スケートボード男子ストリート初代オリンピック王者、堀米雄斗選手の英語ニュース

世界中で活躍する、日本人アスリートたち。彼らのことを報じた英語ニュースから、使える表現を学びましょう!今回はスケートボードの堀米雄斗選手を取り上げます。

世界最高峰の日本人スケートボーダー、堀米雄斗選手

世界で活躍する日本人アスリートにまつわるニュースから英語表現をご紹介する本連載。第5回目はスケートボードの堀米雄斗選手です。

東京オリンピック2020スケートボード男子ストリートで初代金メダリストとなった堀米選手。今回はそんな堀米選手のこれまでの歩みを振り返りながら、そこに登場する英語表現を幾つかご紹介していきたいと思います。

Japan's Yuto Horigome Wins Skateboarding's First Olympic Gold Medal | TIME

「自分を超える」って英語でなんて言う?

スケボーの聖地、ロサンゼルスでの挑戦

スケボーが趣味だったお父さんの影響でスケボーを始めた堀米選手。めきめきと実力を上げ頭角を現します。

消耗品であるスケートデッキやシューズのほか海外遠征にも費用がかかる中、堀米選手のお父さんは本業の他にアルバイトで資金を貯め、堀米選手を支えます。

そして高校卒業後、スケボーの聖地ロサンゼルスへと渡ります。当時の心境について、堀米選手は以下動画の0:39あたりから次のように語っています。

Keep Going Forward - Yuto Horigome

Pro skaters from around the world gather in LA to participate not only in competitions but also in street culture as professionals, and I wanted to be a part of that. I’ve wanted to commit myself to skating like a pro. I have different motivations for skating in Japan and skating in the U.S., so I enjoyed every aspect of it, rather than finding it difficult.

世界のプロスケーターもロサンゼルスに集まって、コンテストだけじゃなくてスケートのストリートカルチャーとかの方でも皆頑張ってプロとして活動しているんですけど、そういったところにすごい憧れましたね。プロみたいにもっと頑張りたいっていう、そういう意識はありましたね。日本でスケボーするのとアメリカで滑るのとではモチベーションがまず違うので、苦労っていうよりも全部楽しいみたいな感じでしたね。

また、目指すスケーター像や挑戦し続けるモチベーションの原点についても同じ動画内(1:21あたりから)で次のように語っています。

My goal is to land my original tricks and execute every trick perfectly. I’m always thinking about coming up with new tricks. I think the audience enjoys it more, and that’s my strength now.

自分が目指しているところはオリジナルのトリックで全部のトリックをかっこよく見せたいっていうのがありますね。常にニュートリックを出していきたいと思っているので。やっぱ見てる人もそっちの方が面白いし、それが今はもう強みになってますね。

また、同じ動画内(2:25あたりから)で次のようにも語っています。

I keep on challenging myself. And I want to keep showing new aspects of my skateboarding. I want people to know more about skateboarding. I won’t be satisfied by just winning competitions or landing new tricks ? I need to keep challenging myself. I have the vision of “reinventing myself.”

常に挑戦し常に新しい自分を見てもらいたいって、スケートボードをもっといろんな人に知ってもらいたいっていうのがありますね。勝って満足するとかじゃなくて、新しいトリックができてもうそこでやめるんじゃなくて常にずっと挑戦し、「自分を超えていく」っていうイメージがありますね。

誰もやったことがないトリックを決めて周囲を驚かせてきた堀米選手。

自身の技術向上や大会で良い成績を残すことだけでなく、日本ではまだプロスポーツとしての認知度の低いスケートボードの楽しさ、魅力をもっとたくさんの人に知ってもらいたいという強い思いが感じられるインタビューでした。

「冷静沈着」って英語でなんて言う?

日本人初のSLS優勝

高い目標を掲げ、常にチャレンジし続けてきた堀米選手。2018年にはスケートボード・ストリート界で世界最高峰となるプロツアー、ストリートリーグ(SLS)で日本人初の優勝を果たします!

2018 SLS Pro Open: London, UK | MEN'S FINAL | Full Broadcast(優勝発表は1:20:28あたりから)

プレッシャーを感じさせない、冷静なトリック

プレッシャーがかかる局面でも、難しいトリックを冷静に決め、数々の大会で好成績を収めてきた堀米選手。こちらの動画の2:01あたりでは以下のように実況されています。

Yuto Horigome - From Tokyo to Los Angeles to Skateboarding's first Olympic Gold Medal | ESPN Asia

Ice in his veins.Pressure ain’t a thing to Yuto Horigome.

冷静沈着。プレッシャーは堀米雄斗には関係ないのです。

調子が上がらないときは、余計なことは考えずにとにかく練習するという堀米選手。日々のたゆまぬ努力があるからこそ、プレッシャーがかかる場面でも常に自分を信じてチャレンジすることができ、難しいトリックをきっちり決める姿は本当にかっこいいですね!

「反撃開始!」って英語でなんて言う?

人類史上初のスケートボードオリンピック金メダル

そして迎えた2021年の東京オリンピック2020。スケートボードが正式種目として初めて採用されたこのオリンピックで、堀米選手は男子ストリート初代金メダリストに輝きます!試合会場となった有明アーバンスポーツパークは堀米選手の地元ということで、まさに故郷に錦を飾る快挙となりました。

金メダル獲得を報じた記事
記事はこちら:Japan's Yuto Horigome wins Olympics' first-ever skateboarding gold medal(ESPN)

Japan's Yuto Horigome wins Olympics' first-ever skateboarding gold medal.

日本の堀米雄斗がオリンピック史上初のスケートボード金メダルを勝ち取った。

逆転の金メダル

スケートボード・ストリートでは制限時間内に自由演技を行う「ラン」を2回、一発勝負の技で点数が決まる「ベストトリック」を5回行い、点数の高い4回の合計点で順位を争います。

予選までは6位、決勝でもランを終えた時点で4位と厳しい展開だった堀米選手。ベストトリックでも2本目を失敗してしまい、残り3本全てで高得点を取らなければ優勝できません。「もう後がない・・・」。そんなプレッシャーがかかる中、3回目のベストトリックでは大技に成功し逆転優勝への望みをつなぎます。

そのシーンが、以下動画の1:58あたりで実況されています。

The BEST of Horigome Yuto at the Olympics

Game on! Game on again!

反撃開始!反撃開始だ!

終わってみれば5回のベストトリック中、4回で10点満点中9点台を獲得し一気に逆転優勝を果たした堀米選手。まさに最後まで諦めない気持ちが生んだドラマチックな展開で獲得した金メダルでした。

練習だと思ったことはない。スケボーだ。

常にチャレンジし続ける堀米選手。ハードな練習によって1年間で4回骨折したこともあるそうですが、それでも練習を続ける根幹にはやはりスケボーを楽しむ気持ちがあるというのが、以下動画の1:59あたりからも伺えます。

Get To Know Yuto Horigome

Actually, I am training, but I’m not feel like training. But I’m just, like, skating, ‘cause I love skate boarding.

実際にトレーニングはしますが、トレーニングという感覚ではありません。ただスケートボードが好きだからスケートボードをしているという感じなんです。

番外編 ~「ゴン攻め」の意味を英語で説明すると?~

京オリンピックのスケートボードでは選手たちの華麗なトリックもさることながら、プロスケートボーダー瀬尻稜(せじり・りょう)さんのフランクな解説も話題になりました。

特に「ゴン攻め」という表現は2021年の流行語大賞トップ10入りを果たすなど、強烈に印象に残っている人も多いのではないでしょうか。

日本語だとなんとなくニュアンスがつかめる「ゴン攻め」。当時、実況解説で同席していたアナウンサーからその意味について聞かれ瀬尻さんが回答しているのですが、英語だとどのように表現されているか気になりませんか?

こちらの記事では以下のように記載されています。

記事はこちら:Skateboarding slang comes to the hallowed halls of NHK(The Japan Times)

Sejiri’s fellow commentator interrupted to get clarification on what “ゴン攻め” meant, to which Sejiri responded that the word reflects a fearless attitude toward sizeable obstacles, including handrails and stairs.

瀬尻と同席した実況者は「ゴン攻め」の意味について解説途中で聞いたところ、瀬尻は「手すりや階段を含めた大きな障害物を物ともしない恐れ知らずの態度」と答えた。

今回登場した英語表現

では、今回登場した英語表現について振り返ります。

reinvent myself

自分を超える

reinventは「~を再発明する、~を改革する」という意味になります。

ice in one’s veins

冷静沈着

veinは「静脈」を表し、ice in one’s veinsで「静脈の中の氷」→「超冷血」→「とても冷静であること」を意味します。NBAのディアンジェロ・ラッセルという選手がシュートを決めた後に自分の腕の静脈を指してパフォーマンスすることでも有名な表現です(以下動画の0:10あたりから)。

D'Angelo Russell has ice in his veins | NBA Mixtape

first-ever

史上初の

game on

反撃開始、まだこれからだ

不利な状況が好転したときに使う表現です。

fearless attitude

恐れ知らずの態度

ゴン攻めの説明に使われた英語表現です。確かにゴン攻めを端的に表している英訳ですよね。

おわりに

いかがだったでしょうか。他のメジャースポーツと比べるとまだ日本での認知度の低いスケートボードですが、オリンピックでの華麗なパフォーマンスを通して興味を持った人もたくさんいると思います。

「スケートボードの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい」という純粋な気持ちで日々努力し続ける堀米選手を見ていると、「自分も頑張らないといけないな」という元気がもらえますね!今後の活躍がますます楽しみです。

次回はボクシングの世界で活躍する、あの選手をピックアップする予定です!お楽しみに~。

第6回は2022年8月22日(月)公開予定!

ごろう
ごろう

しがない英語ブロガー。詰込み式の修行のような英語学習ではなく、楽しさと実用性を両立しながら英語を学べるコンテンツを作ってみたいと思い、一念発起してブログを立ち上げ。メジャーリーグの実況動画解説等、「楽しみながらの英語学習」をコンセプトに発信中。 ごろうの英語雑記: https://goro-japan-zakki.com

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