どんなに英語を学習しても意外と言えないのが「身の回り」の出来事。キムタツ先生印の「クイックレスポンス」トレーニング(日→英を高速変換)で「言いたいことを英語で言える」ようになりましょう!
第10回 ビジネス編
今回のテーマはビジネスに関する表現です。下の指示に従って、Let’s get started!
「クイックレスポンス」トレーニングの手順
- それぞれの表現を確認します。わからない単語や文法があれば、印を付けておきましょう。
- 音声を聞き、表現の意味や発音を確認します。その後、自分で英文を読み上げ、自信のない箇所は音声を聞き直して再確認しましょう。
- 音声の英語に合わせて10回ほどシャドーイングしましょう。ネイティブスピーカーと同じように発音することが目標です。
- 何度も声に出して読み上げ、英語と日本語をセットにして、しっかりと表現を覚えます。
- 日本語だけを見て、即座に英語の表現が言えるようになるまで頭にたたき込みます。何度も何度も反復して練習しましょう。
- 音声を流し、日本語が聞こえたら、英語の音声が聞こえてくる前に、自分で英語表現を口に出してみましょう。
これができるまで、挫折禁止!
Japanese
- 最近、会議が多くて本当に嫌になるよ。
- 契約書のことは、法務部に一度確認しないとね。
- 私の権利ですから、来週はお休みをいただきます。
- この件は、社に持ち帰りまして検討いたします。
- 契約内容をご確認いただけますでしょうか?
- 商品の品質とアフターサービスには、絶対の自信を持っております。
- もし何か不具合がございましたら、私の携帯にお電話いただけますか。
- その会社は、従業員の5%を解雇することに決めた。
- 日本では過労死が大きな社会問題になっている。
English
- I’m really tired of going to so many meetings these days.
- We have to consult with our legal department about the contract.
- I’ll take a vacation next week as I’m entitled to one.
- We’ll go back to our office and take another look at this.
- Would you please check the contract details?
- We have absolute confidence in the quality of both our product and our post-sale service.
- If there is anything wrong, don’t hesitate to call me on my cellphone.
- The company decided to lay off 5 percent of its workers.
- Death from overwork is a big social issue in Japan.
ビジネス英語だけでなく、職場で使える表現も
日本でも、社内公用語が英語という会社が少ないながらも登場してきました。政府は移民の受け入れを検討していますし、これから日本の人口が減っていくにつれ、外国人労働者の数は増えるでしょう。そういった背景を考えると、海外とつながりのある仕事をしている人だけでなく、誰であっても自分の仕事に必要な英単語や英語表現を覚えておくに越したことはないですよね。
もちろん、外国の方に日本語を学んでもらうのが前提でしょうけれども、こちらとしても英語で会話ができる環境を作ってあげることは大切だと思います。その点では、カッ
チリしたビジネス英語だけでなく、職場でちょっとしたときに使える表現を覚えておくと便利です。
僕が21 年前に転勤してきた頃、灘校には外国人の先生がいませんでした。勤め始めたときに、当時の教頭先生から「何でも2 つ、望みを聞くよ」と言っていただいたので、そのうちの一つとして「ネイティブスピーカーの先生を雇ってほしい」とお願いしました。結果、カナダ人とイギリス人の2 人の先生が来てくれることになりました。
彼らは英語だけでなく日本語も流りゅう暢ちょうに話すので、何かを英語でどう表現するのかを質問する際にも非常に頼もしい存在です。ちなみに、もう一つのお願いは「トイレにウォシュレットを付けてくれ」でした。こちらも実現し、ほかの先生たちから感謝されることになりました。僕自身も、自分のリクエストを聞いてもらえてうれしかったのを覚えています。
当たり前ですが、日本の会社で働いていれば、英語を使わずに済むことが多いわけです。特に、ここで紹介しているようなちょっとした表現は、職場でかなり頻繁に英語を話す人でないと知らなかったり、知っていても忘れてしまっていたりするものです。
いつも言っていますが、この連載を読んだ後、「これはこういうふうに英語で表現するんだな」で終わらせないでください。それだと、また忘れてしまいますからね。最終
的には日本語を見て即座に英語に直せるようになるまで練習しましょう。
この「即座に訳す=クイックレスポンス」ができないと、実際に英語を話すことができ
ません。できるようになれば、オフィスの中でも外でも、活躍の幅が広がっていくはずですよ!
これもついでに覚えてしまおう!
- resignation(辞任、退職)
- extension(内線[番号])
- labor union(労働組合)
- intermediate recruitment(中途採用)
- be in charge of ~(~を担当する)
- at your earliest convenience(都合が付き次第)
- get promoted(昇進する)
- take the minutes(議事録を取る)
- I heard you’re being transferred abroad. I’ll miss you.(海外転勤になると聞いたよ。さびしくなるね)
- “FYI” on this memo stands for “for your information.”(このメモにあるFYIとは、「ご参考までに」の略です)
木村達哉(きむらたつや):1964 年生まれ。関西学院大学文学部英文科卒業。1998 年から灘中学校・高等学校英語科教諭。著書に「夢をかなえる英単語 新ユメタン」シリーズ、「灘高キムタツの東大英語」シリーズ(いずれもアルク 刊)など。ウェブサイトhttp://www.kimu-tatsu.com/も人気。
Narration:Nadia McKechnie、Julia Yamakov
本記事は『ENGLISH JOURNAL』2019年1月号に掲載された記事を再編集したものです。