NHKの大人気ラジオ番組 『遠山顕の英会話楽習』の遠山顕先生が、すぐに使えて、自分や周りを暖かい空気に包む英会話表現を2回に渡って教えます!
こんにちは!遠山顕です。前回に続き、自分ですぐに使えて、それがあなたをちょっと知的に見せたり、周囲がポッと暖かくなる日常会話の決まり文句を紹介します。
1.I’m over the moon.(有頂天です)
「月を越えるほど舞い上がっている」という意味合いなので、和訳も高い天へ向けました。例えば、物事がとてもうまくいってうれしいとき、人から心境を聞かれてこう答えれば、「おお、なかなか面白い人物」と思われ、つきが回ってくるかも。これはマザーグースのナンセンスライム(実際にナンセンスかどうかは不明)の前半、
Hey, diddle, diddle.(ヘイ、ディドゥル、ディドゥル)
The cat and the fiddle.(ネコとバイオリン)
The cow jumped over the moon.(雌牛が月を飛び越えた)
から来ているとされ(雌牛が月をジャンプした動機は不明です)、何とも奇妙でコミカルで、かつ威勢のよいイメージを漂わせた表現です。
A: You did it! How do you feel?
やりましたね!どんな気分ですか。
B: I’m over the moon.
有頂天です。
2.How do you do it?(秘訣は何ですか?)
相手がまるで風邪を引かない、きちんきちんと仕事をこなす、多読である、いつ見ても変わらない、韓国語とタイ語を学んでいる、お酒の度を超しても乱れない、運がつきまくっているなどなど、「どうしてそうなるんですか?」という気持ちで尋ねます。質問と同時に賛辞になるので、言い方や表情に「熱」が必要です。How can you do it? だと「よくそんなことができるね、あなた」という非難の表現になるので、助動詞を入れ換えないように。
A: You haven’t changed a bit. How do you do it?
ちっとも変わっていませんね その秘訣は?
B: With difficulty.結構大変なんですよ(苦労してやっています)。
3.We’ll cross that bridge when we come to it. (それはそのときになったら考えましょう)
日本語では橋も川も「渡る」で済みます。「川を渡る」は「川を横切る」とも言いますが、「橋を横切る」と言えば川に落ちます。英語では cross the bridge で、川に落ちずに橋を渡れます。
本題に入ると、これは、何かを始める際に、ある未解決部分がある。それをトラブルという川にたとえ、その未解決部分に今は手を付けず、「トラブル川」に来たときに、「トラブル川橋」を渡れば良い、そのときに何とかすればいい、その場で解決することにするという指示表現です。いい加減さもある一方、自信の程が感じられるイディオム表現です。
彼らがノーと言ったらどうします?
B: We’ll cross that bridge when we come to it.
それはそのときに対処しましょう。
「問題」「解決する」といったシリアスな言い回しをしないところが、こうした慣用表現のパワーです。
4.This too shall pass. (これもまた去る)
知恵の言葉。This, too, shall pass. とも表記します。明暗2通りの状況で使います。隆盛を極めたり、天狗になっていたりする場合には、「いいときばかりではないぞ」という戒めになります。辛いとき、落ち込んでいるときには、「これも一過性のことだ」という気持ちで使うことができます。
言い方はほぼ決まっていて、too と pass を高く、this TOO shall PASSのような調子にします。相手や周囲に警告や助言を与える場で使うのもありですが、特に辛い状況で自分に言い聞かせるといった場によく使われます。
A: Now the ●● Team is on top.
今や●●チームがトップですね。
B: Let's be patient. This, too, shall pass.
我慢しよう。これもまた去らん。
5.That was fun! (楽しかった!)
たった3文字の超簡単な fun なので、ネイティブが子どものときにしか使わないようなイメージを持っていませんか?どっこいこれが「楽しい」のチャンピオンです。共に楽しい時間を過ごした、独りでゲームを楽しんだなどなど、楽しい物事や出来事のあとに、大人も子どももこの表現を使います。
fun と似た意味を持つ言葉に interesting がありますが、こちらは「興味深い」のほか、「変わってる、何だかおかしい」といった気持ちを遠回しに表すことがよくあります。
3文字の単語など私の辞書にはない、子どもじみた英語に興味はない、高レベルの本物の英語をものにするだけさ、議論で勝つことしか頭にない、I had a good time. とクールに言ってその場を去るのみ、とお考えの方、ぜひ一度使ってみましょう。
A: Well, that was fun!
うーん、楽しかった!
B: Yes! We have to to this again!
ええ!また是非!
「これって楽しい」「面白い!」は This is fun!。現在の this、過去の that の感覚も一緒につかみつつどうぞ。
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文:遠山顕
東京外国語大学英米語科卒、テンプル大学大学院修了(英語教授法)。神田外語学院英語科主任、ラジオ『百万人の英語』講師、MBI(マッキンゼーMultinational Business Institute 多国籍企業学院)講師、東洋英和女学院大学准教授、東大EMP(Executive Management Program)講師、NHKラジオ『英会話入門・リスニング入門・中級・上級』『ラジオ英会話』講師を経て、現在『ラジオ 遠山顕の英会話楽習』講師、COMUNICA, Inc.代表。
編集:増尾 美恵子