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英会話は「動詞」で上達する!手軽に読める文庫本で実力アップ【ブックレビュー】

使える英語が身に付く 動詞の語感事典

「あれこれやってみたけれど、いざとなると英語が口から出てこない」。そんなあなたは、中学レベルの「動詞」に習熟することが、実力アップのカギとなるかもしれません。おすすめの1冊を紹介します。

英会話上達のカギは中学レベルの「動詞」

こんにちは!ライターの尾野です。

「コツコツ勉強してTOEICのスコアは伸びたけれど、英語を話そうとすると固まってしまう」

「オンライン英会話に挑戦したけど、自己紹介が上手くなっただけ」

こういう方は、意外と多いのではないでしょうか。

英会話を上達させる秘けつがあれば、ぜひ知りたいですよね?

本書によれば、英会話上達のカギは「基本動詞の習得にあり」。基本動詞とは、have 、put、 makeなど、中学レベルのごく簡単な動詞のことです。

「そのレベルじゃ、いくらなんでも簡単すぎるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、「これらの動詞を使いこなすことが特に英会話上達への一番の近道」とのこと。

基本動詞にはさまざまなニュアンスがあり、ネイティブスピーカーはそれを使いこなして意思疎通を図っているのです。

では、本書で基本動詞をどのように解説しているのか、見てみましょう。

haveには2つの使い方がある

まずは、haveという動詞。これはもう基本中の基本。最近では小学生でも知っているでしょう。

しかし、単純に「have=持つ」と覚えていると、ネイティブスピーカーのように自分の気持ちや考えを柔軟に表現することはできません。

本書では、haveの使い方を大きく2つに分けて説明しています。

①「~を持っている」「~を所有している」

②「~させる」「~を食べる」「~を飲む」「~を経験する」

「何かをつかむ」という語源は同じですが、「~を持っている」と「~をさせる」ではずいぶん違う感じがしますね。どういうことでしょうか?

①のコアイメージは、「自分の支配が及ぶ範囲内に、あるものを所有している状態」。物理的に手に持てるものだけでなく、財産や家族、感情や能力など抽象的なものも対象になるため、次のような表現も可能です。

He still has a Kansai dialect.

「彼はいまだに関西弁だ」

I have no likes and dislikes about food.

「私な食べ物の好き嫌いはありません」

「こんなことまでhaveを使って言えるんだ!」と、ちょっとびっくりしませんか?

続いては②。使役動詞と呼ばれるhaveです。

これは「自分の支配が及ぶ範囲内に人やモノを所有するイメージ」

そこから、「自分の支配が及ぶ人」に何かをさせるという表現になります。

例えば・・・。

He had his secretary copy the report.

「彼は秘書にレポートをコピーしてもらった」

この英文の原義は、「自分の支配が及ぶ秘書がレポートをコピーする」という状態を「持つ」こと。

①と②では別モノのような気がしますが、やはり基本は同じで「○○を持っている」と言っているのです。

次の英文も、この考え方で説明がつきます。

I'll have my hair cut.

「髪を切ってもらいます」

この「髪を切る」に関する例文、英語学習本でわりとよく見かけますよね。

私は、「自分で切るときはhaveは不要。人に切ってもらうときはhaveを使う」と機械的に覚えていましたが、このように「美容師さんや理容師さんに支配が及んでいる」と考えると、すんなり納得できました。

ただし、英文としては、I’ll get a haircut. のほうが自然だそうなので、これも覚えておきましょう。

また、自分の支配が及ぶ「範囲」を、「空間」ではなく「時間」と捉え、「経験」を表現することもできます

I had a good time at the party.

「私はパーティーで楽しく過ごした」

I had trouble finding a parking space.

「駐車場を探すのに苦労した」

動詞の中でも「基本のキ」ともいえるhaveですが、その語源や語感をしっかり理解すると、ずいぶんいろいろな表現ができるようになりますね。

putとsetの使い分け

ほかにも、本書を読めば、意味が似ていてまぎらわしい動詞を使い分けるポイントがよく分かります。

例えば、putとset。どちらも似たようなニュアンスですが、本書では次のように説明しています。

PUT

  • 語源 押す。
  • 他動詞 「~を置く」「(ある位置に)~をつける」「表現する」

SET

  • 語源 置く。座らせる。
  • 他動詞 「~を配置する」「~を設定する」「~を定める」
  • 自動詞 「沈む」「固まる」

putは「手に持っている何かをある場所に位置することを意味し、無造作にポンと置くニュアンス」とのこと。

そのため、こんな表現に使われます。

Put your pencil down.

「鉛筆を置いてください」

テストの終わりなどで、先生がよく使いそうなこのせりふ。置き場所はどこでもいいから、「ポンと鉛筆を離してください」と言っているんですね。

さらにこんな表現にも、putが使われます。

I’ve been putting on weight recently.

「最近、体重が増えてきました」

ギャー!

これは、「接触を表すonと共に、筋肉や脂肪などが体中にくっつくイメージ」だそうです。筋肉ならいいのですが、体重が増えたという場合、くっつくのはたいてい脂肪ですからね。

お腹まわりや二の腕に、無造作にポンと置かれた脂肪・・・。

putのイメージが身に染みて分かります。

これに対して、setは「定められた位置にきちんと据える」というイメージで、「いったん据えたところから動かない」というニュアンスがあるそう。

日本語でも、「髪をセットする」「目覚まし時計をセットする」という言い方をしますね。

セットした髪には乱れて欲しくないですし、目覚まし時計にセットしたアラームが勝手に変わっていたら大変です。

この「定められた位置にきちんと据える」というイメージから、次のような表現に使えます。

Can you set the table for the dinner?

「夕食の準備をしてくれますか」

ナイフやフォークを決められた場所に設置する、つまり「準備をする」というわけですね。

さらに、こんな使い方も。

She set up her own law firm in Tokyo.

「彼女は東京に自分の法律事務所を設立した」

set up ~ で、「~を設立する、身を立てる、(~を準備する)」という意味。

setが持つ「定められた位置にきちんと据える」というイメージが生きていますね。

自動詞で「沈む」という意味として使う場合はこんな感じ。

The sun sets in the west.

「太陽は西に沈む」

太陽は、季節によって多少の違いはありますが、常に「定められた位置=西」に沈みます。

このような説明を読むと、putとsetの違いがよく分かります。自分が英語を話すときにも、的確に使い分けることができそうですね。

まとめ

本書では、make、give、say、look、comeなど、計30の基本動詞と19の前置詞・副詞を取り上げ、コアイメージと使い方を紹介しています。

持ち歩きに便利な文庫本なので、いつでもどこでも、さっと取り出して読むことができます。

巻頭から通して読むのはもちろん、英語を読んだり聞いたりしていて気になる動詞の使い方があったら、本書でチェックするのもいいでしょう。

どれも簡単な単語ばかりですが、「もともとはこんなイメージなのか」「こんな使い方もできるのか」と驚くことがたくさんあるはず。

英語で話す力を磨きたい人は、ぜひ手に取ってみてください。

 

ENGLISH JOURNAL ONLINE 編集部

尾野七青子都内某所で働く初老のOL兼ライター。