※写真は2016年に「Ted x Keio High School 2016」に登壇した宮下さん本人です。
ロシア出身でアメリカに留学した経験から、訪日する外国人旅行者向けにサービスや体験を提供、共有するための会社経営やNPO法人運営を行い、さらには公認会計士でもある27歳の宮下晃樹さん。2016年に「Ted x Keio High School 2016」に招待されて登壇し、英語でプレゼンテーションをしました。その経験を基に、10日間で英語プレゼン未経験から数百人の前でプレゼンできるまでのコツを教えていただきます。その過程には、英語力がアップするヒントがいっぱいです。
こんにちは。2016年に「Ted x Keio High School 2016」に登壇した宮下です。
この記事では、英語プレゼン未経験かつ大勢の人の前で話をするのが苦手だった私が、どのようにして数百人の聞き手がいる大舞台でプレゼンテーションをすることに成功したのかを紹介します。
プレゼンのテーマの決め方
私がTEDでのプレゼンのテーマに選んだのは、「Live your own life with a parallel career(パラレルキャリアを通じて人生を豊かにする)」です。
実はこのプレゼンは10日間で準備しました。なぜなら、TED本番は2016年12月18日で、私に登壇の依頼が正式にあったのは12月上旬だったからです。そこで、自分が普段から考えていることを話そうと決めました。
現在、私は、会社経営、NPO法人運営、公認会計士の3足のわらじを履いています。当時は24歳で、NPO法人代表理事とフリーランスの公認会計士を兼務していました。そこで、当時話題となっていた「副業」の魅力と、そのライフスタイルをテーマに選びました。
投影するプレゼン資料の作り方
※画像は宮下さんが実際にTEDプレゼンで使ったスライドの1枚。
プレゼンテーション資料を作るに当たり、インターネットでこれまでのTED動画を見尽くして、徹底的に研究しました。その結果、優れたTED式プレゼン資料には、以下の法則があることに気付きました。
(1) グラフィックデザインがとにかくきれい
(2) スピーチがメインであり、スライドに文字は少なめ
そこで、まずは、著作権フリーできれいなグラフィックを手に入れるために、愛用している Unplashというサイト で写真を探しました。
さらに、プレゼンテーションで一番大切な「誰に向かって話すか」を考えました。今回は、慶應義塾高等学校が主催したことから、聞き手のメインは高校生。そのため、なるべく自分ごとに感じてもらえるように、私の学生時代の写真もたくさん使うことにしました。
プレゼン原稿の作り方
次は、最も重要なスピーチ原稿の用意です。私は、自分で作成した日本語原稿を、ネイティブスピーカーに翻訳してもらって、英語原稿を作成しました。
TEDプレゼンの時間は20分と決められていたので、日本語原稿の文字数は3000~4000文字と考えて、日本語で原稿を書きました。学生時代の成功体験から仕事の話まで、文字数を気にせず5000文字ほど書いてから、無駄な部分を削り、最終的には3686文字となりました。
そして、私が代表理事を務めるNPO法人SAMURAI MEETUPSのイギリス人女性スタッフであるクラウディアに翻訳をお願いしました。
※写真の左がクラウディアさん、右が宮下さん。
プレゼンの練習方法
それまで英語プレゼンは未経験でしたので、短い準備期間で、本番で成功するには、ネイティブスピーカーのプレゼンをひたすら浴びるように聞いて何度も言ってみるほかないと考えました。
そこで、クラウディアに完成した英語原稿を使ったプレゼンをしてもらって録音し 、その音声を約1週間、朝から晩まで何度も聞きながら口ずさみました。
さらに、英会話教室に1回だけ申し込み、授業中にアメリカ人の先生の前でプレゼンをして、英語を正しく発音できているかを確認してもらいました。私にとっては、プレゼンに何度も出てくる「 parallel 」の発音が難しく、何回も矯正してもらって、やっと「r」と「l」を発音し分けられるようになりました。
本番で伝えたメッセージ
この記事の最後に、TEDプレゼンで高校生、大学生、若手社会人に向けて伝えたメッセージを贈ります。この平易な英語のメッセージでTEDの舞台を締めくくりました。
Find the place where you can live and be true to yourself. Happiness is a choice decided by you. Even if you can’t see it, don’t give up on it. If you keep on challenging , discovering and persisting, it is certain that it will come to you. I truly hope that everyone is able to live a life fulfilled and true to themselves. Thank you for listening today.自分らしく生きられる場所を見つけてください。自分の幸せは自分が決めるものです。まだ、なかなか見えないという人も、諦めないでください。挑戦や発見を繰り返していけば、きっと道が見えてくるはずです。全ての人が幸せで自分らしい人生を生きられる未来を心から願っています。本日はご清聴ありがとうございました。
「Ted x Keio High School 2016」の動画
宮下さんの動画はインターネットで視聴できます。
宮下晃樹/Koki Miyashita
Carstay株式会社 代表取締役、NPO法人SAMURAI MEETUPS 代表理事、公認会計士、一般社団法人モバイルハウス協会 監事。 1992年3月生まれ。ロシア出身。大学時代にアメリカ留学を経て、「訪日外国人に忘れられない体験をプレゼントする」ためのNPO法人SAMURAI MEETUPSを2014年に創業。外国人と地域をつなぐ活動を80人のメンバーと共に 推進 。4年間で延べ1200人の訪日外国人を地域でガイドした経験から、外国人旅行者の車移動の課題と、地域の2次交通の課題を実感。そこで、2019年1月に、「快適な移動と感動体験を創出するプラットフォーム」としてCarstay(カーステイ)をリリース。「VANLIFE(バンライフ)」という新しい旅のカタチを提唱する。 https://carstay.jp/
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