「英単語の勉強=丸暗記」だと思っていませんか?しかし、その発想があなたの英語学習を非効率にしているかもしれません。ネイティブスピーカーの感覚に近づくためには、単語をイメージで捉える「Phrasal Verbs」の理解が必須です。「Phrasal Verbs」とは動詞、前置詞・副詞の組み合わせのことをいいます。単語の持つイメージや基本的な意味を理解して、効率よく学習していきましょう!
【前回の記事】
今回は、「over」を使ったPhrasal Verbsを紹介します!
「over」のコアイメージ
「~を覆う」
「~を超える」「繰り返す」という意味合いも含まれ、落ち込んでいる状態から立ち直ったり、一からやり直したり、友人の家に行ったりするような状況でも使われます。
overの使い方
do overの場合
doのコアイメージは行動したり、実行したりするなど「何かをすること」です。「思っていることを行動に移す、実現させる」といった意味合いを持ちます。
do overの意味
do(行動する)+ over(繰り返す)で、「何かをやり直すこと」を意味します。「より良くするためにやり直して改善する」ニュアンスが含まれています。
- ~をやり直す
【画像=@伊藤ハムスター】
例文
Could you do this over, please? これをやり直してくれますか?
You just have to keep doing it over and over again until you get used to it. 慣れるまで何度も繰り返さないといけません。
Let’s do it all over again. もう1回最初からやり直そう。
やり直す対象を具体的に示す場合は、I have to do my report over.(報告書を作り直さないといけません)、You have to do this essay over.(この作文をやり直してください)のようになります。
go overの場合
goは、自動詞で「前方に進む」、「行く」、「及ぶ」などの意味を連想する方が多いと思いますが、そのコアイメージは「中心から離れてどこかへ行くこと」です。下の画像を見てください。
話し相手から離れたり、どこか違う場所へ行くことを伝えるときは goを使って表現します。
go overの意味
go(行く)+ over(~を覆う)で、「相手がいる場所に行くこと」を意味します。特に、自分の近くにいる友達や親戚を訪ねたり、誰かの住まいを訪問することを表すときに使います。
- (家や人を)訪ねて行く(to ~ )
- ~を見直す
- ~を説明する
【画像=@伊藤ハムスター】
例文
Make sure you go over your answers before you turn in your test.
テストを提出する前に必ず答えを見直すようにしてください。
Can you go over that part again? その部分をもう一度説明してくれますか?
What time are you going over to her house? 何時に彼女の家へ行くの?
「トムの家に行きました」は I went over to Tom’s house. と表し、I went to Tom’s house. と言うこともできますが、go over の方がより口語的な響きがあります。
go withの場合
withのコアイメージは「一緒に」で、何かのつながりを表します。誰かと一緒にどこかへ行ったり、赤ワインとステーキのように2つの組み合わせの相性が非常にいい状況で使われます。
go withの意味
go(行く)+ with(一緒に) で「調和する、相性が良い」を意味し、2つの組み合わせの相性が非常によく、絶妙なコンビネーションを生み出すことを表現する場合によく用いられます。
- ~を選ぶ
- ~と相性が良い
- ~と同意である
例文
If I were you, I’d go with the blue one. 私だったら青を選ぶね。
This sake goes well with the sushi. この日本酒はお寿司とよく合うね。
You make a good point. But I have to go with her on this one. あなたの言うことにも一理ある。でもここは彼女が正しいと思う。
議論や口論を聞き、各人の考えを十分に理解した上で、「その点においては〇〇さんが正しいと思う」といったニュアンスで同調する場合は、I haveto go with 〇〇.で表現できます。
go throughの場合
throughのコアイメージは「何かを通過すること」です。トンネルのような空間を通り抜ける場面だけでなく、困難な状況を通り抜ける状況でも使うことができます。
go throughの意味
go(行く)+ through(通過する)で、「苦労を経験したり、困難な状況に立ち向かったりすること」を意味します。失恋、経済的な苦労、病気や死、厳しいトレーニングといった経験を含め、幅広い意味で逆境に立ち向かうことを表します。
- つらい経験をする
- ~を調べる
- ~を使い果たす
ビジネスの場で提案や企画が承認されたり、法案などが通ることも表します。pass やapprove と同じ意味を持ち、ビザの申請が通ったときにもこの表現を使うことができます。
例文
Why did you go through my stuff? なんで私の持ち物を調べたの?
I can’t believe we went through three bottles of wine last night. 昨晩、ワインを3本も空けたなんて信じられない。
I went through a lot last year. 去年は色々と大変な1年でした。
相手の苦労話を聞き、I went through the same thing.(私もそのようなつらい経験をしました)と共感の気持ちを示すような状況で使うこともできます。
おわりに
日常会話でもビジネス英語でも活躍する「Phrasal verbs」は、丸暗記するのではなくネイティブスピーカーと同じようにイメージや感覚で理解することがポイントです。動詞・前置詞・副詞のイメージを少しずつ習得し、自由に使いこなせるように練習していきましょう!
ジュン・セニサックさんの本
ジュン・セニサックさんのインタビュー記事
語彙力&フレーズ力を磨く、おすすめの本
ネイティブと渡り合える、知的で洗練された英単語力。
本書は、アルクの『月刊ENGLISH JOURNAL』(1971年創刊~2023年休刊)に掲載されたネイティブスピーカーの生のインタビューやスピーチ、約300万語のビッグデータから、使用頻度の高い英単語300個を厳選し、一冊に編んだものです。
すべての英単語は日本語訳、英英定義、例文と共に掲載、無料ダウンロード音声付きで、読んでも聞いても学べる英単語帳です。また、難易度の高い単語をしっかり定着させるため、穴埋め問題やマッチング問題、さらに構文や使用の際に気を付けるべきポイント解説も充実しています。伝えたいことが明確に伝えられる、上級者の英単語力をこの一冊で身に付けましょう!
英語中級者と上級者の違いは、的確で、気の利いたフレーズ力!
50余年の歴史を持つ、アルクの『月刊ENGLISH JOURNAL』(1971年創刊~2023年休刊)に掲載されたインタビューやスピーチ約300万語というビッグデータの中から、頻出する英語フレーズ300個を厳選。日常会話やemail、SNSではよく使われているのに、日本人が言えそうで言えない、こなれたフレーズを例文と英英定義と共に収載しました(全音声付き)。
厳選した300種類の穴埋め問題&マッチング問題を通して、「見てわかる」のレベルから「自分でも使える」ようになるまで、しっかり定着させます。上級者への壁をこの一冊で打ち破りましょう!
難関大を目指す受験生が英単語を「極限まで覚える」ための単語集
大学入試などの語彙の問題は、「知っていれば解ける、知らなければ解けない」ものがほとんど。昨今の大学入試に登場する単語は難化していると言われており、文脈からの推測や消去法では太刀打ちできない「難単語の意味を問う問題」が多数出題されています。こうした問題をモノにして、周囲に差をつけるには、「難単語を知っていること」が何よりのアドバンテージです。
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。