海外ビジネス百戦錬磨のマネージャーに教わる!グローバルな英語会議でやってはいけないことは?

海外ビジネスで百戦錬磨の岡田兵吾さんが25年の経験から学んだというビジネス英語の「気配り」についてご紹介します。英語ネイティブではない私たちが特に気を付けたいこととは?

初対面のとき

会えた喜びを伝える

「初めての出会い」は1回限りです。いろいろな関係を築いていけるように、このチャンスを生かして相手の心をガッチリとつかみましょう。

初対面の人との距離を縮める上で、最も大切なことは「オープンさ」です。私は最大級の笑顔で相手を迎え、それから両手で固い握手をします。ここで学校で習ったとおりに、「Nice to meet you.」とあいさつしてもよいのですが、私なら、「I’m SO happy to meet you!」などと言うでしょう。 niceよりhappyの方が、会えてうれしい気持ちがストレートに伝わるように思うからです。

ちなみに男性は、相手が女性の場合、求められない限りこちらから握手をしないのがマナーです。

お互いの名前を覚える

次に気をつけているのは、名前を覚えることです。外国人の名前は本当にさまざまで、名刺などを見ても、読めないものがたくさんあります。でもそれも、相手との距離を縮めるよいきっかけです。読み方を尋ねたり、名刺などがない場合はつづりを教えてもらったりしているうちに、だいぶ打ち解けることができます。

もちろん、私の名前も覚えてもらうようにしています。ファーストネームの兵吾は、キューバの革命家、チェ・ゲバラの「吾(われ)、日々革命の兵士なり」という言葉から来ています。だから、自分は Make the world a better place.を目指すジャパニーズ・エルビスだ(こういうとき自慢のリーゼントがモノを言います)と話すと、面白がって聞いてくれ、名前も覚えてくれます。

また、日本人の名前は、外国人にとって発音しにくい名前が多いので、海外コミュニケーションに慣れた方は、「タケヒロ」さんなら「Take」、「サトミ」さんなら「Sato」など、呼びやすいあだ名を自ら提案されてる方が多いです。

私の名前の「ヒョウゴ」も「ヒョ」の音が発音しづらいらしく、何度も聞き返されることがありました。そこで、ドイツのブランド「HUGO BOSS」にちなんで、「Call me Hugo, like HUGO BOSS.」と外国人が発音しやすいあだ名を提案して、覚えてもらう工夫をしています。

私の同僚は、さらに上をいっていました。中国や韓国の名前も覚えにくいので、皆覚えやすい名前を工夫して考えていました。春に生まれたから「Spring」、ジャッキー・チェンが好きだから「Jackie」といった具合に、好きな英語名を名乗っていたので、そのユニークさで私も彼らの顔と名前を覚えてしまったので、さすがだと感心しました。

お互いの名前を覚えることも大事ですが、相手にこちらの名前も覚えてもらって、お互いにコミュニケーションし易い雰囲気づくりは大切です。

まずはすべての人を受け入れる

話題に困ったら、質問をしてみましょう。自分が行ったことのある国や街から来た人であれば、そこに旅行をしたときの楽しかった経験などを話します。相手の国について知っていることを探し、あるいは興味のあることを尋ねて話題にしていきます。相手も初対面のあなたと仲良くしたいと思っていますから、糸口を見つけたら、そこからどんどん会話をつないでいきましょう。

グローバル社会では、対面の段階で可能な限りフレンドリーな関係性を一気につくっていきます。まずは出会うすべての人を信じて、受け入れましょう。いろいろな国のいろいろな人と一緒にやっていかなくてはならない環境ですから、その点はとてもオープンです。

日本人は正反対で、様子を見ながら少しずつ人間関係を作っていきますね。グローバルな職場では、日本式は少しよそよそしく感じられるようで、もっと心を開いてほしいと言われることがあるかもしれません。

みなさんが想像する以上に、外国人の多くは日本人や日本文化に興味を持っています。ですので、こちらが心を開いて、楽しそうに会話をするように心がけると、外国人とのコミュニケーションが深まるはずです。

使える英語表現

会えた喜びを伝える

I’m so happy to meet you at last!
やっとお会いできて本当にうれしいです。

名前を覚える

Would you spell out your name, please?
名前をどう書くか教えていただけますか。

相手を受け入れる

I admire how kind the people in your country are.
あなたの国の人たちは本当に親切で感動します。

ミーティングや折衝

会議では必ず発言する

そもそもグローバルでは、発言しない人は会議に参加しません。外国人の会議では、短い時間で集中して議論をし、リーダー自ら立ち上がって、みんなの意見をホワイトボードに書き出したりします。そのすごい熱量の中に、黙って座っているだけの人がポツンといると、その人を会議に呼んだ人間が怒られます。発言しなかった当人も、やる気がないなら今後は出なくてよいという話になるでしょう。

会議に参加する以上、必ず何か発言し、貢献することが求められるのです。

日本では、会議でうなずく、議事録を書くことでチームに貢献したと評価される場合はありますが、海外ではこのような行動は「議論には参加していない」ので評価されません。英語の上手いヘタではなく、自分なりの意見を言うことが必須です。
このためにも、「会議は予習が大事」をモットーに、事前にアジェンダや趣旨を確認し、自分なりの質問や見解を事前に2つ3つ用意しておくことをお勧めします。

人と違う意見だからよい

会議で存在感を示し、やる気を見せることがグローバル社会では大切です。存在感を示す方法として比較的ハードルが低いのは、「質問すること」です。誰かの話を聞いて、単純に英語の意味がよくわからなかった場合でも、遠慮なく聞いて構いません。

やってはいけないのは、わかったふりをすることです。私も昔、「この前の会議で、あの部分がよくわからなかったのですが」と上司に言ったとたん、「なぜその場で言わないんだ。あの会議の時間が、無駄になるじゃないか」と、叱られたことがあります。

議論の内容についても、気付いたことはもちろん口にすべきです。「基本は賛成だけど、ここはちょっと変だ」「今の話は、ここの部分がよくわからない」それだけで会議に出席している人たちからは、「That’s a great point !」と評価されたりします。
人と違う意見、みんなが気付かなかった、あなた独自の視点がグローバルでは重宝されるのです。そこから議論が展開すれば、「やった!大したことを言っていないのに、会議に貢献できた!」と心の中でガッツポーズを取ったりします。

私もそのようにして、会議で発言できるようになっていきました。今はどんなに偉い人との会議でも、真っ先に 手を挙げて発言します。 1番目に指名されなくても、手を挙げることでみんなが一目置いてくれるので、話がしやすくなりました。

Noは、はっきり伝える

社内会議と違って、クライアントや外部の会社との商談は、シビアな駆け引きの場です。ここで日本人がつまずきやすいのが「断り方」です。

ビジネス英語では、相手を気遣う丁寧な言い方を心掛けるべきですが、断るときは、はっきりと断らないと、外国人には通じません。「I cannot accept your proposal.」と、単刀直入にNOを伝えましょう。日本語の「検討します」に当たる「Let me consider it.」には、基本的にポジティブな意味があり、本当に検討して色よい答えを返してくれるものと、いたずらに期待をさせてしまうので注意が必要です。

使える英語表現

最初に発言する

Let me give you an outline of our plans.
私どもの計画の概要をお伝えします。

意見を述べる

Let me share my opinion about this issue.
この問題に関して私の意見を述べさせてください。

“NO”を伝える

We’re terribly sorry but we can’t accept your proposal.
ご提案をお受けすることができず本当に申し訳ございません。

岡田 兵吾さんの著作

岡田兵吾
岡田兵吾

Microsoft アジア太平洋地区本部長(リーダーシップチーム メンバー)/ 情報経営イノベーション専門職大学(iU)超客員教授/ オンラインサロン兵吾村塾主宰/ NewsPicks NewSchool講師/ BBTオンライン英会話監修/ ビジネス書著者/ シンガポールドラッカー学会元理事/ エグゼクティブMBA

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