イギリス英語と大阪弁を駆使して、枠にとらわれない活動を 展開 している 川合亮平さん が、現地での最新情報をレポート。今回は、スコットランドはファイフより、特別取材が許された“iconic” な風景についてのレポートです。
悩ましき“iconic”問題
こんにちは、スコットランド帰りの川合亮平です。
どんな日本語訳をあてがっても、なんだかしっくりこない英語(単語・表現・文)とうのは結構多い、と感じてます(極論すると名詞以外はほとんどそう、なんですけど、まあそれは話が長くなるので置いておきます)。
最近、しっくりくる日本語がみつからない単語がこちら、“iconic(アイコニック)”。
この単語を自分の中の翻訳マシーンにほりこんで、“日本語変換”のボタンを押すと、“ガッガッガッ”と変な音を立てるんです。
“iconic”は、英語で結構頻繁に聞く・使う単語なんですけど、文脈によってはなかなか適当な日本語がみつからないんですよね。
僕の日本語の語彙力が乏しいだけなのかしら。
辞書には「象徴的な」とか「偶像的な」とあるんですが、ピンとこない(そういった日本語がハマる文脈もあるにはあるんでしょうが)。
それで、この“iconic”が、先日訪れた場所を説明する文にも使われていたわけで。
“Scotland’s most iconic landscape …”「スコットランドを一番象徴する景色」 ???
まあ、どうしても日本語にしないといけないのなら上記のように訳しますが、気持ち的には、「スコットランドで一番アイコニックな風景」としたいところなのだな。
“iconic”は、もうアイコニックでいいんじゃないでしょうか?
Jazzが、ジャズであるように、Sofaが、ソファであるように(イギリス英語だとSetteeの方がよく使うけど)、寿司が、Sushiであるように、僕が僕であるために。
スコットランドで一番アイコニックな風景
2015年に世界遺産に登録された、Forth Rail Bridge(フォース橋)です。 ちなみに 登録 基準 は「人類の創造的才能を表現する傑作」とのこと。
19世紀後半、当時最高のエンジニアリング技術を駆使して建てられた橋。
僕は知らなかったんですけど(スコットランド新参者なのでお許しを)、「一番アイコニック」と呼ばれるだけあってかなり有名な橋なんですね。この橋だけを見に来る人も少なくないようですよ。
確かに、クラシックで威風堂々とした佇まいは、雰囲気抜群でした。一見の価値ありです。
先日、ひょんなことから、フォース橋のテッペンに特別に登らせてあげるよ、というありがたい機会をいただいたのです。
テッペンって、どこかというと、ココ↓↓↓
「橋のテッペンに登る」と聞いて、命綱を頼りに、ワイルドによじ登る感じを想像したんですが、そうではなく、 作業 用のホイスト(エレベーター)で上がるとのことで、一 安心 したんですが、それもつかの間、今度は、スコットランドならではの事象というか、悪天候&強風につき、上がれないかも、という事態になりました。
上記に記されている通り、風速40mph(マイル・パー・アワー)、つまり風速約18メートル以上(日本では強風注意報が出るレベルのようですね)だと危険なので、ホイストが機能しないのです。 上っちゃダメ、という 基準 。
状況を少し見守っていたんですが、しばらくして幸運にもGOサインが出ました。
「現状、35mphくらいなので、大丈夫」と。厳密には、”It’s not unsafe.” という表現が使われたんですけど・・・。その表現、微妙!
どうせだったら潔く “It’s safe.”って言ってほしいところを、敢えて2重否定にするところが実に微妙。現状35mphでも、上にいる間に40mph以上になる 可能性 も十分あるんじゃ?
フォース橋のテッペンで風に吹かれた
何はともあれ、普通では絶対できない体験だし、高いところ好きでもあるので、行ってまいりました。
橋の真下。ここからホイストに乗り込みます。
真下から見上げる景色もなかなかのものです。
ホイスト( 作業 用エレベーター)に乗り込みます。その間も風はビュンビュン吹き荒れます。
ホイストの中。ガクーン!ってなったり、ゴロン!って揺れたり。
いよいよ頂上に着きました。地上130メートル。
実際、強風過ぎて、僕の小さい身体が一瞬フワッと無重力状態になるような瞬間が幾度となくありました。そして、この展望してる場所自体が仮設っぽく、なんだか橋の上にただ載せただけみたいな感じもしなくもなかったので、このストラクチャーごと強風にもっていかれるんじゃないかしらと思ったりして。スコットランドの強風をなめたらあかん。
でも、このスペシャルなスコットランドの景色をこのスペシャルな場所から眺められるんだから、オールOKという気持ちになりますよ、正味の話が。
世界5カ国くらいからやってきた記者の一団で上ったんですよ。
強風吹き荒れる頂上をウロウロするなか、皆一様にそのダイナミックで美しい景色に言葉を失っていたんですが、 同時に 話題になっていたのが、この一連の体験の「気軽さ」。
見ての通り、柵は胸程度の高さまで。注意してないと落ちかねないレベル。
あるジャーナリストは、同じような体験をシドニーのハーバーブリッジでしたんだけど、事前の安全講習や書類への記入、そして実際に上に上がってからの規制やルールがものすごく厳しかった、それに比べると・・・、と言っていました。まあ、それが、いわゆる「危険を伴う観光地」の普通のやり方だと思います。
いや、今回の体験はあくまで「特別体験」ですから。観光地ではありませんからね。
普段ここで働くスタッフの方々と同じような条件で上らせてもらったんですよ、あくまで特別です。
別のジャーナリストは、「でもまあ、この前トルコでパラセーリングしたんだけど、その時一緒に飛んだインストラクターは完全に酔っ払ってたから、それに比べたら、随分安全よ」と・・・。まあ、それに比べたら、世間の大概のことは安全でしょうけどね。
でも、実はこの「フォース橋の上に登る体験」、 今後 、一般開放して観光スポット化する計画があるそうですよ。一応2020年のオープンを目指して、計画中・建設中ということです。もちろん、観光地化された際は、僕が体験したストラクチャーとは見違える感じになって、安全もしっかり確保された形で公開されるでしょうけどね(I hope )。
では、フォース橋のてっぺんで撮った動画です。
特に、風の歌をお楽しみください。
新しい橋のオープンにクイーンがやってきたよ
僕がForth Rail Bridge(フォース橋)のテッペンで風の歌を聴いたのは、8月中旬くらいだったんですが、その数週間後、この場所にクイーンがやってきたというニュースが先日流れていました。
そう、Queensferry Crossing(クイーンズフェリー・クロッシング)という新しい橋がオープンして、それのテープカットにやってこられたのです。実はこのQueensferry Crossing、フォース橋の隣の隣の橋なのです。
こちらフォース橋からの眺め、左側に橋が2つ見えるでしょ?
違うアングルで。手前が、Forth Road Bridge(フォース・ロード橋)、そして向こう側が、最新のQueensferry Crossing(クイーンズフェリー・クロッシング)です。
だから、この写真をとった時はまだオープン前です。
ブリッジ3姉妹(というのは今僕が勝手につけた名前ですが)、それぞれ、19世紀、20世紀、そして今回の21世紀と、3世紀の橋が3つ並んでいるのは、世界でもここだけらしいです。
ニュースによると、クイーンは、53年前のForth Road Bridge(フォース・ロード橋)のオープン式典にも参列されたとのこと、すごいことですよね。お元気だ。
Queensferry Crossing(クイーンズフェリー・クロッシング)は、 今後 120年以上の稼働期間が見込まれているとのことです。
ファイフがおすすめなんです
この記事をお読みの方で、もしブリッジが三度の飯より好き、という方がいらっしゃったら、こちらのホテルをオススメします。
橋の北側ふもとにある、Double Tree by Hilton Edinburgh。
www.doubletree-queensferry.co.uk
何と言っても、食堂(レストラン)から橋が真ん前に見えるんですよね。
夕食時はこんな感じ。
朝食時。絵画のようなQueensferry Crossing(クイーンズフェリー・クロッシング)を目の前にブレックファストをいただきました。圧巻のビューだったな。
お部屋も快適でした。
さて、ブリッジ3姉妹はいずれも、南北に掛っており、前回の記事で紹介した エディンバラ は橋の南側に位置します。
エディンバラから橋を北に渡ったエリアをFife(ファイフ)というのですが、ここがまたどえらく素敵なエリアなんですよ。
エディンバラに行った方は是非とも、ファイフまで足を伸ばして欲しいなと思います。そうすれば橋も見られるしね。
こちら、ご参考まで、ファイフ観光の公式サイト
www.welcometofife.comさてさて、いかがでしたでしょうか、2017年夏限定で連載させて頂きました、僕の「トラベル・ビデオ・ジャーナル in 英国」、今回の記事で最終回となります。セミの鳴くころに始まり、聞こえなくなったと思うころに消えていくのです。
人前で(時には大勢の前で)一人でiPhone動画自撮りするのは最初は抵抗ありましたけど、意外に慣れるもんですね。もはや当たり前のことなんでしょうかね、一人iPhoneに向かって喋ってても、誰も見向きもしないんですよ。やっぱり「恥ずかしがって何かをしない」というのは、結構損なことなんだな、と今回学びました。なんでもやってやろう、の精神でこれからも進みます。
川合亮平でした。
また会おう。
取材 協力 : 英国政府観光庁 (Visit Britain)
川合亮平の本
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川合亮平(かわい・りょうへい)
英語インタビュアー、通訳・翻訳者、ライター。 All About イギリスガイド。特徴は、イギリス英語と大阪弁を話すこと。枠にとらわれない活動を 展開 中。登場メディアは多岐に渡る。東京、ときどきロンドン在住。詳細は こちら 。
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
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