接続詞andが結ぶものを問う問題【難問クイズで学ぶ文法知識⑩】

Twitterで話題になった北村一真さん作成の英語クイズで文法知識&読解力を高める本連載。第10回は接続詞andが何と何を結んでいるのかを選択する問題です。

クイズ

Many residents maintain an optimistic, and some might even say naïve view, that life in this building will eventually return to normal.
― “Chicago Skyscraper Residents Make Adjustments Following Terror Attacks,” Voice of America

文脈:アメリカの国営放送局VOAのかつての記事からです。テロ攻撃対策で変化する高層ビル周辺の様子を紹介したものです。

下線部のandが結んでいるのは?

(1) 名詞句と名詞句
(2) 動詞句と動詞句
(3) 節と節
(4) いずれでもない

単語・語句

  • naïve:「単純な、(考えの)甘い」
  • eventually:「最終的に、結局は」

ヒント

an optimisticと「an +形容詞」の形になっているのはどういうわけだろう?

つまずきポイント

andの後にsome might even say…とSVの形が続くので、ここから別の節が始まっていると考えてしまいやすい。

この英文を正しく解釈する上で1つの大きなポイントは、an optimistic,のところをどう解釈するかです。「ヒント」でも言及したように不定冠詞であるanの後にoptimisticという形容詞だけがポンッと置かれているのは不自然です。しかし、optimisticの後にはand some might even sayとand SVの形が続いており、optimisticで一度、語句が切れているようにも見えます。ここでやってはいけないのは強引にoptimisticを「楽観主義」などのような名詞とみなし「多くの住民は楽観主義を持ち続けている」などと解釈することです。そういう文法を捻じ曲げた解釈はだいたい間違っています。一見、説明がつかなそうに見える構造も文法通りに読めばどうなるかをしっかりと考えてみましょう。

optimisticは「楽観的な」という形容詞なので、an optimisticはそのまま解釈すれば「ある楽観的な」という意味になります。とすれば、「楽観的な・・・」の「・・・」に当たるoptimisticが限定する名詞が出てくるはずです。ここで、上で触れたand some might even sayの形にぶつかるわけですが、ひとまずそこにこだわらずに「楽観的な・・・」につながる名詞を探してみましょう。そうすると、naïve viewという名詞が見えてきます。ここで、optimisticがviewを限定していると考えると、「楽観的な考え」となり、意味的に筋が通ります。また、naïveは形容詞なので、optimisticとnaïveが等位接続詞のandで結ばれて、an optimistic and naïve view「楽観的で甘い考え」という名詞句を作っていると考えることも可能です。実際、このように考えれば、naïve viewの前に冠詞がないことも納得がいきます。しかし、このように解釈する上で最大の障害となるのが、some might even sayの部分です。ここはどう説明をつければよいでしょうか。

種明かしをすると、このsome might even sayというのはより強い言葉を使う際に挿入的によく用いられるもので、「・・・とさえ言う人もいる」という意味を加える働きをします。

今回の問題文も同じ形が用いられていると考えることができます。つまり、問題の箇所の骨格は、an optimistic and naïve view「楽観的で甘い考え方」であり、そのnaïveという強めの言葉にsome might even sayという婉曲が挿入的に加えられた形ということです。

よって、andが結んでいるのは、optimisticとnaïveという2つの形容詞と考えるのが正しく、選択肢の中では、(4)の「いずれでもない」が正解となります。

正解 (4)

訳例

多くの住民はこの建物が最終的には普通の状態に戻るだろうという楽観的な、甘いとさえ言う人もいる考え方を持ち続けている。

前回までのクイズはこちらから

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北村一真(きたむら・かずま)
北村一真(きたむら・かずま)

1982年生まれ。慶應義塾大学大学院後期博士課程単位取得満期退学。学部生、大学院生時代に関西の大学受験塾、隆盛ゼミナールで難関大受験対策の英語講座を担当。滋賀大学、順天堂大学の非常勤講師を経て、2009年に杏林大学外国語学部助教に就任。2015年より同大学准教授。著書に『英文解体新書』(研究社)、『英語の読み方』(中公新書)、『知識と文脈で深める 上級英単語ロゴフィリア』(共著、アスク出版)、『ジャパンタイムズ社説集2022』(解説執筆、ジャパンタイムズ出版)、『英文読解を極める 「上級者の思考」を手に入れる5つのステップ』(NHK出版新書)など。Twitter:@Kazuma_Kitamura

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