「英単語の勉強=丸暗記」だと思っていませんか?しかし、その発想があなたの英語学習を非効率にしているかもしれません。ネイティブスピーカーの感覚に近づくためには、単語をイメージで捉える「Phrasal Verbs」の理解が必須です。「Phrasal Verbs」とは動詞、前置詞・副詞の組み合わせのことをいいます。単語の持つイメージや基本的な意味を理解して、効率よく学習していきましょう!
【前回の記事】
今回は、「out」を使ったPhrasal Verbsを紹介します!
「out」のコアイメージ
「外部への移動」
カバンの中から財布が落ちたり、家の外に出て食事をしたり、サンプルをお客さんへ配るなど、「外へ出ていく」というニュアンスがあります。
come outの場合
「come」のコアイメージはこちらで説明しています。
come outの意味
come(近づく)+out(外へ)で、「(新作映画や新商品が)公開される」「(試験結果や新しいニュースや情報が)発表される」といった意味になります。さまざまな状況で使用される表現です。
- 公開する・される
- 発表される
例文
I wonder when the new season is coming out.
新しいシーズンはいつ公開されるんだろう。
Our company is coming out with a new product this summer.
わが社はこの夏、新商品を発表します。
The results for the exam should be coming out tomorrow.
明日、試験の結果が出るはずだ。
fall outの場合
fallのコアイメージはこちらで紹介しています。
fall outの意味
fall(落ちる)+ out(外へ) で、「抜ける、抜け落ちる」を意味し、特に髪の毛や歯が抜けるような状況で使われます。
- 抜ける
- ~から落ちる(of ~ )
【画像=@伊藤ハムスター】
例文
Your wallet fell out of your bag.
かばんから財布が落ちたよ。
I was laughing so hard I almost fell out of my chair.
笑い過ぎて椅子から落ちそうになりました。
My son’s tooth fell out yesterday.
昨日、私の息子の歯が抜けました。
カラーリングのし過ぎで髪の毛が抜けたり、病気で髪の毛が抜けるような状況では、My hair is falling out. のように表現します。しかし、加齢により髪が抜けると言うときに、My hair is falling out. と表現してしまうと違和感があるため、その場合は I’m balding. や I’m losing my hair. のように言います。
go outの場合
goのコアイメージはこちらで紹介しています。
go outの意味
go(行く)+ out(外へ) で、何か楽しいことをする意味を込めて「家から外に出掛けること」を表現する際によく使われる定番フレーズです。一般的にはレストランやバー、イベントなど人が集まる社交行事に参加するニュアンスが含まれます。
- 家から出掛ける
- 付き合う
- (火や明かりが)消える
例文
I feel like going out tonight.
今夜は出掛けたい気分だな。
How long have you guys been going out?
付き合い始めてどれくらいになるの?
The power went out.
停電だ。
ついていた火や明かりが「消える」ことを意味する使い方です。「機械などが動作しなくなる」意味として用いられる場合もあります。テレビの画面が急に消えてしまった場合は The TV suddenly went out. と表現できます。
let outの場合
letのコアイメージは「許可をすること」です。望み通りに「~させる」という許可を表します。日常会話では、Let me ~(私に~させて)の形で非常によく使われます。
let outの意味
let(許す)+ out(外へ)で、「外に出すことを許す」を意味します。人や動物だけでなく、感情や秘密などを「外に出す」という意味でも使われます。
- 外に出す
- 感情を吐き出す
- 秘密を漏らす
【画像=@伊藤ハムスター】
例文
What’s bothering you? Don’t hold it in. Let it out.
何を悩んでいるの? 抱え込まないで、思っていることを吐き出しなよ。
Don’t let out the secret.
秘密を漏らさないで。
Is it OK if I let the dog out?
犬を外に出しても大丈夫?
人やペットなどを「外に出す」といった意味で使われ、対象物を外に出すことを許可するニュアンスになります。
「let out 人・物」と「let 人・物 out」どちらのパターンでもOKで、「犬を外に出していいよ」は You can let out the dog.、 You can let the dog out. のどちらでも表すことができます。
give outの場合
giveのコアイメージは「相手に何かを与えること」で、give A Bの形で 「AにBを与える」という意味でよく使われます。日常会話では、「所有権を他の誰かに渡す」というニュアンスがあり、「何かを無料で配布する」「諦めて望みを捨ててしまう」といった意味でも使われます。
give outの意味
give( 与える)+ out( 外へ) は、「配る」や「配布する」を意味し、distribute よりも口語的な言い方として使われます。チラシを配布したり、サンプルを無料で配ったりする状況で使われます。
- ~を配布する
- ~を提供する,公表する
- 機能しなくなる
【画像=@伊藤ハムスター】
例文
They’re giving out free samples.
彼らは無料サンプルを配っています。
Don’t give out your personal information on social media.
SNSでは個人情報を公開しないようにしましょう。
My leg gave out.
足が疲れて動きません。
「give out」は、何かが「機能しなくなる」ことも意味します。パソコンやテレビのような機械が故障して機能しなくなる状況に限らず、体の一部が動かなくなるような状況でも使われます。 His heart gave out(. 彼の心臓が止まった)といった具合に使います。
run outの場合
runは、自動詞で「走る」、「駆ける」という意味を連想する方が多いと思いますが、そのコアイメージは「走ること」だけではなく、「速やかに前へ進むこと」も含まれます。下の画像を見てください。
例えば子どもたちが公園で走り回ったり、愛犬が脱走したりするような状況で使われます。
run outの意味
run(前に進む)+ out(外へ)は、何かを使い切ったり、在庫がなくなったりするなど、「~がなくなる」を意味する口語表現です。在庫がどんどん「外」に出て「売り切れる」と考えるとイメージしやすいかもしれません。
- ~がなくなる
- ~を使い果たす(of ~ )
例文
My cellphone is running out of battery.
携帯の充電がなくなってきました。
We have to hurry up. We’re running out of time.
早くしないと。時間がないよ。
We ran out of milk.
牛乳がなくなりました。
ビジネスシーンで、商品の在庫を切らしているときや、ネタ切れだというときにも使えます。 What do you do when you run out of ideas?(ネタ切れのときってどうしているんですか?)のように使います。
また、「息切れする」という意味でも使えます。
I’m so out of shape. I’m running out of breath just from walking up these stairs.
(運動不足だ。この階段を上るだけで息切れしている)のように言います。
おわりに
日常会話でもビジネス英語でも活躍する「Phrasal verbs」は、丸暗記するのではなくネイティブスピーカーと同じようにイメージや感覚で理解することがポイントです。動詞・前置詞・副詞のイメージを少しずつ習得し、自由に使いこなせるように練習していきましょう!
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