えるタイプ、自分で経験して初めて納得するタイプなんです。

だから例えば、第二言語として英語を話すことも、大体は感覚でやってるんです。「なぜ?どうして?」とこられると、正直「分からないでちゅ」としか言いようがないんですよね。いや、まあ、質問されたら、精一杯、知恵を絞って答えますけど。

そもそも 、言語を話すことは主として、感覚的で感情的なことだというのが僕の持論なんです。その感覚をどういう風にして人に伝えるか、というのは常に気にしていることではありますが。

まあ、それは置いておいて、そんなわけで、この度、エディンバラ・フェスティバル取材が(幸運にも)決まった段階では、自分が何を取材しに行くのかよく分かっていませんでした。

「エディンバラ・フェスティバルの中には色んなフェスティバルが含まれているらしい・・・、けど、その住み分けはどのようになってるのか?よく分からん・・・。」

「その一環で、ミリタリー・タトゥーというのを見学するらしいけど、それは何なのか?どのようなものなのか?ミリタリーやし、タトゥーやし、ちょっとイカツイ感じがするが、それは大丈なのか。」

ウィキペディア氏を読んだところで全然要領得ないのです。 そもそも スコットランド行くのが初めてやし、とにかく現地に行ってみんことには・・・。

これが The Edinburgh Festivals というものか!

ロンドンから列車に4時間半揺られ、エディンバラに上陸し、街の空気を吸い、現地の人と話し、街を自分の足で歩くうちに、見えてきました、薄靄(うすもや)にかかっていた The Edinburgh Festivals の全貌が、ようやく。

フェスティバル・シーズンなんで、昼前から日が沈むまで、街は人で溢れます。文字どおり、溢れます。

ポック・ポック・ポック・ポック・・・チーン!

そうか!

エディンバラ・フェスティバル(ズ)って、世界最大の文化祭なんや!

エディンバラという街全体を舞台に(ほんとに隅から隅まで)、世界中から、演る人は「観て観て!」って感じでやってきて、観る人は「観る!観る!」って感じで集ってくる。

その集合体が、エディンバラ・フェスティバル(ズ)。

複数のフェスティバルの間に垣根はあるようでなく(少なくとも街を練り歩くイチ旅行者としてはそれは感じなかった)混然一体となって、エディンバラで複数のフェスティバルが同時多発的に、絡み合って盛り上がってる、そんな感じ。

“エディンバラ=世界随一のフェスティバル・シティー” なんですよね。年間を通して、11個もの国際的フェスティバルが開催されているっていうじゃないですか。

そして、8月はそのフェスティバルのバッティングが最高に高まる時期なのです。

  • Edinburgh Art Festival(7月下旬?8月下旬)
  • Edinburgh International Festival(8月上旬?8月下旬)
  • Edinburgh Festival Fringe (8月上旬?8月下旬)
  • Edinburgh International Book Festival (8月上旬?8月下旬)
そして、
  • The Royal Edinburgh Military Tattoo(8月上旬?8月下旬)
もう、みたまんま、8月がピークです。このスケジュール見るだけで混沌度合いが伝わると思います。8月は、2万5千人以上のパフォーマー、エンターテイナーがエディンバラに集結し、1千を超えるショーが開催されます・・・1日で。そう、1日で1,000を超えるショーですよ、奥さん。破格でしょ?そりゃ、街も人で溢れるわって。 www.edinburghfestivalcity.com

ミリタリー・タトゥー:音とダンスと色のスペクタクル・ショー!

さて、そんなエディンバラ・フェスティバル(ズ)で開催される天文学的な数のショーの中で、「コレ!」というのが、The Royal Edinburgh Military Tattoo(通称:タトゥー)なのです、正味の話が。

地元の人は、このフェスティバル・シティーに並々ならぬ誇りをもっています、そして、同じくらい、タトゥーにも誇りを持っている、ということが色んな方々と話をするなかで感じられました。

「兄ちゃん、エディンバラに8月に来たんなら、とにかくこれだけは観て行ってや」、というのがタトゥーなのです。

いやでも、ごめんなさいね、タトゥー、実は僕、もともと君にあんまり興味がなかったのです。写真で見ても、解説読んでも、正直あんまりピンとこない、面白そうじゃない・・・、っていうか。ごめん、ごめん、僕の想像力が欠如しているだけ かもしれない けど。

まあでも、(幸運にも)観覧できることになったので、偏見は置いておいて、とにかく行ってみようではないか! Bring it on !

21時からショーは開始されます(22時半まで)。20時過ぎ頃、会場入りします。まだ明るいでしょ。イギリスの夏の陽は長いのです(それが最高)。

では、以下、動画で会場に入るまでの道すがら、実況中継いたします。

タトゥーは、1950年に開始されました。以来、常に同じ場所、The Castle Esplanade(お城の前の空き地)で毎年8月に開催されています。

ロケーションがとにかく最高なんですよ。エディンバラの真隣(というか、厳密にはお城の一部の広場)に特設会場ができているわけです。

余談ですが、この会場の感じ、ロンドンのバッキンガム宮殿の近くにある Horse Guards Parade(広場)を思い出しました。2012年ロンドン五輪の時、そこにビーチバレーボールの特設スタジアムが出来たんですよ。ロンドンの街中にいきなり砂浜が出現して、観覧席からビーチバレーを見ながら、 同時に ビッグベンが見える、みたいな。とっても Surreal な感じがしました。

さて、は戻って、タトゥーの会場はこんな感じ。

雰囲気がとにかく良いのです。ショーを待つ人々の高揚感って肉眼では見えないけど、確実にそこに存在して、それが僕は大好き。

座席は全指定。開始前、会場アナウンサーがあれこれおしゃべりして楽しませてくれるんですよね。

例えば、ラジオDJのノリで「スチュアートさんからです、愛する娘ジェシカへ、今夏は家族でエディンバラに来られてよかったね。ハッピーバースデーーーーーー!!」みたいな感じ。

僕も誕生日嘘ついて、メッセージ読んでもらったら良かったと思いました。いわゆる前説というやつかな、盛り上げ方がすごくうまい。

以下の動画はその続き、「ドイツから来た人????日本から来た人?????」っていう具合に、会場の一体感を煽っていきます。

さて、いよいよ始まりますよ。
とにかく迫力がすごい。生まれて初めて吹奏楽を自分でやってみたくなりましたもん( 影響 されやすい)。そして、地上での音楽とダンスのテーマに合わせて、エディンバラ城にプロジェクションマッピングが施されるんですが、それがとってもイカしていました。12世紀のお城と、最新技術の融合、その新旧絶妙のコンビネーションが本当に素晴らしかった。

ショーが進むのと 同時に 徐々に日が落ちてきて、正面遠くに見える、スコットランドの海岸沿いに明かりが灯ってくる。タトゥーが意図した演出じゃないけど、胸に迫るものがあります。

代わる代わる色んな出し物が出てくるんです。だから90分間飽きずに見られます。上の動画で、ヴァイキング・テーマの焚き火が終わってから始まるのが Tattoo Dance Company の催し。これが僕的に一番楽しかった。もうノリノリですよ。ヴァイオリン、バグパイプ、ドラムでこんな軽快な音楽が鳴るんですね!これケルト音楽かな、ダンスはアイリッシュダンスみたいだし。

僕、なんだか知らないけど、昔から、英国北部のフォークミュージック(ケルト音楽とか)にすごく魂揺さぶられる 傾向 があるんですよね。楽器の音色とメロディラインがものすごく胸にくるんです。太古の記憶が蘇ってきそうな感じがするというか・・・、何かDNA的なものがあるのかしら。とにかく、こういう音楽を身体いっぱい浴びられるのは贅沢、ライブの醍醐味です

そしてしめはご飯を入れておじや・・・、ではなく、Fireworks.。

ごめん、ミリタリー・タトゥー。僕、君のこと誤解してたよ

ひとつ注意点としては、とにかく寒いんですよ。日が落ちて、どんどん本格的に寒くなってきます。真夏とはいえ、エディンバラの8月の寒さ、なめてたら痛い目にあいます。防寒だけはしっかりしてくださいね。

しかも変わりやすい天気だから、雨が降ったら更にきついと思います(雨が降っても中止にはならないよ!)。真冬の格好を装備してくださいね、ほんとにほんとに。僕はTシャツに、比較的しっかりした革ジャン、その上に冬用の厚手のパーカージャケットを着込んでました。これでまあギリギリセーフ。

それでも、ロンドンの New Year Countdown 花火を数時間一人で、べりで待っていた時ほど寒くはなかったけど・・・。

以下、ショーが終わり、余韻に浸っている動画です。

それにしても、タトゥー、本当に良かったな?。歴史と伝統、 有無 を言わさぬ力強さがズシンとくる、老若男女みんな楽しめるショーでした。力をもらった、元気になりました。

なんだかスコットランドのことが好きになったし。

ごめん、ミリタリー・タトゥー、君のことを面白くなさそうとか言ったりして。君、やっぱり評判通りのすごいショーだったよ。

百聞は一見に如かず、ですね。

ミリタリー・タトゥーの豆知識

実は、僕が観に行かせてもらった日の翌日、ウィリアム王子とチャールズ皇太子が父子水入らずで観覧されていたんですよね。1日のニアミスだった!

それでは、ここからは、ミリタリー・タトゥーのトリビアを紹介します?。
Tattoo の語源

船乗りが肩にしてる碇のやつじゃないよ(古いえ)。

語源は、300年以上前のベルギーとオランダにさかのぼります。

酒場(当時のパブ兼B&Bのような場所)でお酒を飲んでいる兵隊に対して、兵舎に戻ってくる時間を知らせる合図として、地元の連隊が笛と太鼓を鳴らしながら、通りをマーチしたらしいのです(近隣住民はたまったもんじゃないですね)。

それを聞いた酒場の主人が、オランダ語で “ Doe den tap toe.” と叫んだそう。意味は、“ Turn off the taps.(蛇口を閉めよ)”。ここでのtapsは酒樽の蛇口のことですね。

つまり、連隊のマーチを聞いてもまだ帰らない兵隊たちに対して、酒場の主人が追い打ちをかけるように叫んだんですね。「もうお開きやで」と。

朝起きに例えるなら、“スヌーズ”機能と同じ役割とでもいいましょうか。

と、いうところから、“ミリタリー・スヌーズ”の名前が出来上がったんですね。

いや、そうじゃなくて。

主人のこのセリフの “tap toe(タップトー)” という音が、転じてTattooになったとのことです。

そう、由来はそうなんですが、そのエピソードと、ミリタリー・タトゥーのスペクタクラーなショーの関連性はいまいちよくわかりませんが。

非営利団体が運営

The Tattoo(という組織)は非営利で、収益はチャリティ団体に寄付されているとのこと。

c The Royal Edinburgh Military Tattoo

観客数は22万人以上!

出演者・スタッフの総人数は1,400人。毎年の合計観客数は、22万人以上。観客の 内訳 は・・・、

  • スコットランド・・・20%
  • 英国のその他の地域・・・50%
  • 海外から・・・30%
・・・とのこと。
チケットは連日完売!

タトゥー、現状、18年連続で連日ソールドアウト!とのことです。すごいですよね。基本的に雨が降ろうが何が降ろうがショーは行われます。

c The Royal Edinburgh Military Tattoo

毎年8月に開催

毎年8月に約3週間、開催されます。1日のショーの収容観客数は約8,800人。毎年テーマが違います。今年は“ Splash of Tartan” でした。以下が今年のPR写真。このイメージ、イカしてるでしょ?僕、好きなんですよね。

c The Royal Edinburgh Military Tattoo

2018年の開催予定

2018年のThe Royal Edinburgh Military Tattooの開催期間は、8月3日- 25日。詳細は、ウェブサイトにて9月の後半にアップデートされます。そして、チケットの販売は、12月1日(金)の10:00am GMTからウェブサイトにて。

Online booking : Official Site

いやぁ、知らないだけで、色々楽しい事が世界にはあるものですね、ホント、百聞は一見に如かずだわ。

川合亮平でした。

またね。ばいなら?。

 

取材 協力英国政府観光庁 (Visit Britain)

川合亮平の本
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川合亮平(かわい・りょうへい)
英語インタビュアー、通訳・翻訳者、ライター。 All About イギリスガイド。特徴は、イギリス英語と大阪弁を話すこと。枠にとらわれない活動を 展開 中。登場メディアは多岐に渡る。東京、ときどきロンドン在住。詳細は こちら

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