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メールも電話も怖くない!本当に使えるビジネス英語の習得法【ブックレビュー】

メールも電話も怖くない!本当に使えるビジネス英語の習得法【ブックレビュー】

星の数ほどあるビジネス英語の本。しかし、「これホントにいいわ♪」と思える本にはなかなか出合えないものです。仕事で英語を使う人はもちろん、働く人なら読んで損なしの1冊を紹介します。

「ビジネス英語」と同じくらい大切なスキルとは?

どの職場にも「ちょっと面倒臭い人」というのはいるものです。

仕事の締め切りをなかなか守らない。催促すると逆切れ。質問すると、それを批判と受け取って怒りだす・・・。「まさにあの人のことだよ!」と特定の上司や同僚の顔が浮かんだ人もいることでしょう。

これが転職サイトのCMだと「よーし、転職だ!」となりますが、現実にはなかなかそうもいきません。この手の困った人たちにどう対処し、どう日々の業務を回していくか。できる社会人を目指すなら、ビジネス英語と同じくらい、「仕事を推し進める力」を磨きたいものです。

今回取り上げる書籍『人を動かす、気配りの英語表現』には、その両方を習得するコツが詰まっています。

いわゆる「ビジネス英語本」とはちょっと違う

本書をパラパラとめくった人は、ちょっとした違和感を覚えるかもしれません。

いわゆる「ビジネス英語本」なので英文がたくさん載っていますが、日本語の文章も同じくらい載っているのです。いえ、もしかしたら日本語のほうが多いくらいかも。

このように、ほとんど日本語というページもあるくらいです。

誌面

この日本語による解説こそが、本書の最大のポイント。さまざまなシーンで使える英語フレーズを紹介するだけでなく、目的を達成するために必要なアプローチやマインドセットを詳細に解説しているからです。

急ぎの仕事はどう依頼する?

具体的な例を見ていきましょう。

例えば、同僚に急ぎの仕事を依頼しなくてはならないとき。状況を察してサッと引き受けてくれる人だとホントに助かりますが、話しかけた瞬間に険しい表情になる人・・・いますよね?

本書では、この状況では次のようなアプローチを取ることをすすめています。番号が付いていますが、必ずしもこの順番でということではなく、全部やる必要もありません。この中から、自分が直面している状況に合うものを選べばOKです。

①丁寧な表現で依頼する

➁納期や緊急度を明確に示す

③依頼内容の背景やアクションを取りやすくなるような情報を伝える

④申し訳ない気持ちを伝える

いつもフレキシブルに仕事を引き受けてくれる人が相手なら、①や④で承諾してくれるかもしれません。ただ、②を忘れてはいけませんし、③も心がければ、より迅速・確実に対応してくれるでしょう。

さらに、それぞれのアプローチ法についてもかみ砕いて解説しています。

まずは、「①丁寧な表現で依頼する」についての解説です。

pleaseを使えば丁寧だろうとつい思ってしまいますが、これは間違い。英語のネイティブスピーカーにとっては一方的な命令調に聞こえるのだそうです。命令するのではなく、「~していただけますでしょうか」と、できるかどうか可能性を聞くアプローチにすることが大切。さらに、canではなくcouldを使うことも大事なポイントです。

これらを踏まえた上で使いたいフレーズがこちら。

Could you please ... ?

…していただけますでしょうか?

I would really appreciate it if you could ... 

… していただけるととても助かります。

難しい依頼の場合は、こんなフレーズも有効だそう。

Your prompt attention to this would be greatly appreciated.

迅速にご対応いただけますと幸いです(とても助かります、ありがたいです)。

続いて、「➁納期や緊急度を明確に示す」。

相手の負担になるような急な依頼をする場合、「いついつまでに」というのは言いづらいものです。しかしまた、急ぎだからこそしっかり伝えなくてはなりません。

"It's urgent".(緊急です)では言葉足らずだし、なぜ急ぎなのかも分からないので、相手を困惑させてしまいます。日本語でも、やたらとメールのタイトルに【緊急】とつける人っていますよね。そんな案件に限って、実際にはそれほど緊急性が高くないこともしばしばです。

丁寧に、でもしっかり期日を伝えるにはこんな表現を使うといいそうです。

Would it be possible for you to get back to us by the end of the week?

今週の終わりまでにお返事をいただくことは可能ですか?

この場合、具体的な日時は指定していませんが、目安は分かります。また、「可能性」を聞く丁寧な表現です。

Could you kindly get back to us before noon on Friday?

金曜日の正午までにお返事をいただけますか?

これなら丁寧でありながら、「いつまでに」というのがしっかり伝わりますね。相手にとっても、受けるにしろ断るにしろ、返事がしやすい雰囲気になっています。

うまい催促のしかたとは?

かなり余裕をもって依頼したのに、締め切りを守ってくれない。そういう人も、必ず一人や二人はいるものです。

また、いつも締め切りを守る人から返事が来ないような場合、どう切り出したものか迷いますね。

本書がすすめるアプローチは次の6つ。

①段階的にリマインダーを送る(期日の前・前日など)

➁当初の期限・提示していた期日について述べる

③返事が来ていないこと・仕事が完成していないこと・報告がないことを伝える

④見落としている可能性があることを述べる

⑤状況をうかがう

⑥困っていることがあれば連絡してほしいと伝える

いつも締め切りに遅れる人には、①~③のアプローチが使えそう。そして、珍しく遅れている人や、この職場に来たばかりの新人には、④~⑥がよさそうです。

「①段階的にリマインダーを送る(期日の前・前日など)」については、私自身は、「同じ件で何度も連絡するとしつこいかも」と、ついためらってしまいがちです。

でも、考えてみれば、締め切りを過ぎてから指摘するより、前もって言うほうが建設的ですよね。相手にしても、「しまった!」と慌てて作業しなくてすみます。

本書で紹介している理想的なフレーズはこちら。

As a reminder, all responses to the survey must be submitted no later than noon on Friday, August 6.

リマインダーですが、調査への回答は全て8月6日(金)の正午までにご提出いただけますようお願い申し上げます。

カジュアルに話せる相手には、こんな表現も使えるそうです。

How are things going with the presentation materials?

あのプレゼンの資料、どんな感じ?

これなら、仮に相手がすっかり忘れていたとしても「ごめん!すぐやるよ」と率直に返事をしてくれるでしょう。

いつもマメなあの人から返事が来ない・・・。そんな場合は「⑥困っていることがあれば連絡してほしいと伝える」ですね。

次のような表現を使えばさりげなくフォローすることもできますし、相手の状況を把握できます。

Please let us know if you require more time or have any questions.

もう少しお時間が必要な場合、またご質問がある場合はお知らせください。

Please feel free to let me know if you have any questions.

ご質問等ございましたら、気軽にご連絡ください。

自分が締め切りに遅れた側になった場合も、こんな風に言葉をかけてもらえたら返事がしやすいですよね。何か事情があったときも切り出しやすくなります。

diplomaticな姿勢を意識する

社内の人でも社外の人でも、一緒に働く人はいわば1つのチーム。できればお互いを信頼し合い、よい人間関係を築きたいもの。ですが、それがなかなか難しいことも、ある程度経験を重ねた社会人なら分かっているでしょう。英語を使うような、さまざま国籍や文化の人が関わる仕事ならなおさらです。

「困ったなあ・・・」と思ったら、本書に繰り返し出てくるdiplomaticという言葉を思い出してみてください。

この場合のdiplomaticは、外交手腕があるとか、駆け引きがうまいという意味ではありません。次のような姿勢を指しています。

・人を責めたり攻撃したりしないように言動や行動に気を配れること

・関係性や相手を傷つけず、相手が受け取りやすいようにメッセージを伝える・説得すること

・難しい状況でも(相手に不快感などを感じさせずに)接することができること

ここ数年で、Google翻訳などの自動翻訳の精度がかなり上がり、言いたいことはすぐに英訳できるようになりました。しかし、いくら正しい英語だったとしても、相手の気持ちを動かし「よし、やろう!」と思わせなければ、仕事を前に進めることはできません。

英語力を磨きつつ、diplomaticな姿勢を意識するように心がければ、鬼に金棒。直接会話する場合でも、メールや電話でやり取りする場合でも、よりよい関係を築けるようになるのではないでしょうか。

そういえば、この本のサブタイトルは「相手も自分も大事にしたい人のためのフレーズ集」なのです。多くの人が、仕事に人生の大半の時間を捧(ささ)げています。腹が立ったり、傷ついたりすることもありますが、よりよい人間関係を築くことをあきらめないでいたいものです。

本書『人を動かす、気配りの英語表現』を読めば、ビジネス英語が必要な人はもちろん、そうでない人にも必ず得るものがあるはずです。

ENGLISH JOURNAL ONLINE 編集部

尾野七青子都内某所で働く初老のOL兼ライター。